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ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
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 光対の森は

警官であふれていた。

 鑑識がそこかしこで

写真を、

遺留物を捜している。

 当庭は連絡を受け-----

授業中だった、

取るものもとりあえず

駆けつけた。

 校長も季末もいる。

 そして私もいた。

 息を切らしながら

ここまで駆けて来たため

皆、息が荒い。

 そこには

虹口刑事や双風レムもいた。

 疑わしげな目で

レムは私を。

 しかし何も言わない。

 虹口刑事が学校へ知らせてくれたのだ。

 すでの両親たちも。

 母親だけは

みな来ている。

 父親の方は

もう少しかかりそうだ。

 何せ仕事先から駆けつけるのだから。

 しかし

子供が外泊しても-----。

 いつもの事か。

 身元の確認も

すでに所持品から-----。

 母親も確認を済ませている。

 あとはDNA鑑定待ちか。

 「先生。

 ウチの子が」

 「どうしてウチの子が。

 こんな事に」

 「きっとあいつが

人を使って」

 口々に。

 当庭はどう言っていいのか。

 「あの時、

尽川の奴と

もっとよく話し合っておけば

こんな事には」

 言葉にならない。

 それが-----

今の当庭の

いつわらざる思いだった。

 「お母さん。

 まだそうと決まったわけでは。

 当庭先生もウカツな事は言わないように。

 ね!

 それと

本人にマチガイないの-----ですか」校長。

 母親たちは泣き伏した。

 中へは入れない。

 虹口刑事が当庭を見つけ

寄って来た。

 「どういう事だ。

 虹口」 

 当庭の声は

動揺のためか幾分うわずっていた。

 「わからん。

 頭部を鈍器か何かで

なぐられているようだ。

 出血がひどい」

 「じゃあ。

 やはり殺人か」

 「三人ともですか」私は。

 「そうだ。

 三人とも」

 「これで二年前の関係者が-----」当庭。

 「五人もか」

 校長も思わず。

 死体が発見された場所は

少し離れている。

 一人は開けたこの場所に

放置されていたが。

 -----まるで見つけてくれと

言わんばかりに-----。

 後の二人は

殺害した後

どうやら茂みの中へ。

 動かした形跡があるらしい。

 「一度に三人をですか。

 これは複数犯の可能性も」私は。

 「いや-----

そうとは限らないよ。

 このあたりは

彼らのたまり場のようなところだしね」虹口。

 「どういう事ですか」校長。

 「いえ。

誰かに呼び出されて

来た順に次々と。

 そういう可能性もある

という事です。

 あくまで可能性ですが」

 「まあ三人もいて-----。

 襲われても

よほどの人数相手でない限り

逃げるなり何なりできたはず-----

ですか」

 私は一人納得。

 現場周辺を見回し

 「最初の一人をここで殺して

茂みの中へ隠し

次の被害者を。

 その被害者も茂みの中へ。

 そういう事ですか」

 「まあ-----

そういう事だろう」虹口。

 私はそのあたりを歩き出し

 何か遺留物でも。

 警察犬もいる。

 双風レムが私に近づいてきた。

 「皆山君。

 何をしているの」レム。

 「いや。

 犯人が何か遺留物でも

残してないかと思ってね」

 「鑑識のジャマしちゃダメよ。

 怒られるわよ」レム。

 「凶器は見つかったの」

 「ええ。

 そこの小径の茂みの中でね。

 工事用の鉄骨らしいわ。

 長さ五十センチほどのね」

 「一本だけ」私は。

 「エエ。そうよ。

 どうして

犯人は複数だと」

 「いやーーー」

 どう言ったものか。

 「三人を殺すつもりなら

一本じゃ足りないかと思ってね」

 「それは-----そうね」

 鑑識課員がそのあたりを

念入りに調べている。

 とても凶器なり

-----新たに二本目の鉄骨があればだが-----

何なりを捜すなどという事は

できそうもない。

 「凶器はそこで発見されたんだって」

 当庭が近寄ってきた。

 ニワカ探偵気取りも

板についている。

 しかしその表情を見れば

相当思いつめているのが

わかる。

 虹口刑事の聞いたようだ。

 虹口は死体の発見された場所を

ウロウロと。

 「はい。

 犯人の手がかりになるようなものが

 見つかればいいのですが」

 私は少しマズイという表情。

 レムもキョロキョロと。

 当庭は-----。

 私は少し小径を下っていった。

 レムもついてくる。

 「どの道、ここへ来るには

一本道だしね」

 「それはそうね。

 じゃあ皆山君は

このあたりのどこかに

何かがあると」レム

 「さあ。

 可能性としてはね」

 「心配しなくても

全部捜すわよ。

 犯人にしろ

返り血を相当浴びているはずだし」

 「血のついた衣服を

どこかで始末した

という事かい」

 「そういう事」

 「なるほど」私は。

 その手のミステリーの定番だ。

 それを主人公が見つけ-----

それが事件解決の糸口に。

 「でもいくらなんでも

こんな近くには捨てないでしょう」レム。

 「それは-----そうか」当庭もいる。

 「茂みの中に放り込んでおけば

見つからないんじゃ」私は。

 「警察犬もいるし

どうでしょう」 

 レムは、周囲を。

 「アレ?」

 小径から少し森の中へ

入ったところに。

 何か見つけたようだ。

 「何、あれ」

 私は太い木の幹の周囲に。

 密集する雑草を

踏み分け

それを確めようと-----した。

 「ダメよ。皆山君。

 入っちゃ」

 レムが鑑識を呼ぶ。

 鑑識課員が写真を撮り

メジャーで位置を。

 遠目だが

ハンカチのようだ。

 「犯人のものかな」当庭も。

 「さあ、わかりませんね。

 ですが、

こんなわかりやすいところに

そんなもの捨てるものですか」私は。

 マナーの悪い者も-----だ。

 犯人のモノとは。

 「それは-----」

 当庭も考え込む。

 「まあ犯人というモノは

極度の緊張状態にあるしね。

 中にはそういう事をする者も-----

いるかも」当庭。

 「なるほど」

 まあミステリーでは

あまりあっさりと

その手のモノが発見されては-----。

 それで。

 「じゃあ皆山君は。

 アレが犯人のモノではないと」

 それを聞いていたレムが

割って入った。

 どういうつもりかは

知らないが

 「エッ?

 いや、そんな事は言ってはいないよ。

 調べてみなければ

わからないだろう」

 私は驚いたように。

 「まあそうね」レム。

 「とにかく下まで降りてみようか。

 また何か見つかるかも」私は。

 このあたりは空き缶やら何やら

その手のモノも多い。

 それを全て当たる鑑識も大変だ。

 レムも血のついた衣服か

何かがないか。

 それも、そこかしこに-----ある。

 血は-----ここからでは。

 そこまではわからない。

 昨日今日捨てられたものではないようだ。

 レムが森の中には

入れてくれない。

 「これは-----

ダメだね」

 当庭もあきらめ気味。

 自らの教え子を

さらに三人も。

 その当庭の目には。

 「尽川社長に

また会うつもりですか」レム

 当庭は

どうしたものかと。

 「会わなければ。

 しかし会っても-----。

 今の奴には何を言っても。

 私は彼の周囲を

洗ってみようと思う」

 それが正解か。

 私も。

 「ヒョットして

私が昨日-----。

 あの子たちが釈放された事を

尽川の奴に言ったために」当庭。

 「それは」レムも。

 「こんな事になるとは」

 わたしは何と言っていいのか。

 早く手を打たなければ。

 私は当庭をジッと。

 当庭は自らを責めているようだ。

 警察の作業は続いていた。

 我々は警察署へ。

 あの三人の-----。

 警察から 釈放されてからの

 行動を聞かれるようだ。

 そしてアリバイも。

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