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【改稿版】戦国幻獣物語 〜目指せ、戦国ひきこもりモフモフ生活! 八百万の幻獣をモフって今日も生き抜くぞ、おぉーーっ!〜   作者: 蒼葵美
20XX年 戦国時代に連れて行かれる!?

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0012. 転生完了!こんにちは、戦国時代の日本

 契約が成立した瞬間、卑弥呼様の雰囲気がまた変わった。妖艶な空気は霧散し、威勢のいい声が響く。


「ほな、スキルの練習いくで! まずは【身体強化】や! 身体強化のスキルは、エネルギーを感じるところからや。ほな、いくで。おりゃ」(戦闘担当:エセ関西人)

 「おりゃ」って、なんやねんと思っていると、体の中に何か温かいものが流れ込むのを感じた。血液の流れとは違う、もっと根源的な力が、私の内側で循環を始める。リンパ液が動いているような、ゾワゾワとした感覚に近い。


「なんか、体の中をゾワゾワって動いてる変な感覚があるんですけど、なにか変なことしました?」


「おっ、早速、感じてるやん。ええ感じや。それが〝神気〟、まあエネルギーや。その流れを意識して、体中に巡らせるイメージや。ほれ、ちょっと跳んでみ」

 言われるままに軽くジャンプすると、自分の意思とは裏腹に体がふわりと浮き上がり、危うく天井に頭をぶつけそうになった。


「うわっ!?」


「あぶなっかしいな! 加減を覚えなあかんで。次はそこの机、持ち上げてみ」

 オフィス用の重いスチール机に手をかける。普段ならびくともしないはずが、スキルを発動すると、まるで発泡スチロールのように軽々と持ち上がった。


「え、うそ……!?」


「それが力や。まぁ、あとは、向こう行ってから、実戦で練習しいや。時間もないしな。ほな、次、行こか」

 エセ関西人担当は満足げに言うと、ふっと気配が入れ替わった。


「次は【料理】と【錬成】なのじゃ。どちらも、スキルの使い方の方向は、一緒なのじゃ。一緒にやって時間短縮をするのかのぉ、では、キッチンに行くかぇ」(生活担当:のじゃ姫)

 いつの間にか、私たちはオフィスの給湯室に立っていた。のじゃ姫担当は、どこからか取り出した名も知らぬ野草をまな板の上に置く。


「……シ、ヌシ、ちゃんと聞いてるのかぇ。ボーっとしていると、どこぞの5才児に叱られるのじゃ。ヌシは、そういう趣味の持ち主かぇ」


「聞いてます!聞いてますから!」


「もう一度言うが、神気を感じたら、【料理】スキルをイメージするのじゃ。そうすると、その食材の最適な調理法がイメージで視える。あとは、食材に神気を注ぎ、旨味を増幅させる感じで行うと、より美味しくなるのじゃ。他にもあるが、向こうで試すのじゃ」

 言われた通りに野草に手をかざし、スキルをイメージする。すると、脳内に「刻んで煮込むと良い出汁が出る」という情報が浮かび上がった。神気を注ぎながら調理すると、ただの草だったはずなのに、信じられないほど芳醇な香りのスープが完成した。

(まさか料理スキルにレシピ提供と調味料機能まで付いているとは……! これなら戦国時代でもグルメライフが送れるかも!)


「錬成は、もっと簡単なのじゃ。食材じゃない素材にさっきと同じように、神気を注ぎ、【錬成】をイメージすれば、終わりなのじゃ。これも向こうで試すといいのぉ。適当なゴミでまずは試すのがいい。ポイントは、元の素材と近いモノの錬成をイメージすることかぇ」

 私はポケットに入っていたティッシュのゴミで試してみる。神気を注ぎ、頭の中で「綺麗な紙」をイメージすると、手の中のゴミが輝き、一枚の真っ白で上質な和紙に変わった。

(おぉ、まさかの錬成はゴミ処理&リサイクル機能! 当面はこれで生活物資を整えられそうだ!)


 何度も練習した結果、なんとなくスキルの発動感覚は掴めた。身体がじんわりと熱を帯び、脳裏に調理法が浮かび、無価値なものが有用なものに変わる。一つ一つの成功体験が、私に自信を与えていく。


(卑弥呼様、めちゃくちゃだけど、指導は的確か……。料理と錬成は、のじゃ姫(仮)、身体強化がエセ関西人(仮)、神威顕現がおねぇ様(仮)だとすると、陰陽師の指導は、本命の卑弥呼様って感じかな)


「最後は【陰陽師】のスキルよ。いろいろとできるから、試してみてね。これがあなたの基本になるから、しっかり――」

 ようやく本命らしき卑弥呼様が口を開いた、その時だった。

 私の足元に、眩い光を放つ複雑な魔法陣が、音もなく浮かび上がった。


「あら……もう時間切れみたいね」

 体が、足先からゆっくりと透明に、光の粒子に変わっていく。モノクロだった部屋の景色が、遠ざかり、霞んでいく。


「えっ、ちょっ、待っ……!まだ何も教わってない!」


「ジョブスキルの練習方法は、あなたのアイテムボックスに入れておくわ。赤子のうちは、念じるだけで中身を読めるようにしておくから、ステータスのところから見るのよ」

 薄れゆく意識の中、卑弥呼様の声だけがクリアに響く。


「ああ、最後に言い忘れたけど。〝称号〟の欄、ちゃんと確認するのよ。神々のささやかな加護が、あなたの道を照らすはず。ステータスの見方は、さっきも言ったけど『ステータスオープン』って思えば、あなたしか見えないほぼ透明のプレートが出現するから、それで確認するのよ」

 体が完全に光となり、温かい浮遊感に包まれる。

(ブラック企業の薄暗いオフィス。ゲームの光に満ちた私の部屋。理不尽な上司。さようなら、私のちっぽけで、でも、それなりに生きてきた令和の人生……)


「えぇ〜、今、言います〜、そういう大事なことは、もっと早く……」

 言いかけた言葉は、もう音にはならなかった。最後に心の中で、呟く。

(でも、ありがとう。そして、こんにちは――私の、新しい世界)

 私の意識は、温かい光の中に沈んでいき、そこで完全に暗転した。

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