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ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
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 光対中学、校長室。

 重苦しい雰囲気が充ちていた。

 校長も沈痛な面持ちだった。

 私はそれを横目に-----。

 「校長先生」

 当庭が口を開いた。

 教頭もいる。

 生徒指導の季末きすえも。

 「とにかくあの三人を

警察から連れ戻せたのは

当庭先生のご尽力のおかげです」

 「いえ、私などは。

 校長先生がいらして下さったからですし

 あの警部さん-----

日堀警部-----。

 校長先生の教え子なんだよ。

 皆山先生。

 この中学の卒業生」

 「やはり-----そうでしたか」

 私は-----

雰囲気的にそうではないかと。

 「それに彼のお子さんも荒れていてね。

 苦労させられた経験もある」当庭。

 「そうでしたか」私は。

 「私はどうしても

あいつらの無実を証明してやりたいと」当庭。

 「それは私も同じです」校長。

 「本当にあいつらが無実なら-----。

 身柄ももらい受けて来たことですし

警察にまかせておいた方が」季末。

 「季末先生。

 先生はあいつらが

どうなってもいいのですか」当庭。

 「このままでは

やってもいないのに

犯人にされてしまうのでは」

 校長もポツリと。

 「今回のように

また引っ張られるという事にでもなれば」当庭。

 「しかし下手に動いて

逆に疑われでも-----。

 いえ

警察の捜査を

混乱させるような事にでもなれば」季末。

 「それは-----

ありますか」当庭は。

 「しかしあの子たちにかかった嫌疑を

晴らしてやらない事には。

 教師としてできる限りの事は」私は。

 「皆山君の言うとおりだ」校長も。

 「ですがどうすればいいのか。

 私には」

 私も-----どうすれば。

 「真犯人を見つけるしか」当庭。

 「それしか-----

ありませんか」

 私は当庭をジッと。

 「一度。

 尽川に会ってみようかと」

 当庭が思いつめたように。

 「尽川-----さん?

 と言いますと」私は。

 「イヤ。

 二年前に自殺した生徒の-----」校長。

 「ああ-----あの」

 「しかし-----ですね。

 どうしてここで尽川が」季末。

 「被害者の親の

交友関係とかの方がいいのでは」私も。

 「それは-----。

 それも聞いたんだが。

 方々に当たってね」当庭。

 「あやしい人物はいない-----と」私は。

 「いや-----

峰月の親は資産家でね。

 その関係者に

金に困っている者もいるらしい。

 それも警察がマークはしているようだ。

 しかし

アリバイがある」

 「んーーー。

 でしたら-----。

 そう言えばその二年前の。

 いえ

親の方にもアリバイが」

 「だからこれから会いに行くんだよ。

 尽川の方は

居場所もわかっているしね。

 もう一人の方は

被害者の親の知り合いの方は」当庭。

 また虹口に-----刑事だ-----

聞くしかないか。

 「校長。

 いいですね」

 「私はかまわんよ。

 いや

ぜひ行きたまえ」

 「では私も」

 私はいつになく。

 当庭は少し

顔を曇らせた。

 当庭はそのまま外へ。

 私はあわてて追いかけようと。

 「皆山君」

 校長が-----呼び止めた。

 「授業はだいじょうぶかね」

 「はい。

 今日はもう」

 何せ新人教師。

 そんなに授業もない。

 私は当庭のあとを追った。




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