019 陽菜のコーディネート力
「次は私の買い物に付き合ってね 翔太」
と言いながら陽菜は俺の腕に抱き付いたまま歩いている
いつもこんなにくっついていたかな?
小学生の頃は甘えん坊だったけど最近はどうだった?
俺の中で陽菜の存在が妹から血の繋がってない可愛い女の子になったから意識過剰なのか?
等と考えているが俺の腕に当たる柔らかいふたつの山が俺の思考を停止させる
「あれ? 陽菜じゃん デート? っでそちらの方は?」
陽菜の服を求めてショッピングモール握り締めている入ると二人組の女性に声をかけられる
クラスメートの倉持澪と吹石愛美だ
陽菜とともにうちのクラスのカースト上位にいる典型的な陽キャ
と言ってもギャルってほどではなくダークブラウンの髪に淡いメイク
小柄でスレンダーな倉持さんはツインテール伸び髪型にヒザ丈の薄い水色のワンピース
幼さの残る顔で手の届きそうな雰囲気で陰キャにも人気だ
一方の吹石さんは出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいるグラビア体型
ゆるいパーマのかかった髪にオフショルダーのサマーニットはボディラインを強調して思わず目を奪われそうになる
とは言えあまりにも眩しくて陽キャの中でも中心的存在だ
「何言ってるの? 澪 愛美 これは翔太じゃん クラスメートの翔太」
倉持さんも吹石さんもクビをかしげている
「クラスメートで私のアニキの古川翔太」
改めて陽菜が説明すると一瞬の間の後に
「えーーーっ」
とふたりは間の抜けた声を上げる
「えっ? あの古川君」
「あのから回ってる・・・ 彼とご飯を食べている?」
って俺の評価もアレだがから回ってることしか印象になくて名前も覚えて貰ってない一朗太って
事故に巻き込んでなんだかごめん
と思っていると
「翔太は素材は良いっていつも言ってたでしょ? センスがないと言うかファッションに興味がないと言うかなだけで」
「うんうん 腕まで組んでるからどこの彼氏さんかと思ったら古川君か 確かに見違えた」
「ファッションもだけど髪型だけでこんなに雰囲気変わるんだね 陽菜が言ってたのも納得」
「でふたりは今日はどうしたの?」
「私達は夏休みのアイテムの追加に 陽菜は?」
「私も夏休みに出掛ける服を買いに」
なるほど
学校内のカーストって単に見た目が良くて明るいだけじゃなく髪型やファッションもこまめにチェックして買い物に出掛けるって努力してるのか
そりゃ俺みたいに気にしてないと目立つわけもないか
まぁ俺はあんまり目立つつもりもないんだけどな
とこのモールの中でもキラキラと目立つ3人を見て思った
「ねぇねぇ ショップに行くまでにちょっとお茶しない? 少し休んだらお昼時になるからお店空いてるかも?」
と倉持さんが言うと吹石さんも陽菜も賛成している
この3人と俺が一緒に行動するって無理がある気がするんだが?と思っていると倉持さんと吹石さんに手を引かれスイーツショップに向う
「こら ふたりとも 翔太を取るなー」
後ろで陽菜が言っているが
「いつも自慢してるかお兄ちゃんが人気だと嬉しいでしょ?」
と吹石さんに言われる
「それはそれ これはこれ 急にズルい 翔太を゙返して」
と陽菜のご機嫌は少し斜めなのか?
と言いながらも3人でケラケラ笑っているから本気で取り合いをしている訳ではないのだろう
まあ友達も少ない陰キャな俺だからな
とひとりで納得していた
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