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双風レムは
とあるマンションの前にいた。
狭い自動車の中は
一人で張り込みをするにしても
疲れる。
例の殺人現場近くで
発見されたハンカチ。
予想どうり
尽川の指紋が出てきた。
何かうまく
見つけさせられたような。
そうでもなければ
こうもあっさりと見つからなかったか。
しかし犯行時間は。
暗闇の中
あそこに捨てればと。
それで
土地勘がなければ。
尽川は-----地元の人間か
-----。
今はハンカチに付着した
血液のDNA鑑定をしている。
それが被害者のものであれば-----
尽川社長を引っぱれる。
男が出て来た。
ソワソワと落ち着かない様子だ。
通りでタクシーを拾い
行き先を告げたようだ。
“どこへ。
こんな時間に”
空振りの場合も多いが
今回はきっと。
いつもの事だ-----。
予感が。
それでいつも空振りに。
しかし今夜は。
タクシーは都内を
ナンバーをひかえておく。
こうしておけば
まかれても
後でタクシー会社に問い合わせれば。
相手が尾行に気付き
どこかで乗り換えでもすれば別だが。
行き先はわかる。
まかれなければ
それにこした事はない。
慎重に尾行を。
タクシーは停車した。
男は金を払いタクシーを。
バーの名は-----。
男は中へ入った。
レムは自動車を止め
中へ。
男に気付かれないように
ソッと近くの席へ。
男は誰かと
待ち合わせをしていたようだ。
相手はレムの知らない男だった。
ヒソヒソと小声で。
レムは耳を。
見知らぬ男が言った。
「皆山さん。
困った事になってきました。
-----」
“尽川社長が”
レムはバーの中を。
確かに尽川がいる。
“皆山君。
尽川社長をマークしているのか。
でもどうして。
それに一緒にいる男は誰。
この前の男とは
別人だ。
それに尽川社長も
誰かと会っている”
言いようのない不信感が。
同僚の刑事も
何人もいる。
こちらに気付いている
-----者も何人かいる。
しかし知らぬフリを。
レムは皆山たち二人の会話を
聞き漏らすまいと-----。
「局長からは-----
応援をよこすと」
“局長”
この言葉が引っかかった。
聞きマチガイかも。
他にも-----
“ケイサツ”
と言っていた。
マサカ。
尽川社長たちは席を立った。
勘定を済ませ-----。
社長なのにツケでは
カードも使わず現金で。
“証拠を残したくはないのか”
バーを後に。
刑事たちも後を。
皆山たちも。
レムは
尽川社長はタクシーを拾い。
もう一人の男は
自動車を。
皆山がそのナンバーを
ひかえている。
“ナンバーから身元を割り出す
ツテでもあるのかな。
それともただ単に”
皆山の連れの男はタクシーを拾い
尽川を。
皆山は-----
見知らぬ男を追うようだ。
レムは-----
皆山と一緒だったもう一人の
男の方を追う事にした。
皆山は
何か得体の知れぬ組織にでも入っているのか。
皆山もタクシーを。
別に暗闇の中から
二人の男が現れ
同じタクシーに同乗した。
いったいどういう事なのか。
皆山とは顔見知りのようだ。
レムは皆山の事を
気にかけながらも
もう一人の方を追った。
この前は皆山を尾行したが-----
何もわからなかった。
それで今度は。
タクシーは尽川社長の会社へ。
見知らぬ男はタクシーを降り
道路わきに止めてあった
自動車へ。
「応援、ごくろうさん」
その自動車へ乗り込んだ。
中には二人の男が。
“相手は相当大がかりな
組織のようだ”
とてもレム一人では。
どうする。
とにかく相手の素姓を。
彼らは-----
ヒョットして。
目的のためならば
人を何人も-----。
慎重に行動しなければ。




