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翌日。
光対の森。
光対神社の裏山の森。
朝モヤにかすむ小径を
大学生が一人
早朝ランニングを。
毎日の日課だ。
起伏のはげしい小径。
広葉樹のおいしげる山道を
軽やかなリズムで
走り抜けていく。
もう少し行くと
開けてくるはず。
この小径
往復すれば三キロちょっと。
手頃なコースだ。
もう少し時間が経てば。
この山道を下る頃には
いつものなじみの顔が
-----名前も知らないが-----
何人もすれ違うはず。
登りですれちがった事は-----
まずない。
眼の前が開けてきた。
もうすぐ折り返し点だ。
ンッ?
人が-----倒れている。
酔っ払いが寝ているのか。
ここからでは、よくわからない。
どうしたんだろう。
今は十月。
朝の気温は-----。
横目で様子をうかがいながら
走り抜けようかと。
血?
頭部から血が。
それも-----大量に。
大学生は-----
頭から血の気が引いていくのを。
全身に悪寒が走った。
「死んでる」
“どうしよう”
一瞬。
様々な考えが。
“とにかくケイサツへ”
震える手で携帯を。
110番。
よく見ると、まだ子供か。
身体は大きいようだが
“どうしよう”。




