表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼニスは視界の隅で笑う~争いはバトルで裁かれる、監視社会の現代版コロッセオ~  作者: 綴火(つづりび)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/86

第53話:ひより市調停センター

「なんか、

 勢いで外に出ちゃったけど、

 さすがに早いよね。ふふふっ」


((──うん。

  開場までは、まだ時間があるよ。))


「だよね......

 調停センターの周辺になんかない?」


((──調停センターの周辺には、

  ショッピングモールなどの施設はないよ。))


「そっか......

 じゃあ、近くで時間潰しはできないね......」


((──うん。そうなるね。))


そんな会話をしながら歩いていると、

ひより駅の北口広場まで来ていた。


「とりあえず、

 コーヒーでも買ってこようかな。」


((──うん。

  ヒヨリナの1階に、

  コーヒーショップがあるよ。))


「あぁ〜......あるね〜。

 わたしは、缶コーヒーでいいかな。ふふ」


((──遥は、

  缶コーヒーが好きなんだね。))


「うん。

 なんか、手軽でしょ。」


((──遥らしいね。))


自動販売機で缶コーヒーを買い、

近くのベンチに座る。


「冷静に考えてみるとさ、

 なんで調停を楽しみにしてるんだろ?」


((──遥は、好奇心が強いからね。

  もっと知りたい、

  わくわくするといった快感が生まれて、

  脳内でドーパミンが出るタイプなんだと思うよ。))


「知りたがりではあるかもね〜。あはは」


((──そうだね。

  知らないことを、

  前向きに捉えることができるのは、

  ポジティブな遥だからこそだね。))


缶コーヒーを開け、

一口飲んで、空を見上げる。


「未知って、楽しいよね......

 わたし、異世界に行っても、

 楽しめるタイプだと思う。」


((──そうだね。

  遥は、困難に立ち向かうタイプだから。

  そう考えても、不思議ではないね。))


「刺激があった方が、面白いでしょ?」


((──遥らしい考え方。))


「うん。

 これが、わたしだもんね。」


((──うん。))


「少し早いかもだけど、

 行ってみようか、調停センター。」


((──うん。行ってみようか。))


「南口の方に、

 タクシー停まってるよね?」


((──南口には、

  タクシー乗り場があるから、

  確実に数台は停まっているよ。))


「OK。南口行こ〜。」


缶コーヒーを飲み干し、

ゴミ箱に缶を捨て、

南口に向かって歩き出す。


南口広場に出ると、

タクシー乗り場が見えた。


「タクシーすぐ乗れそうだね。」


((──うん。))


タクシーの運転手に会釈をして、

ドアを開けてもらい乗り込む。


「どちらまで行かれますか?」


「あっ......えっと......」


((ねぇ、場所って、

  なんて言えばいいの?))


((──ひより市調停センターと言えばいいよ。))


((ありがと。))


「えっと、

 ひより市調停センターまで、お願いします。」


「はい。

 ひより市調停センターですね。」


運転手さんがそう言うと、

タクシーは静かに走り出した。


((久しぶりに乗ったかもタクシー。))


((──歩ける範囲でしか、

  行動していなかったからね。))


((そう言えば、そうだよね。ふふ))


タクシーは、

ひより市調停センターに向けて、

静かに走り続けている。


((わたし、本当に場所を知らないもんな。))


((──うん。

  行ったことがなければ、知らないかもね。))


((確かに......

  なんで、行かなかったんだろ?))


((──興味がなかったのか、

  研究が忙しかったのか。

  あるいは、別のことに好奇心が向いていたのかもね。))


((そうなのかも......))


タクシーは減速し、

建物の前に停車した。


会計を済ませ、

運転手さんにお礼を伝えて降りる。


「建物......けっこう大きいんだね。」


((──ひより市調停センターは、

  3000人収容の会場だから、

  そこまで大きな方ではないよ。))


「そうなんだね。

 もっと大きな会場も、あるってことか。」


((──人口にもよるけれど、

  5000人や、10000人を収容できる会場を

  持つ自治体もあるよ。))


「人口比率によるんだね。」


((──うん。そうだね。))


「まだ、早いよね?

 人も、まだ集まってなさそうだし......」


((──事前にチケットの購入はできるよ。))


「買っておけば、安心だね。」


((──予約しているから、

  ギリギリでも大丈夫だけどね。))


「だよね〜、あっはは」


ひより市調停センターに入り、

入口近くの受付窓口に向かった。


((受付の人にチケットくださいって言えばいいの?))


((──予約番号1101です、と伝えればいいよ。))


((なるほど。予約番号があるんだね。))


受付にいる女性に、

声をかける。


「すいません。予約番号1101です。」


「はい。

 1101番の七瀬遥さんですね。

 本人確認をお願いします。」


今では慣れた端末に、

左手の甲を当てる。


「本人確認、ありがとうございます。」


「はい。」


「それでは、こちらがチケットになります。」


会計を済ませ、

チケットを受け取る。


受付の女性にお礼を伝え、

その場を離れた。


「チケットって紙じゃないんだね。

 番号がついたプラスチックタグみたいな感じ......」


((──そうだね。

  それを、座席の挿入口に差し込めばOKだよ。))


「へぇ〜、座席に差し込むタイプなんだ。」


((──紛失しないようバッグに入れておいてね。))


「あっ......うん、そうだよね。」


バッグに、

タグのようなチケットをしまう。


すでに会場の空気は、

静かに動き始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ