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【改稿版】戦国幻獣物語 〜目指せ、戦国ひきこもりモフモフ生活! 八百万の幻獣をモフって今日も生き抜くぞ、おぉーーっ!〜   作者: 蒼葵美
14XX年 モフってたら生活基盤ができました

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0030. 神々からの手紙はご都合主義の塊でした

 赤子の私にできること、それは念じることだけ。

 私は焦燥感を振り払うように意識を集中させ、アイテムボックスの中から「手紙」を取り出す。目の前に、半透明の光のプレートがふわりと浮かび上がった。そこに書かれていたのは、予想通り、あの神様の悪ふざけに満ちたメッセージだった。


【手紙】

『やっほー、琴ちゃん。いろいろ説明するわね。

まず転生年代だけど、1440年代のどこかよ。あなたの知る歴史とは少し違うから、前情報なしで楽しんでね!(ホントは手違いで100年ほどズレちゃったけど、まあ、三英傑もいないし、やりたい放題だから結果オーライよね!)』

(……手違いだと!? しかも開き直り方がすごい! 私の人生設計をなんだと思ってるんだ!

 私の計画は、ある程度の歴史知識を前提とした、安全地帯でのスローライフだったはず。1440年代って、応仁の乱のどれくらい前?どっちにしろ、私が知ってる戦国武将なんて一人もいない、混沌とした時代じゃないの!

 それよりも、狐火ちゃんが見えない理由は?)

 怒りに震えながら、私は続きを読む。


『次に陰陽師のスキルについて。

【陰陽五行】は、木・火・土・金・水・陰・陽の七系統の魔法よ。あなたはゲームで魔法を使ってたみたいだから、イメージはすぐ掴めるはず。

 ちなみに無詠唱でOK。詠唱したいなら、どうぞご自由に。ドヤ顔での詠唱、楽しみにしてるわ。


【式神】は、紙の使い魔と、ゴーレムのコアの二種類。陰陽五行の木・土・金の応用とか、割と自由度があって、やり方次第で色々できるから、実験してみて。


【鑑定眼】は、あなたの知識量に依存するから、人生日々勉強よ。オマケに膨大な書庫(データ版)も入れといたから、ちゃんと読むこと。 

 小さいうちは、一人になれないだろうから、他の人から見れないようにしてあげるわね。夜でも読めるように、ナイトモードも付けといたわ。これもオマケね。

 だから、ちゃんと読むのよ。読んでないと、いろいろと大変になるから、忘れないでねぇ。


【易占術】は、万物を形成する根源力であり、宇宙を構成する「気」の変化を把握して解釈し、未来を占う事が出来る力よ。

 しっかり育てれば、物理的にも、心理的にも相手の動きが読めるようになるから。あと、天候もね。


【厄祓術】は、回復ヒール・状態異常解除・浄化ができる便利スキル。食べ物の毒消しにも使えるから、グルメライフに役立てて』

(……うん、スキル説明は思ったよりずっと親切だ。狐火ちゃんとスキル練習したり、いろいろと楽しめそうね。書庫データにナイトモード付きとか、気が利きすぎているのが逆に不気味だけど……まあいいわ。狐火ちゃんとの幸せな生活に役立つなら、利用させてもらう!)


 私は少しだけ神々を見直し、続きを読む。そして、最も重要な部分に差し掛かった。

『最後にオマケのこと。あなたの部屋にあった荷物、ぜーんぶ入れといたわ、PCも冷蔵庫も洗濯機も。もこっちの世界ですぐ使えるように、魔力で動くように魔改造済みよ。エネルギー(あなたの言う魔素のことね)を充電すれば、前と同じように使えるから。

――で、本題。あなたの相棒がハッキリ見えない理由、それはね。』

ゴクリ、と私は唾をのんだ。

『そのオマケの家電たちを維持するために、あなたの魔力が常時、リソースとして使われているからよ。その分、魔素をしっかりコントロールする力が足りなくなって、幻獣を安定して知覚するところまで魔素を使えてないからよ。

 荷物がなければ、もっとハッキリ見えたかもね!なんなら、アイテムボックスから出せば、大丈夫よ。 まぁ、今の状況だと家電を出したら、ヤバいだろうから、早く会いたいなら、魔力を鍛えることね。

 鍛え方は、もちろん、教えなーい。あなたの試行錯誤を観察して楽しむから、頑張ってね!』

「…………」

【や】【ら】【か】【し】

 その四文字が、私の脳内で巨大なテロップとなって流れた。

 原因、お前らか! 良かれと思ってやったことが、完全に裏目に出てるじゃないか! 私の感動を返せ!


(PC? 冷蔵庫?そんなもののために、狐火ちゃんの顔が見えないなんて!そんな現代文明の機器より、狐火ちゃんのモフモフの感触の方が一億倍大事なのよ)

 私は怒りのあまり、赤子の体でできる最大限の抗議として、虚空に向かって意味もなく手足をバタつかせた。

 神々の良かれは、いつだって致命的なバグを内包している。それが世界の真理だ。


(上等じゃないの!狐火ちゃんの顔をはっきり見て、その毛並みを心ゆくまでモフモフするためなら、どんな苦行だってやってやるわ!

 でも、どうやって、魔力を鍛えればいいの?)

 もう一度プレートに目をやると、そこには小さな文字で追伸があった。


『P.S.

魔力を鍛える方法で悩んでるみたいだから、あなたの社の地下に、ダンジョンを作ってあげたわ。八百幻にあった洞窟タイプね。訓練だけでも経験値は入るけど、中にいる魔獣を倒した方が効率的よ。

 まあ、死なれても困るし、これくらいのご都合主義は許してちょーだい!最初のうちは、魔獣倒したりするのに、忌避感が出ると思うけど、まぁ、無理せずに地道に頑張るのよぉ〜』

……はぁ。

 私は、天を仰いだ。もう、ツッコむ気力もなくなった。

 原因は腹立たしいけど、対策も用意されている。しかも、チートすぎるほどの、ご都合主義の嵐。

(……観察されてる。でも……、これがあれば、狐火ちゃんと一緒にレベル上げして、早く強くなれるってこと……? くっ…悔しいけど、ありがたい…じゃないの!)

 私が悩んだタイミングで、この追伸。私の行動も思考も、全て筒抜けなのだ。

(いいでしょう。乗ってやろうじゃないの、そのご都合主義に)

 どうせ神々の掌の上なら、その上で、目一杯、踊り狂ってやる。このチートすぎる環境、骨の髄までしゃぶり尽くして、私の「モフモフ・ひきこもりスローライフ」を、絶対に実現させてやる。そのための力も、環境も、全ては狐火ちゃんのために使う。

 そう決意し、私はまず、魔力を鍛える第一歩として、体の中を流れる微かな「エネルギー」に、意識を集中させることから始めるのだった。全ては、愛しの家族の顔を、この目ではっきりと見るために。

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