034 陽菜達合流
「ごめんなさい 押されちゃって」
「人増えて来たもんね 大丈夫? 吹石さんが上の方が良いかも」
「ありがとう」
吹石さんに俺の背中側に回ってもらい俺が人混みの盾になるように位置を変えた
「あっ 陽菜!」
「どこどこ? あっいたいた」
「あーっ 澪に古屋君」
「やっぱり私も浴衣にすれば良かったなぁ」
「浴衣で乗り物には乗れないでしょ?」
「そうなんだけどね」
「翔太と吹石さんはあそこにいるよ」
「私達も行こう 行こう って 紹介してなかった同中の那須千果と藍子」
「はじめまして 那須千果です」
「藍子です 陽菜とは同中でした」
「千果ちゃんと藍子ちゃんね 私は倉持澪 ってふたりはそっくりだよね?」
「俺も思った あっ 俺は古屋一朗太 陽菜ちゃんのお兄さんの翔太の友達です」
「千果と藍子は双子なんだ そっくりだよね? 私も話さないとどっちがどっちか分からない時有るし」
「えっ? 陽菜も私達の違い分かってなかったの?」
「それは千果的にショック」
「まぁまぁ 取り敢えず俺の親友の翔太が場所キープしてるから上に行こう」
女子4人に囲まれてハーレ厶状態の古屋が楽しそうに上がって来る
その古屋のニヤけた顔に冷たい視線を投げかける倉持さん
それに全く気づかない古屋
ふたりの顔を正面から見ている吹石さんを見ると吹石さんもなんとも言えない顔をしている
その古屋が先頭で女子4人も俺と吹石さんが取っている場所に着いた
古屋は振り向くと倉持さんの手を取って倉持さんを一段高い所に引き上げる
「ありがとう」
と返事をした倉持さんは古屋が次に女子を引き上げないように手を握り締めて離さない
陽菜は少しあきれたような顔をして
「私も引っ張って」
と俺に手を伸ばした
「はいはい」
と俺は手を取った
3年ぶりに見る陽菜の浴衣姿は俺に陽菜が大人になったと実感させるに十分なものだった
思わず見惚れそうになるのを慌てて視線を外してごまかした
陽菜の後にふたりの女の子がいる
そっくりの姿形にお揃いの浴衣
ひょっとして双子?
俺が直接会った初めての双子かも知れない「那須千果です」
「那須藍子です 見ての通り双子です 陽菜とは同中でした」
「で 貴方が翔太君? 中学時代の陽菜が数多の告白を断って来た原因の王子様」
「そうそう 離れ離れになった血の繋がってない理想のお兄ちゃん」
「ちょ・・・ 千果 藍子 ちょっとこっち」
慌てたように陽菜が千果さんと藍子さんを自身の両側に呼び寄せた
同時に僕の後ろから
「ちょっとその話の輪にワタシも加わりたいんだけど」
と吹石さんの声がした
「分かったけどちょっとだけ待ってて 愛美」
「私には聞かれたくないことの打ち合わせ中なの? 陽菜」
なんだか不穏な空気が流れている
そんなに陽菜の中学時代に興味が有るのか?吹石さん
と考えていると倉持さんと古屋に呼ばれて俺はふたりの元へと行った
「ちょっと陽菜は黙ってて」
人が増えてザワザワとした中に吹石さんの声が響いた
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