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プロローグ――少女達の鎮魂歌

新連載です!

書き溜め済みで、毎日深夜0時頃に更新予定! 


気に入って下さったらブクマなど宜しくお願いします!


 少女は――――歌う。


 喉が張り裂けんばかりに。

 舞台の中で少女は主役だ。少女の歌声は観客の全てを魅了する。


 たゆたう空気を少女は一人で操る。


 歌い、謳う。少女は死者への弔いの音色を奏でる。



 少女は――――踊る。

 小さな手を振りかざし、身体全体で命を表現する。

 少女は舞台の中で最も優れた踊り手だ。彼女の前ではどんな者でさえ叶わない。


 全てが全て、塵に還る。全てが全て、踊る少女の前では無に等しい。


 銃弾を掻い潜り、剣撃を避け、少女は命を穿つ鉄槌を下す。



 少女は――――跳ぶ。

 空に舞い上がった姿はまるでこの世とは思えない美しさだ。


 美しい所作から漆黒の銃身を取り出し、そして引き金を引く。

 数多の命を葬り去る鎮魂歌が鳴り響く。それに合わせて人は崩れ落ちる。


 少女は躍動を止めない。次々と舞台を飛び回る。



 少女は――――嘆く。

 可愛らしい外見からは想像が出来なかった程に悲痛な表情で。

 目一杯に涙を浮かべ、彼らの死を嘆く。


 少女は憐憫の情を浮かべる。人の脆さを知り、尚も泣く。


 死の山をうず高く積んだ絶望の上で少女は泣く。



 少女は――――悟る。

 累々と積み重ねた死の上で少女の表情は凍りつく。

 絶望を前にして嘆く自分が一体何者かを知る。


 軽々と死を生み続ける少女は少女では無い。


 そういう存在を人は少女とは呼ばない。



 少女は――――狂う。

 笑う。狂気に狂喜する。少女は死の上で高らかに叫ぶ。

 少女は死を願った。少女で無い自分など生きていて良い存在では無い。


 少女で無く、化物。化物は生きていてはいけない。


 その内、少女は小銃を取り出し、自身のこめかみに突き付ける。



 少女は――――

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