007 リアカーの荷台から見える空
「ごちそうさまでした」
元気な陽菜の声が部屋に響く
俺以外の声がこの家に響くのっていつ以来だ?
我が妹ながら俺に全く似ていない美少女の陽菜が居るだけで家が明るくなるなと思っていると
「荷物運び第二弾行くよ」
と陽菜の声がした
えっ?
冷静に見たらピンクのキャミソールにショートパンツって寝間着じゃね?
てか露出高くね?
兄として他人に見せたくないなぁ
と思っていると
「ほら 早く早く」
と俺の腕に抱き付いてきた
3年前とは違う柔らかさが俺の腕を襲った
「てかお前はそんな格好で大丈夫なのか?」
「イマドキのJKなら普通普通 それに翔太も゙いるし」
陽菜は明るくVサインをした
VサインってイマドキのJKはしないんじゃないか?とは思ったのは秘密にしておいた
「ねーねー 荷物そんなにないから少し寄り道する時間あるよね?」
「まだ2時とかだから全然大丈夫だと思うぞ」
「そしたらあの公園に寄って行こうよ」
陽菜の言う「あの公園」は高校や陽菜の家とは逆にある
俺と陽菜が通った小学校の近くの公園だ
学校の帰り道にランドセルを゙投げ出して良く遊んだ公園
滑り台とブランコと砂場くらいしかないけど良く遊んでた
「公園は陽菜の荷物積んで家に運んでリアカー返しに行く前で良くないか?」
と俺が言うと
「その方がゆっくり出来るね」
と陽菜も賛成した
荷物も゙運び終わりリアカーを゙返すだけになったな
「公園 公園」
陽菜はいつもよりテンション高い気がした
「荷物積んでないから後ろに乗っても良いぞ」
「えっ? ホント? 乗るからちょっと待って」
陽菜がひっくり返らないように後ろを向いて持ち手を支えて陽菜が乗り込むのを見届けた
ショートパンツなのでシマシマパンツとご対面出来なかったのが残念なのは陽菜には当然言わない
「行け 行けっ これで手綱とかムチが有ったら私が御者で翔太は馬なのに」
「あんまり失礼なこと言うと下ろすぞ」
「ごめんなさい 私のお抱え運転手ということにしてあげる」
「へいへい」
距離的には大したことがない公園
でも生活エリアが小学校から中学高校と変わったら来ることがなくなった公園
久々に見る公園は僕の想像より狭かった
「こんなにちっちゃかったっけ?」
陽菜も同じ感覚なんだろう
特に小六でも陽菜はちっちゃかったからなぁ
と思っていると滑り台の滑り降りた場所で泣いてる女の子とその女の子のドロをはたきながら何か話しかけている男の子学校いた
「勢い付きすぎてコケちゃったのかな?」
「そうかもな ここの滑り台は角度キツいから加速するもんな」
「私も同じようにコケちゃった時あったの覚えてる?翔太」
「そんなことあったかな?」
本当は覚えてる
体操座りで滑り台滑って終わった時にジャンプするのがマイブームだった
それを見て陽菜が
「おにーちゃんスゴい」
と言ってくれるのが嬉しくて調子にのって何度もやってた
それを見てた陽菜が
「私もやる!」
と真似して体操座りで滑りだしたけど立ち上がることが出来ずにそのまま前に突っ込んで肩から地面に叩きつけられたんだった
直ぐ側にいたはずの僕は慌てて陽菜に駆け寄ったけどその一歩学校めちゃくちゃ遠かった気がしたのを覚えてる
その日は陽菜が俺と一緒に寝るってきかなくて
暫くの間は同じお布団で一緒に寝てたのを覚えてる
小4だったハズだがいつからか隣で寝ている陽菜の良い香りに異性を意識しだした俺が一緒に寝るのを嫌がったのも覚えてる
あれから陽菜の前でむちゃな遊びはしなくなった
陽菜はボソボソと続けた
「滑り台滑り終わった後にジャンプする翔太の真似してコケちゃったの そしたら翔太がスゴい速さで助け起こしてくれて あの時の翔太は私のヒーローだった あっ あの時のだからね」
と言いながら陽菜は俺と腕を組んできた
「翔太 リアカー返す前にさ あの荷台にの寝転がって空を見ない?」
陽菜は腕を組んだまま俺をリアカーに引っ張る
リアカーがグラつかないように滑り台の階段の方に持ち手を引っ掛けると陽菜とふたり荷台に寝転んだ
「公園は狭くなったけど空は高いね」
隣でつぶやく陽菜はあの日より良い香りがした
「そうそう 今からリアカー返しに行くじゃん」
「ワタシも付いてくよ 夕ご飯の材料買わないと」
「それは良いけど あの事務員さんは今晩サービスするからって誤解してると思うんだけど」
「???」
目を?にしていた陽菜が突然起き上がった
「今晩サービスするって違うからね」
「いや 俺は勘違いしてないから」
「それなら良かった ってそんなに私は魅力学校ない?」
「そう言うモンダイジャンルないだろ 俺は兄で陽菜は妹だし」
「そっか 翔太は知らないもんね」
「何の話したよ?」
「いやいや 何でもない」
「何だよ気になるなぁ」
「それより早くリアカー返して夕ご飯登ると買い出ししなきゃ サービスするしね」
「分かったよ 荷台に乗ってくか?」
「ありがとう おねがい」
「じゃ行こうか」
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