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【改稿版】戦国幻獣物語 〜目指せ、戦国ひきこもりモフモフ生活! 八百万の幻獣をモフって今日も生き抜くぞ、おぉーーっ!〜   作者: 蒼葵美
14XX年 モフってたら生活基盤ができました

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0035. ウラ話は予想通りのご都合主義

 私の演技に満足したのか、母上は場の空気を整えるように一つ息をつくと、静かに語り始めた。その表情は、どこまでも真剣だ。


「……あれは、琴、あなたが産まれる前夜のこと。わらわは、出産を前にあまり眠れず、うつらうつらしていると、どこからか聞こえる声に、目を覚ましました」

 母上は、昨日のことのように思い出しながら、私がびっくりしないように優しい声で続ける。

「声の主は、少し掠れたような声をして、ご自身を宇迦之御魂神ウカノミタマノカミと名乗り、わらわに神託を授ける、その言葉を忘れるな、と。そうおっしゃった瞬間、周りの音が全て消え、空気が神々しい光に満たされたのです。おそらく、わらわは神域に招かれたのでしょう。あの場所がどこかは聞けなかったけど」

(おぉ、神域……! いきなり神域に連れていくとは、聞こえはいいけど、それって完全にUFOアブダクションの体験談じゃないか!)

 うぉぉ、話が面白すぎて、私の口角がむずむずと上がってしまう。いかん、いかん。引き締めろ、私の表情筋!


「琴? なぜ、にやけているのですか」


「いえ! あまりのおはなしに、おどろいて、かおがひきつっただけでごじゃいます!」


 危ない! 母上の目が、若干すわっている。ここは必死の赤ちゃん言葉で誤魔化すしかない。

 母上は怪訝そうな顔をしつつも、話を続けた。


「……まあ、よいでしょう。でも、琴、これは紛うことなき、本当のこと、殿にも身命を賭して、お話をしたことなのですよ。

 それじゃ、御稲荷様が授けてくださった御神託を伝えるわね。御神託は三つ。確とお聞きなさい」


一つ、そなたに〝姫御子〟としての加護を与える。

(はい、知ってます。なんなら、加護はお腹いっぱい、複数あります)

二つ、御使いの白狐びゃっこを、そなたの守り役として遣わす。

(狐火ちゃんのことね、了解!本当は白狐じゃないけど)

三つ、そなたを、決して嫁に出してはならぬ。

(――キタ! これ! 確変大当たり確定の神託!)


 あまりの嬉しさに、私は両手の拳をぐっと握りしめた。これで私の「ひきこもりスローライフ」は、神のお墨付きとなったのだ!

 母上の話を引き継ぎ、父上が重々しく口を開く。


「真里からその話を聞いた時、儂は腰が抜けそうになったわ。だが、今は信じておる。そして、そなたを守るため、社と、それを守る砦を築くことを決めた。

 そなたの周りにも護衛衆を用意している。護衛だと気付いているかも知れんが、今、居るのは氏兼や二郎太郎、たきじゃ。他にもおるが、他はまたあとでな。 

 あと社の場所じゃが、言っても、わからんじゃろうが、ここから南側にある地じゃ、我らが最初に、この地に来た白浜とこの地の間にあるような場所じゃ。

 ……姫御子となるそなたには、いずれ、その社に移り住んでほしい。気が進まぬやもしれぬが、どうか、聞き入れてはくれぬか」

 そう言うと、父上は私に向かって、深々と頭を下げた。

(うわ、父上が頭を下げた!?)

 これは予想外だった。そして、内心の喜びとは裏腹に、私は健気な娘を演じきることを決意する。

(氏兼叔父上と太郎兄上が護衛なんだ、よく会うなぁとは思っていたら、そう言うことだったのね。たきも世話してくれるのに、時々、周りの様子をうかがっているなぁと思ってたのよね、そんなに気にするぅって。

  あと、他の人って誰だろ?まぁ、引っ越せば、わかるか)


「ちちうえ、あたまを、あげてくださいまし」

 私は、悲しそうに眉を下げ、潤んだ瞳で(多分、そんな感じの顔で)両親を見上げた。


「むずかしいおはなしでしたが、すこしわかりまちた。こと、ひめみこ?になって、べつのばしょへ、いけばよいのでしゅね?」

 私の言葉に、母上が優しく頷く。


「ええ。他に何かをせよ、との御神託はありませぬ。今後は、琴、あなたに直接、御神託が下るやもしれません」


「わかりまちた。……それで、いつ、おひっこししゅれば、よいのでしゅか?」


「それは、二、三年先じゃ。まだまだ時間はある。時期が決まれば、必ず知らせるゆえ、安心せよ。それまでは、姫御子のことは秘密じゃぞ」


(よっしゃー!)

 心の中で、私は盛大なガッツポーズを決めた。

 与えられた猶予は、二、三年。その間に、スキルを鍛え、魔法を試し、来るべきひきこもり生活を充実させるための、あらゆる実験を行うのだ!

 神々の【やらかし】は、結果的に私に最高の研究期間を与えてくれた。

 このご都合主義、とことん利用させてもらおうじゃないか。

 私の野望は、今、静かに、そして確かな一歩を踏み出したのである。

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