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 045 間接キスはラムネの味


海沿のサイクリングロードを走る陽菜

暑い日差しの中たが浜風に髪をなびかせる姿は我が妹ながら見惚れそうになるほどキレイだった

小学生の頃も一緒に自転車で遊んだりしたけどあの頃の陽菜は元気で良く日に焼けていて時々男の子に間違えられていた

しかし今の陽菜は街中で見かけたら思わず目で追いそうなくらいキレイになったなぁと思った

俺は少しでも近くで陽菜の姿を見ようと陽菜のすぐ後ろを自転車で走った


お店に着いた

「中学の頃に鍛えたから速かったでしょ?」

自転車をおりると自慢げに笑いながら陽菜は俺の顔を見つめる

うっすらと汗がにじみ湿った髪と上気した頬がなんとなく湯上がりを思わせてキレイな上に僕をドキッとさせた

「私は歯みがき買いに来たんだけど翔太は何を買うの?」

「あれ? 特に買う物ないんだけど」

「じゃあ 道案内をしてくれた優しいお兄ちゃんってことで」

「って3年前からそんなに変わってないたろ? この辺」

「でも3年前はここまで自転車じゃ来れなかったし 道案内してくれた翔太にジュース勝手上げよう」

「自分で買うから良いよ」

「良いから 良いから あっ ラムネあるじゃん そう言えばおじいさんに貰って飲んでたね 懐かしい」

「って 陽菜はビー玉引っ掛けられなくて何度もじいちゃんに開け直して貰ってたな」

「だってラムネとか飲んだことなかったし」

「俺もじいちゃんのところでしか飲んだことねーよ」

「あれ? ラムネ一本しかないよ すいません ラムネってこれだけですか?」

陽菜がお店の人に聞くと冷えてるのはこれが最後の一本だった

「じぁあ一本下さい 後歯みがき粉も」


陽菜はラムネを貰うと手慣れた風に玉押しを使って栓を開けた

プシュっと音をたててラムネが開いた

瓶の上からあふれそうなラムネを口にふくむ陽菜

「あれ? 陽菜って炭酸に弱くなかったっけ?」

ラムネをこぼさないように瓶を口にしている陽菜は視線だけを俺に向けていた


炭酸も落ち着いたのか陽菜はラムネから口を離した

「炭酸苦手って小学生の時のことでしょ?」

「確かにそうだけど」

「ゆっくり飲めば平気です」

俺はゆっくりじゃないとダメなのか?と言おうかとも思ったけど

「大人になったなぁ」

と返事をした

「そうでしょう」

となぜだか嬉しそうに胸をはった陽菜は俺に飲みかけのラムネを差し出した

「一本しかなかったし半分あげるよ でも少し残しててね」

「あっ ありがとう」

ってこれって間接キスじゃね?

陽菜は気にしてないのか?

俺はラムネを手に取ると一気に飲んだ

最近の飲み物にしてはキツめの炭酸が俺のノドを刺激した

それ以上に初めての間接キスは本当にレモンの香りがした


「あっ 全部飲まないで少し残しててねって言ってたでしょ」

陽菜に声をかけられて俺は慌ててラムネから口を離した

「良かった まだ残ってて はい ちょうだいね」

陽菜は残ったラムネを飲み干した



評価ブクマありがとうございます。

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