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【改稿版】戦国幻獣物語 〜目指せ、戦国ひきこもりモフモフ生活! 八百万の幻獣をモフって今日も生き抜くぞ、おぉーーっ!〜   作者: 蒼葵美
20XX年 戦国時代に連れて行かれる!?

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0004. その説明、嘘ですよね?

ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてもらえると嬉しいです。

 彼女の説明をまとめると、並行世界の私は、異世界からエネルギーを抽出する技術を発見したが、未完成なため、抽出したエネルギーを自分の時代ではなく過去――つまり戦国時代に送り込んでしまっている。そのエネルギーが暴走寸前で、このままだと世界が連鎖的に崩壊し、私たちのこの世界も消滅する、と。あまりの内容に頭が少し真っ白になり、止まりかける。


「……はた迷惑な話ですね。自分の世界だけじゃなく、こっちまで巻き込むなんて。私の狐火ちゃんまで消えるのは許せない」

 そこで、ふと疑問が浮かんだ。1つ気づいたけど、並行世界のわたしを止めて、その機械?を壊せば、解決するんじゃない?なんでしないんだろう?


「卑弥呼様、一つ質問です。なぜ、その〝並行世界の私〟を直接止めて、原因の機械を破壊しないんですか?」


「あぁ、いい質問ね。実は一度、別の並行世界のあなたにそれを頼んだの。でも、返りうちに遭って亡くなっちゃったのよ。それからは警備が厳しいのよ。さすがに何度も同じ時間軸に送ることができないし、並行世界はあなたの世界より科学力が上だから、今のあなたを並行世界の令和に送り込んでも、秒で殺されるだけよ」


「えぇ、それじゃぁ、卑弥呼様たち神様が直接動けばいいじゃないですかぁ」


「私たちの力は強すぎて、世界に干渉すると歪みが大きくなって影響が出ちゃうのよ。よくあるでしょう?〝神は地上に直接手を出せない〟っていうお約束よ」


「それじゃ、私より強い軍人とか武器を扱える人に頼むとか……。あるいは、その警備を突破できるくらいの強力なチートを私にくれるとか」


「それはダメ。これは〝あなた〟自身の問題だから。並行存在とはいえ、自分の蒔いた種は自分で刈り取らないとね、自己責任よ。例え、並行世界の自分でも。だから、他の人は考えてないわ。それに、強すぎるチートはあなたの魂が耐えられないわ。いくら身体強化しても上限はあるからね。それぐらいは想像できるでしょ。身体強化のし過ぎは、身体に毒だって」

 もっともらしい理由を並べてはいる。けれど、私は見逃さなかった。質問し始めてから、質問を重ねるたび、彼女の口元が楽しそうにニヤけていくのを。


(……なるほどね。神様達は、私をおもちゃにして遊ぶ気満々だな?)

 本当に世界が消滅するほどの危機なら、神々がこんな悠長に構えているはずがない。それぐらいヤバければ、自分たちが動いてるはずだし。それに、さっきから彼女の表情に焦りの色は一切ない。

 卑弥呼様の目が、ふっと細められた。私の考えを、見透かしたかのように。


「……卑弥呼様。卑弥呼様を信じないわけではありませんが、本当に、世界は消滅するんですか? 例えば、その不完全な技術とやらは、並行世界の私が寿命なりで死んだら、自然に止まったりして、そのまま解決しちゃいませんか?」

 私の指摘に、ほんの僅か、卑弥呼様の眉がピクリと動き、焦った表情になった――間違いないな。私はこの神様に試され、そして、おもちゃにされようとしている。ブラック企業で理不尽に耐えるのも、ここで神様の気まぐれに付き合うのも、大差ないか。

 どうせ今の生活に未練はない。両親も早逝してもういないし、彼氏もいないし。ぶっちゃけ狐火ちゃん達が一緒に行ければ、十分なんだけどね〜。ならば。

(……よし)

 私はぐっと顔を上げ、卑弥呼様と正面から向き合った。


「卑弥呼様。今の説明、いくつか納得できない点があります。私を納得させられるだけの、誠意を見せていただけますか?」

 私の言葉に、彼女は面白そうに口角を上げた。


「ほう、誠意、ね。いいじゃない、その度胸。気に入ったわ。いいわよ、何でも言ってみなさい。あなたの疑問に、私が答えられる範囲で答えてあげる」

 その言葉を待っていた。私は一つ息を吸い込み、交渉のカードを切る。


「まず、〝世界の危機〟という話。本当はそれほど切迫した状況ではないのではありませんか? 神様であるあなた方が、そんなに楽しそうにしているのはおかしい。これは、あなた方の暇つぶし……一種の〝ゲーム〟なのでは?」

 図星だったのだろう。卑弥呼は扇子で口元を隠したが、その瞳は笑っていた。


「ふふ、鋭いわね。まあ、完全には否定はしないわ。確かに、あなたの活動の進捗を〝観察〟するついでに〝観戦〟するから。でも、あなたたち人間にとっては紛れもない危機。それは本当よ」


「では、その危機を回避するための〝対価〟として、私にもっと有利な条件を提示していただきたい。ただ転生させられて、危険な役目を押し付けられるだけでは割に合いません」

 ブラック企業で培った(?)交渉術が、こんなところで役に立つなんて。私は畳み掛ける。


「例えば、私の大事な狐火ちゃん……私の家族のような存在なのですが、彼女も一緒に転生させてください。それから、チート能力。〝死なない程度〟ではなく、私が快適に、そして安全に任務を遂行できるレベルの、強力なものを要求します」

 私の要求に、卑弥呼は楽しそうに喉を鳴らした。


「いいわ、面白い。その交渉、乗ってあげる。あなたのその気概に免じて、特別にね。ただし、全てを叶えてあげるわけにはいかないわ。どこまで勝ち取れるかは、あなたの交渉次第よ」

(この状況、逆手に取ってやる。どうせなら、最高の条件で転生してやろうじゃないの!)

 こうして、しがない社畜OLだった私の、神様を相手取った前代未聞の転生条件交渉が始まったのだった。


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