004 クラスの王女様と召使いの引っ越し
終業式が終わった
待ちに待った夏休みだ
ってモブキャラの俺には特に予定もない夏休みの始まりだ
唯一の予定と言えば母さんと陽菜の引っ越しの手伝いくらいか?
一方 我が妹とは思えない陽キャで校内カースト最上位の陽菜は夏休みの予定立てながらカラオケに行こうと友達に誘われていた
「ごめん 今日はちょっと用事があるんだ」
陽キャグループの中から陽菜の声がした
そして陽菜はツカツカと俺の方へ歩いて来ると
「翔太は今日ヒマ? 少しずっと荷物運ぶから手伝ってよ 夕ご飯は可愛い妹のこの陽菜ちゃんが作って上げるから」
と言った
「モブには特に予定ないからクラスの王女様に付き合わさせていただきますか って陽菜は料理出来るの?」
「お母さんが働いてるんだから家事は私がやってました いつでも良いお嫁さんになれるよ」
「ひょっとしてGW明けくらいからお弁当の変わってたのはお前が作ってたのか?」
「えっ? 気づいてたの?」
急に陽菜の目線が泳いだ
「マズくなったとは言わないよね?」
「味と言うより高校生が食べたそうなお弁当に変わったと思った 煮物が減ってガッツリ系が増えて有り難かった」
「それなら良かった てか良いお嫁さんのくだりはスルー?」
「いや 料理上手くなったのなら嫁に行かず家で料理作り続けてくれ」
「はっ? プロポーズ? 気持ち悪い」
「いやいや そう言うことじゃなくけどな あっ荷物運ぶならこのまま陽菜の家に行こうか?」
「そうだね 取り敢えず布団や着替えや泊まれる最低限の物を持って行って 後は追々かな 今月いっぱいあの部屋のアパートの契約残ってるらしいし」
「了解 じゃあ案内してくれ」
「分かった こうやって一緒に帰るの久し振りだね」
心なしか陽菜の表情が明るい気がする
そりゃ借りてる部屋より生まれ育った家の方が嬉しいのだろう
「早く早く 行くよ〜」
陽菜ガッツリ俺の手を取り引っ張っていく
久し振りに繋いだ陽菜の手は小学生の時と違い柔らかい
前を歩く陽菜の髪が風になびき良い香りがした
急に陽菜を女性と意識してしまって顔が赤く成っていく気がする
繋いでる手に変な汗をかいてないだろうか?
と考えていると
「ここだよ」
と陽菜の声がした
アパート? 賃貸マンションか? これって家より立派なんじゃね?
一階のロビーでエレベーターを待つが中々来ない
「うちは二階だから階段登ろうか? 付いてきて」
陽菜が走り出す
俺は慌てて追い掛けると陽菜は既に階段を登っている
「えっ? あのスカートの丈でこの階段って・・・」
陽菜の姿を目で追うとスカートの中の白地に水色のシマシマのパンツが・・・
俺は慌てて視線を落とす
「ほら翔太 こっちこっち」
見上げると踊り場で楽しそうに手を振る陽菜がいた
気づいてないのか? 気にしてないのか? 色々と危ない気がした
俺は気を取り直し視線に注意しながら階段を登った
陽菜が部屋の鍵を開けた
部屋の入り口には敷き布団と薄手の布団のセットと着替えが入っているらしきバックが2つが置いてあった
「取り敢えず布団と着替えに洗面用具とかかな? もう一往復くらい出来るよね? で 翔太はお布団持って 私はエレベーター呼んでくる」
二階とは言えお布団持って階段下りるのはつらいかな?
ってそれよりここから家の方が遠くね?
と思っていると
「エレベーターきたから翔太は先に乗って下で待ってて」
と言われた
俺はお布団を持ち上げると甘いような良い香りがした
ヤバい 絶対顔がニヤけてるから陽菜に見つからないようにしないとと思いながらロビーで待ってるとカバンを2つの抱えた陽菜がおりてきた
「じゃあ 愛しの我が家に出発」
陽キャなクラスの王女様の陽菜とは言え学校で見るより一段とキラキラとした笑顔を見せていた
評価ブクマありがとうございます。
誤字脱字報告助かってます。