出会い
この世界に生を受けた者は皆、魔力を持って生まれてくる世界。
人、エルフ、ドワーフ、獣人、動物、植物、さらには、モンスターに至るまで、ファンタジー世界に出てくるものを全て詰め込んで作った。神はどうやって進化していくかと、大昔に興味本位で。
ただただ詰め込んで作ってしまうと、人や動物などに強い魔獣やモンスターがこの世界を牛耳るだけになってしまうと神は考え、魔獣などはは地中の奥深くに住まいにし、弱い生物達を地上に住まわせた。それでも、地上に興味がある魔獣などは地下から出て行き、また、地下に興味があるもの達は地下へと行った。年月を重ねるに連れ、神が思う様に多様な進化をしていった。
神はそれを大いに喜んだ。
だが満足した神は、違うところで世界を違う形で作った。新しく作った世界では神は力を大いに振るい、神は皆から崇められる様になった。前に作った世界では、魔力が自在に使え、脅威のあるものが神といわれる様になったのが神は気に入らなかった。だから、違う世界で神は崇められる様になって、神はそっちの世界を溺愛する様になった。
そう、今まであった世界は見捨てられ、忘れられたのだ。
ただ、その世界は消滅することなく、脈々と命を紡いでいった。
これは、そんな神に見捨てられた世界で生きる一人の青年と『最弱』と罵られていたモンスターが英雄に成り上がる物語。
。。。
山と、森に囲まれた集落は冒険者や行商人が、一月に何人かが来る位ののどかな集落である。そこで暮らす少年『フエルサ』はこれからくる冬に備え食料を確保する為に、集落に住んでいる者総出で森に狩に出ていた。森は広大で、秋となった今は食料となる、動・植物が非常に富んでおり、また、それを目当てに魔獣やモンスターも溢れていた。ここに現れる様な魔獣は、この集落に住む者であれば一対一の戦いで挑んでも悠々と退治できる位なのだが、群れになると対処しきれなくなる為、集落の者が総出で狩に出るのだ。
フエルサはまだ、成人になっかったので危険度が低い食べれる植物を採取していた。ある程度、大人の声の届く範囲で採取していたのだが、微かに聞こえる大人達と違う声が気になり、採取をやめ声のする方へと向かった。
「かなりみんなから離れたけど、大丈夫かな?最悪、この笛を鳴らせば大人達は来てくれるよね・・・」
森の奥へと入ってしまい不安になったフエルサは、ぼそりと呟いた。装備らしい物をほとんど着けておらず、右手には鎌、背中には籠、ポーチには昼ごはんと傷をほんの少し回復させる傷薬が入っているくらいだ。こんな状態で魔獣にかち合えば一溜まりもない。
『タス・・・ケ・テ。』
『タスケ・テ』
『助けて』
奥に行くに連れて声が徐々にはっきりとしてきた。誰かが救いを求める声だった。
声のする方へ近づくと、一直線に木々が薙ぎ倒されていた。おそらく、何か大型魔獣の群が通り過ぎたのであろう。その一筋にのびた獣道に小さな水たまりの様なものが見えた。ここ数週間、雨が降っておらず、また、声のする場所もちょうど水たまりのところだった。周りに魔獣がいないか確認しつつ近づくと、水たまりではなく潰されたスライムの姿だった。
「君かい?助けを求めていたのは??」
質問に答えるかの様にプルプルと震えた。
「う〜ん、まさかスライムが助けを求めてたなんて思ってもいなかったよ。僕に害があるモンスターでもないし、助けてあげるか〜。傷を少し直すくらいしかできないけどいいかな?」
そういって、スライムに向かって傷薬を振りかけると、体が活性したのかボコボコと体を沸き立たせ、また、傷ついた部分を切り離しながらこぶし位のサイズのプルプルボディーになった。
『ありがとう。助けてくれて!ご飯を探していたらワイルドボアの大群に遭遇してしまって、必死に逃げたんだけど潰されてしまったんだ。』
「気にしないで!声が気になってここまで来ただけだから。ところで、スライムなのになんで喋れるの?」
フエルサがこう訪ねるのも無理はなかった。スライムから声を聞く何てことはまず無い。
『え?喋ってないよ!君の頭に直接語りかけているんだもん!念話だよ、ね・ん・わ!』
「はい???そんな事できるスライムなんているわけ無いよね!!」
会話はもちろん、念話なんてスライムが出来るなんて事は普通には考えられなかった。ましてや、でっかい猪にやられるくらいのモンスターに・・・
モンスターや魔獣が会話が出来無いわけでは無い。
知能が高ければもちろん出来る。知能が低くても長く生きる事でマネてできる様になる。魔力を使い、意志の疎通を行う。などが挙げられる。
例えば、エンシェントドラゴンやフェンリルなど・・・そこにスライムは含まれないはずであった。
また、とある集落に住んでいた子孫たちはどんなモンスターでも会話が出来る『モンスターテイム』の力を持っていた。とある集落の子孫たちの一人というのが、フエルサである。
ただ、モンスターテイムの力を発揮させるには、『契約の為にモンスターに血を飲ませる事』が必要であった。
『出来るよ〜。あ、僕これでもなが〜い間生きてたスライムから分裂したからね〜。僕の体の記憶からすると、この世界の始まりからいる一体から分裂したんだよ〜。だから、念話もできるよ〜。』
このスライムはこの世界が出来た時からいた、最古種のスライムだった。古来からいたモンスターなら、神などと祀られ恐れられるのだが、スライムはただその辺で栄養となるものを消化しているだけのモンスターで、簡単に殺されてしまう様なモンスターだから皆が最古種が生きているとも思っていなかった。
「そうなんだ!すごいね君!!念話って事は君の声は僕にしか聞こえてなかったんだ?で、なんで僕なの?」
『君たちの集落をこっそり見たときに、君が他のモンスターと優しく接していたのを見たからだよ〜。で、もし君がこの近くにいたらきっと助けてくれると思って〜。』
「よかったね、今日はたまたま森に来てたから助かったけど、いつも森にくると限ら無いから次は助けられ無いよ。」
『そうだよね〜。あの集落に住んでいるなら、君もモンスターテイマーなの?』
「そうだよ!」
『見たところ、君はまだモンスター連れてないよね〜。助けてくれたから、僕は君のパートナーになってあげる〜。」
「え〜スライムか〜・・・」
『おねが〜い、パートナーになって〜』
「そんなに長く生きたスライムの一部ならきっと強くなっていくよね?いいよ、契約しよう!」
『やった〜!!』
(本当は親と強いモンスターと戦って、契約しようとしてたけど・・・)
「じゃあ、僕の血を一滴飲んで!」
『は〜い!』
すると、スライムの体が光輝いた。
「これで、契約出来た!君はこれから僕のパートナーだよ。なんて君のこと呼ぼうか?」
『ありがとう〜!僕に名前つけてくれるの〜?!』
「水に見えるくらい透き通って見えたから、アクアってどうかな?」
『素敵な名前だ〜!」
「じゃあ今日から君はアクアだ!!」
。。。
これが、神に見捨てられた世界で逞しく生きる一人の青年と『最弱』と罵られていたモンスターが出会った時の話である。
初投稿です。
出来るだけ早く続きを投稿しようと思います。
頑張りますのでよろしくお願いします。
感想などいただけると嬉しい限りです。




