知らない人、知ってる人、じゃあ…あなたは誰?
少し暗いですが面白いと思ってくださると幸いです
「何だ?そんなにジロジロ見て」
「…そんなに見てたか?」
俺はかすかに分からないような態度を取って上原と接する。…だって恥ずかしいじゃねえか。…さっきまでどこ見てたとか言えるわけねえし。もし言ったとしても変態とか言われるオチだ。
「ああ、すごく見てた。何故だ?」
「いや…んな事言われてもなあ…」
聞かれても知らねえし…こういう時は何て答えればいいかだな。
「……えっとな、お前が…可愛いから見つめてた」
「なっ…!何を言ってるんだ!」
だってそれしか思いつかなかったんだよ!
別に本音の一つや二つぐらい言ったっていいだろ。恥ずかしいけどな…
「悪いかよ」
「…そんな事はないが……むしろ嬉しい」
「はぁ?」
こんなセリフを言う奴がいるんだな…。
普通は馬鹿じゃない?とか言うだろ普通は。
いや、馬鹿じゃないとセリフを言う奴は俺が知ってる人の中でたった一人だけか…。
「だって…女の子は嘘でもその言葉は嬉しいんだ。他の人はごまかしたりしてるがな…本当は嬉しいんだぞ?男はいい気はしないと思うがな」
そりゃそうでしょうよ…けどさ…本当に嬉しがってるのか分からない奴とかいるだろ…。ほら…例えば秋山とかさ。
「ま、俺はそんな事は滅多に言わねえからな…それに好きな人も作らないし関係のない事だ」
「そうなのか?」
「ああ…まあな」
「そうか…じゃあ…それは何故だ?」
俺は……その瞬間言葉に詰まった。
何を言い返せば分からない。どうしたら伝わるんだ?いや…そんなの俺の事なんて伝わるはずがない。ただ本音を言っただけだとしても近寄んなオーラが来るか同情されるだけだ。だって…
「俺は自分が大嫌いだからだ。それに…多分俺は幸せになっちゃあいけない。いや…なったらダメなんだ。だから…俺は誰も大切な人を作らない。それにさ……作ったとしても…いつかは自分以外の場所に行くよ」
予想通り…上原は呆然としていた。
そんな上原に…俺は笑顔を向ける。
「そういえばさー俺と上原って苗字似てるよな」
…そうして俺は、図書室から出る。
あんな空気に居られなかったし居たくなかった。
時計を見ると知らない間に授業の時間になっていた。
…上原…担任に怒られるだろうな。
俺は苦笑しながら、珍しくたまには授業を受けようと思い、教室にへと戻った。
「珍しいな上本。お前が授業に出るとは」
教室に戻るとそうすぐに久しぶりに見た担任に声をかけられた。
「だから何だよ」
「あっ…いや…とにかく席に座れ」
「……チッ」
俺が軽く舌打ちをすると、すぐに担任はビビって俺に一言も喋りかけてこなくなる。ったく…どんだけヘタレだよ…関係ねえけど。
まぁ、これで一応出席扱いにはなるからこれでいいだろう…俺は寝る事にする。
その時俺は…夢を見た。何かは分からない…よく分からない夢。ああ…そうだ、これは…
「もうっ…駿君ったら…バーカ!」
俺の…初恋の時の夢だ。
懐かしい…本当に。
「私…好きだよ?駿君のこと」
あーあれは本当に嬉しかった。
けど…その時代には嬉しくない事がたくさん詰まってんだよ。…あの日から…ずっと。
「近寄らないで」
「何で?確かに…俺は悪い事したけど…!」
「本当に怖いから止めて!お願い!」
…俺はあの時…ずっと一人だった。
何もかも一人、歩くのも一人、隣に歩く奴なんて誰もいやしない。
…苦しかった。
ただ…このひと言がその時の言葉。それ以外の何もない。
俺は…ずっとあの日から嫌いだ、大嫌いだ、何もかもが…!全部嫌いだ…!
いつからだろう…俺が俺じゃなくなったのは。…授業をたくさんサボるようになったり酒を飲むようになったのは…。
……そんなの1番良く自分が分かってる。
例え自分が悪くなったとしてもいい…それが悪い事だったとしてもいい…俺は……
俺は自分が嫌いで…その自分を消したかったんだ…。
少し意味が分からないかもしれません…ですが、後々説明していくのでどうかご愁傷ください。