アクアってすごくない!?(フエルサ視点)
『僕達が、すごく弱い存在って知ってるよね〜。僕みたいなスライムが、今まで生きてこれたのには僕の体おかげなんだよ〜。』
体?ってどういう事?
『僕達が出会ったとき、僕は魔獣にやられてボロボロになってたよね〜。そこに、フエルサがやって来て僕に傷薬をかけてくれた。その時、僕の傷ついた部分がどんどん切り離されていったの覚えてる〜?』
うん。あの時、まずいことをしたのかって内心焦っていたよ。身体がぶちぶち切れるんだよ!
『ハハ。ごめんね心配させて〜。僕達って、分裂をしながら増えていくでしょ、あの時は、僕の死んいた細胞の部分で、これから分かれて行こうとしていた部分、そうだね〜分体って言ったらいいんかなぁ?それを切り離したんだ〜。僕は、栄養さえあればどんどん増えていけるしね〜。』
じゃあアクアは増え放題ってこと?気がついてないだけで、この世はスライムだらけ!?
『よっぽど過酷なところで生活しなければね〜。だから、僕の分体は世界中にどこでもいるよ〜。けど、やっぱり弱いからやられるから数はそんなに増えないよ〜。』
わかるんだ、自分の分体が世界中にいること!
『うん。僕の一部だからなんとなくね〜。そして、僕は、スライム種ではピュアスライムって呼ばれている。そのピュアスライムのオリジナル。出来ることは、細胞分裂を繰り返す、消化液を使いながら溶かし捕食すること〜、分体には出来ないけど、僕だけはもうちょっと他にも出来ることあるよ〜』
え?え?ちょっと待って!今、さらっとすごい事言わなかった?オリジナルってことは一番最初に生まれたってことだよね!すごいじゃん、アクアって!
『そんなことないよ〜。生きてこれたのもたまたまだよ〜。あの時、フエルサが助けてくれたから今も生きてるだけで〜。僕が死んだら、ピュアスライムはこの世界から消えることになってたけどね〜。』
これは何がなんでもアクアを死なせたらダメってことだね!
『そうなるかな〜?死んだら死んだで、その辺でスライム達がベチャって一斉に潰れだすくらいじゃないかなぁ〜ハハハハハ。』
いやいや、ダメでしょ!町中にスライムの死体が溢れ出すなんて!
『助けてもらった、フエルサの為にもまだまだ死ねないけどね〜。話を戻すけど〜、今、フエルサ身体中痛いんでしょ〜?僕の一部を君の中で飼ってくれないかな〜?』
飼うってどういうこと?身体は痛いよ。何をするでも痛い・・・その身体が痛いのと、僕の身体の中で君の一部を飼う事どういう繋がりがあるの?
『身体で飼ってもらって、分体に疲れの物質を食べてもらうんだ〜。そして、君の中で僕が増えるようにするんだ〜。そうすれば、疲れの成分を取り除くだけじゃなくて〜、傷も塞ぐことができるよ〜。』
そんな事したら、僕の中に、アクアがいっぱいになるって事?アクアに乗っ取られるって事?
『それはないよ〜。血液や、細胞の中に僕が少し入り込むくらい。僕の一部が取り込まれる時に分体には、君を攻撃しないことを伝えるから〜。』
あぁ〜さっき僕にしか出来ないって言ってたのは分体に命令する事か〜。けど、アクアの身体って僕の中で飼うには大きくない?
『それは、大丈夫だよ〜細胞レベルでちっちゃくなれるから〜。今だって、僕の分体”ドーラ"の中にいるし。』
誰!ドーラって!
『あぁ〜。ドーラって言ってもわからないよね。みんなが恐怖している、エンシェントドラゴンの事だよ〜。彼女、いっつも怪我してるから、怪我を直す為に同じ事してもらったんだ〜。その代わりに、僕のことを守ってもらう約束をしたんだ〜。それが、僕が長生き出来た理由なんだよ〜』
エンシェントドラゴンて、あの神竜だよね!しかも、雌だったようだし。そんなこともさらっと言わないで〜!!
『なんだか、人間とかが彼女の竜鱗が欲しくて襲いかかるみた〜い。そいつらをやっつけてる時に怪我するんだって。余談だけど、その腹癒せにそいつらやって来た街を破壊するんだって〜。彼女、普通に話してくれたら脱皮した時にでたやつあげるのにって言ってたけどね〜。』
襲った奴らもバカだけど、その腹癒せに街を滅ぼされた側は・・・それはそれとして、エンシェントドラゴンは身体が大きくてスライムみたいになってないから大丈夫だと思うけど、僕みたいなちっさな身体でも大丈夫なのかな?
『心配しないで〜、大丈夫だよ〜。乗っ取るほど分裂しちゃうとうまくいかずに自滅しちゃうんだ〜。』
う〜ん、なんだか怖いけど、疲れの成分が取れるならこれからもっと一杯訓練出来るしな〜。アクアは僕と一緒に強くなりたいって言ってくれたし。ここはアクアを信じるしかないよね?
『僕を信じて〜。』
わかった。信じるよ!で、アクアを身体で飼うにはどうすればいいの??
『さっき怪我全部直しちゃったよね〜?ちょっと痛いかもしれないけど、僕が入れるように傷作ってくれな〜い?傷は小さくていいから〜、傷も朝起きたら消えるし〜。』
うぅ〜、痛いのあまり好きじゃないんだよなぁ〜。小さくてもいいって言ってたから、小刀で親指の腹を少し切るくらいでいいのかな?一気にやらないと痛いから、エイ!
『ありがと〜。じゃあ僕の分体を入り込ませるね〜。もう、フエルサは寝てていから、傷が見えるようにしててね〜。ヨッ!』
『フエルサの血、美味しい〜!どんな食べ物よりも美味しいや〜!』
物騒なこと言ってるな〜起きたら血が吸い尽くされてるなんてことないよね?あ、もうだめだ、動きすぎたから横になったらすっごく・・・ねむ・・
『寝たね〜。さてと、フエルサの傷も塞いでと〜。ドーラと違ってフエルサ弱いから、傷と疲れを癒すだけじゃなくて、何かあった時に僕の分体が出て来て防御できる様にしてと・・・あと、ドーラにあったらみんなが欲しがっている竜鱗も〜らお!何に使うかはよくわかんないけど〜。けど、ドーラどこにいるんだろ〜?僕を、落っことしたこと多分気付いていないんだろ〜な〜。』
。。。
おはよ〜アクア!!傷治ってる!疲れは少し残ってるけど、動ける!すごいよ、アクア!
『おはよ〜フエルサ〜。昨日は僕を取り込むまでに時間が経っていたから、全ての疲れの成分を取りきれなかったみたいだね〜。』
けど、これで朝から動けるよ!さ!水汲みと薪割りに行ってくるね〜。アクアは母さんと一緒にいててね!行って来まーす!
『はーい!行ってらっしゃ〜い。』
昨日と違って、豆が出来ても回復するからサクサク終わる!!これなら訓練が一杯できる!!僕は強くなれるぞ!!ありがとう、アクア!けど、急に怪我しなくなったら、みんなビックリしないかな?どうやって誤魔化そうかな?まぁ、なんとかなるかな?
ところで、なんでドーラと一緒にいないんだろう?一緒にいれば絶対安全なのに?ま、とりあえず、早く終わらして朝ごはん食べよ!
誰かの視点で書くの難しいですね。




