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険悪な奴

「は?何それ?」

……こいつ腹立つな…。んだよ、その目は…。

「だから…次俺の前で不良を侮辱すんなっつってんだよ。次やったら女でも容赦しねえぞ」

「侮辱はしてないわよ…けどさ、あんただって分かってんでしょ?不良は良い方には思われてないって…それなのに何で不良なんかしてるのよ?」

俺はその言葉に、一瞬心が動いた。

確かに不良はみんなからしたら悪い、という方に考えている。けど不良だって優しいやつとか普通にいる。例えば……一馬だ。一馬も不良だが普通に優しいしそれなりの知識は持っている。

けど……俺には何にもねえな。けど不良は…やりたくてやってるわけじゃない。そりゃやりたくてやってる奴もいるが…ほとんどの奴は、こうなんじゃないか?

「事情がある奴が…ほとんどだと思うぜ。それに耐えきられなくなったから自由でいられる不良になる。例え誰かに迷惑をかけても今の自分にはどうでもいい。関係ない。自分の事に首を突っ込んでくるな。…そう思ってんじゃねえの?」

俺は自分の事のように言う。

…だって俺は実際今言ったことに当てはまってるからだ。もう俺の事は放っておいてくれ。構うな。

それが……俺だ。

「要するに……可哀想な奴ってことね」

「まぁ…そういうこったな」

「……じゃあさ、あんたも…可哀想なやつか」

「えっ?」

……そうか、今の言葉を俺が頷いちまったら俺も可哀想な奴になるのか……確かにそうだな。

俺は…誰にも心配されない人間。

というより、自分から離れていってる。

「確かにそうだ。…俺は、可哀想なやつだよ」

俺は今日初めて…人と目が合うように話した。

人と目が合うのは苦痛だ……自分の心の中を知られなくない。例え一馬でも誰でも…嫌なものは嫌だ。

俺は……本当に可哀想なやつだな。

「駿ー!さっさと来い!」

声がかかった。

しかも俺に。学校ではほとんど教師にしか声をかけられない俺に。

そうだ…俺だって友達ぐらいはいるんだ。分かち合ってなくても、ストレスの解消くらいにはなる。

「じゃあな、秋山」

「…バイバイ、上本」

こいつ俺の名前覚えてたんだな…。

意外だ。もう会わないとは思うが…名前だけは覚えておこう。名前だけは…。

そしていつの間にか…秋山は教室かどっかに戻っていた。俺が知らない間に。

俺は廊下の向こうをずっと眺める。

一馬達の声が聞こえるのに、俺はそこをずっと眺める。…何故か気になった。そこが。

向こうの廊下の教室の隣……図書室が。

「悪い!先行っててくれ。後で戻ってくる!」

「は?おい?駿!?」

俺は一馬の呼びかけに応えず早足で図書室に向かう。俺も何故図書室に行ってるかは分からない…だが、気になったのだ。

今の時間は誰もいねえはずなのに…何があるってんだ?それとも気のせいか?

その瞬間…俺は図書室の扉を開けた。

「…失礼するぜ」

中を見てみるが…やはり中には誰もいなかった。やっぱり気のせいか?だったら俺の体はどうなってんだ…

俺は図書室を出ようとした瞬間…足下から少し奥に…何かを見つけた……っていうか、あれって足…?

いやまさか…人が倒れてるのか…?

俺はまた早足でその場所に行く。すると…やはり人が倒れていた。細い美人の少女が。

「おい!大丈夫か!?」

ったく、こいつは一体何してんだ!馬鹿かよ!

とにかく保健室に運ばねえと…

俺はその少女を手で立ち上がらせて手を肩に回す。

そして急いで図書室を出て、保健室に行くのだった…


………………………………………………………………


「では、その子を安静にしておいてね」

「はい…」

俺は保健室の先生に返事をすると、先生は保健室から出る。…さて目が覚めるまで待つか…授業サボれるし。何か雑誌とかねえか…?いや、寝るか…こんな事滅多にねえし…。

俺はその子が寝ていた隣のベッドに寝転ぼうとすると…俺の体重でか、ギシッとでかい音がなった。

「やべっ…起きちまう……って案の定起きてる!」

っていうか目がばっちりだし!

いつから起きてたんだよ!

「悪い、起こしてしまったか?」

「あの、すみません…誰ですか?」

そいつは俺の言葉に応えずまず名前を聞いてくる。

んなに信用出来ないか?

「上本駿だけど…お前は」

「私?私は上原希だけど…」

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