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ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
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 光対警察署の一室。

 ホワイトボードには

 殺害された五人の写真と名前が。

 峰月護夫

 椰田輝雄

 板村明日摩

 白根績つむぐ

 多崎元次げんじ

 全員

 光対中学の三年生。

 同じクラスだ。

 さらに

現在、行方不明となっている

衛山二郎

の写真も。

 重要参考人として追っているのだが

いまだ-----。

 同じ中学の三年生。

 同級生だ。

 当初は

最初に殺害された峰月を

残りの五人が-----。

 そして二番目に殺害された椰田は

仲間割れか何かで-----。

 その線が濃厚と

見られていたのだが

板村、白根、多崎の三人が

殺害されるにおよんで-----。

 二年前

この六人により

息子を自殺へと追い込まれたと

思い込んでいる?

尽川建設社長の尽川の名が

浮上した来た。

 他にも容疑者は

数名。

 その名も-----。

 そしてここに来て。

 係長の日堀警部はホワイトボードに

“文科省”

と書き込んだ。

 課長の紋味もんみ警視正もいる。

 「ですが

どうして文科省が」刑事の質石しついしが。

 「君も見ただろう。

 彼らが文科省に入っていくのを」係長。

 「しかし-----」

 「双風によると-----」言葉を切って。

 「局長クラスが

からんでいるらしい」

 「局長-----ですか」閏部じゅんべが。

 刑事だ。

 彼も深夜の追跡劇に加わっていた口だ。

 「我々はどう判断すれば

いいのでしょうか」刑事の尉海いうみが。

 「ただ単に

自分の縄張りの中学校で殺人事件が。

 それの調査のために

と考えるのが普通ですか」虹口もいる。

 「それにしてもだ」

 係長の日堀は

課長の紋味と顔を見合わせた。

 警察上層部の

関与の可能性については-----

言えるわけもない。

 「まさか文科省が。

 それもキャリア官僚が。

 局長クラスですか。

 中学生を-----

それも五人ですよ。

 殺害する動機なんて

考えつかないですし」質石。

 「動機ですか」レムがつぶやいた。

 「直接当たってみる

という手もありますか」刑事の一人。

 「直接当たって

もし犯人ならばどうする。

警戒させるだけだろう」係長。

 それも面白いが。

 どう出るか。

 しかし今はもう少し。

 「それは-----そうですが」

 「ここはもう少し

様子を見るしか-----ないですか」虹口も。

 「中学生を。

 それも五人も殺す動機か」

 「まあ-----

あれだけ大きな組織ならば

五人くらいは。

 個人でやるには

多すぎる人数とも考えられなくは-----

ない-----ですか」

 刑事の一人が遠慮がちに。

 「ウカツな事を言うものじゃあ。

 まだ何もわかっていないしな」係長。

 「それはもちろん

そうですが」

 「相当な人数が

動いているようですし」

 「もし仮に-----

文科省が五人を殺害したとして。

 そうなると

殺害動機はやはり」

 レムが-----。

 気になるのは-----。

 「例の汚職にからんでか。

 尽川建設との」虹口。

 「だが-----。

 どこでどう-----中学生と結びつくんだ」係長。

 課長も。

 「まあ-----。

 それを調べるのが我々の仕事ですが」質石。

 「それにしても-----

結び付けようが-----。

 どこをどう考えれば

そうなるのか」閏部じゅんべ

 「個人的な何かで」

 「それであれだけの人数が

動くか」

 「それは-----」

 「わからんか-----」係長。

 「何人かしょっ引いて

たたきますか」

 「本人に聞くのが

一番手っ取り早いですし」

 「吐くと思うか」係長。

 「それは-----」

 「せめて

行方不明の衛山でも見つかれば」

 「衛山か」係長。

 「ですが-----

相手が相手ですし。

 もしそうなら

もうすでに。

 生きているんですかねえ」

 全員だまり込んだ。

 「尽川社長を呼んで-----

聞くという手もありますか」虹口が。

 「その手があるか。

 しかし

それをすれば

むこうにも筒抜けになるしな」

 「それは」

 「尽川社長といえば。

 例のバーであっていた男は

どうなりました」刑事が。

 「アレは探偵だ。

 堆村ついむら探偵社の社長だ」係長。

 「探偵?」

 「そうだ」

 「二年前に

尽川の息子が自殺した際にも

奴は探偵を使って関係者を

-----同級生を調べていたらしいですし-----。

 その時の探偵ですか」虹口が。

 「どうもそのようだな。

 一ヶ月ほど前にも

同じような事があったらしいし。

 今、堆村の写真を持たせて

同級生たちに確認をしてもらっているところだ。

 直に連絡が入るだろう」

 「堆村ですか。

 探偵の」レム。

 刑事の一人が

ホワイトボードに書き込んだ。

 ホワイトボードには


 尽川建設

 文科省

 汚職疑惑

 二年前に自殺した尽川社長の息子

 探偵 堆村ついむら

 

 の文字が不気味に。

 “その上で皆山君が”。

 レムも-----

あの、妙な会話が頭を離れない。

 「とにかく文科省の方は

今、誰がからんでいるのか

当たらせている。

 二三日中には-----。

 もっと早いか。

 あらかたわかるだろう」係長。

 「ですが-----

上層部は何と言いますか」

 課長の表情を。

 「“上”の方か。

 もう少しだまっていよう。

 はっきりするまではな」

 “どう報告すりゃいいんだ。

 まあ-----

そのまま報告すればいい事か。

 もしそれで。

 “上”が関わっていれば-----

どうなるか。

 それにしても

関係者で疑わしい人物は

やはり尽川か”

 「尽川が探偵を雇って

五人を殺させたという線も-----

捨て切れませんか」虹口。

 「もちろんだ」課長。

 -----これが本命だろう-----。

 「ハンカチの指紋の件もあるしな」

 「ハンカチの指紋か」

 例の殺人現場で出て来た。

 「ですが-----

あんなもの。

 これ見よがしに残しますか」刑事の一人が。

 「まあミステリー小説では

誰かが容疑者をはめるため-----

となってはいるが。

 実際には

犯人は極度の緊張状態にある」虹口。

 「なるほど。

 それでそんなヘマを」刑事。

 「尽川が人を雇ってやらせたなら。

 なおさらか」

 「しかし文科省は。

 それではどう判断すれば」レム。

 「さっぱり先が読めないか」係長。

 疑わしい人物は全て当たる。

 そして一つづつ。

 それでダメならもう一度。

 いや何度でも。

 虹口は尽川を追うつもりらしい。

 レムは-----。

 「私は文科省の方を

 追いたいのですが」

 虹口は。

 「いいだろう。

 何かつかんだのか。

 虹さんもいいね」係長。

 レムは-----。

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