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陽キャアイドルの幼なじみの秘密を陰キャオタクの俺だけが知っている件について  作者: 水沢紗奈
Stage.2 ゲーム制作と深まる関係

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Voice.10 ちょっと相談があるんだけど、いいかな?

 放課後、俺達はゲーム制作部の5人目の仲間を探すために、学校の壁に部員募集のポスターを貼る。


「それにしても最初は部員集まるか不安だったけど、けっこう早く集まるなー」

「そうだな」


 メガネの言葉に俺が相槌を打つと、文豪が言った。


「もしかしたら超人気の部活になったりするかもしれないぞ。部員数30人とか」


 俺はそうなった部室を想像する。

 そんな人数居たらみんな部室に入りきらないだろうな。

 篠原は苦笑いした。


「それはさすがにないと思う。けど……」


 貼り終わったポスターを4人で眺める。

 篠原は言った。


「5人目は、早く集まるかもね」


 1週間後――。


「来ない!」


 5人目の入部希望の生徒は来なかった。

 屋上でメガネが叫ぶ。

 俺達3人は1週間前と同じように屋上でお昼ごはんを食べていた。

 篠原は明石達と3人で教室でお昼ごはんを食べているからここには居ない。

 文豪が言った。


「よく考えたら作詞作曲できて歌える人探すってすごく難しくないか?」

「まあ作詞作曲できたら音楽系の部活行くだろうしな」


 俺が言うと、メガネはため息をつく。


「どうしよう……。このままだと部活じゃなくて同好会になるんだけど」


 どうすればいいか3人で考え込むけれど、答えが出ない。

 文豪が口を開く。


「とりあえず、今日仮入部終わったらみんなで音楽系の部活行ってみるか」


 俺達4人は仮入部が終わった放課後に、みんなで合唱部と軽音楽部に行くことにした。

 合唱部に行って、同じクラスの女子に声をかける。


「うち合唱部だから、歌える人なら居るけど作詞作曲できる人は居ないよ」


 次に軽音楽部に行って、同じクラスの男子に声をかけた。


「うちは作詞作曲できて歌える人なら居るけど、バンドの練習で時間がないから兼部してくれそうな人は居ないかな」


 合唱部の女子と軽音楽部の男子の話を聞いて、俺達4人は肩をおとす。

 ――その夜。

 自分の部屋に居た時、家のインターフォンが鳴る音が聞こえた。

 玄関に行ってドアを開けると、篠原がタッパーを持って立っていた。


「篠原」

「あ、たっくん」

「ど、どうした?」

「夜ごはんのカレー作りすぎちゃったからおすそわけ」

「ありがとう」


 篠原からタッパーを受け取る。

 篠原をリビングに通して、お茶を出した。

 リビングには母さんと姉ちゃんが居て、父さんは仕事だからまだ家に帰っていない。

 母さんが台所で、タッパーに入ったカレーをご飯を盛りつけたカレー皿に取り分けて、ダイニングテーブルに置く。


「わー。すっごくおいしそう」


 姉ちゃんが声をあげる。


「本当ね。お店で出てくるやつみたい」


 母さんが言うと、篠原は顔を赤らめた。


「見た目はいいけど、おいしいかどうかはわからなくて……。私が作ったから」


 篠原の言葉に、俺は驚く。


「え!? これ、篠原が作ったのか?」

「うん。今日の朝学校行く前に準備して私が作ったよ」


 篠原は自信がなさそうだけど、すごくおいしそうだ。

 3人で手を合わせて、声をそろえて言う。


「いただきまーす」

「ど……どうぞ」


 篠原に言われてから、俺達3人はカレーをスプーンですくって食べる。

 スパイスの効いた辛さが口いっぱいに広がった。


「……おいしい」

「本当に!?」


 ふと出た感想に、篠原が詰め寄る。


「本当だよ。すごくおいしい」

「よかったー」


 俺が言うと、篠原は安心したような顔をした。


「おいしい! 朝陽ちゃん料理上手ね」


 母さんが甲高い声をあげる。


「うん。毎日食べたいくらい」


 姉ちゃんが言う。

 篠原は恥ずかしそうに笑った。


「みなさん、いくらなんでも誉めすぎですよ」


 カレーの皿をを片づけていると、篠原が声をかけてきた。


「たっくん」

「何?」

「ちょっと相談があるんだけど、いいかな?」


 篠原の相談を聞くために、2人で俺の部屋に移動した。

 篠原に俺の部屋を見られるのは初めてだから、なんか緊張する。

 俺がドアを開けて入るのに続いて、篠原が部屋に入って言った。


「わー。たっくんの部屋、私の部屋に似ててなんか安心する」


 そりゃそうだ。

 俺の部屋は柚木真奈さんのCD、ブルーレイ、アクリルスタンド、タペストリーに囲まれた部屋なんだから。

 篠原の部屋とほぼ変わらない。

 だけど……幼なじみっていっても、いちおう男の部屋なんだけどな。

 変わらない篠原の様子を見て、なんでかわからないけどちょっと落ち込む。


「どうかした?」


 篠原に呼ばれて、俺は我に返った。


「な、なんでもない」


 向かい合って座る。

 篠原は何かに気づいたように言った。


「あ、たっくん。ちょっと動かないで」

「う、うん」


 まっすぐに見つめられて、胸の鼓動が高鳴る。

 篠原はハンカチを取り出して、俺の口もとをぬぐった。

 笑顔を見せる。


「口にカレーのご飯粒ついてた」

「あ、ああ。ありがとう」


 別のことを期待してしまった自分が恥ずかしい。


「そ、それで、相談っていうのは何?」


 篠原は口を開いた。


「今日の帰り道に茉昼と夕乃から聞いたんだけど、放課後にすごく声の綺麗な女の子の歌が聴こえるって噂があるらしいの」

「本当に?」

「うん。他の友達にも確認したけど、何人も聴いたって言ってた」

「そっか」

「それで、その子の歌どんな歌か気になってるんだよね。だから明日、みんなにも相談してみようかと思ってるんだけど」

「わかった」


 こうして俺達は、屋上で歌っている人を探すことにした。

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