001 両親が再婚? 聞いてないんですが
「翔太 これお弁当 でお金は?」
と僅かに茶色がかった長い髪で目がクリクリとした色白の美少女が俺に弁当を渡す
彼女の名前は今井陽菜
この高校の一年生 いや全校生でも屈指の美少女だ
俺は弁当を受け取ると一万円が入った封筒を渡す
俺の名前は古川翔太 極々普通の目立たない一般学生
スクールカースト的には会話するのが不思議なほど違う
「ちゃんと入ってるハズだから確認してくれ」
俺が言うと封筒を開けて中を見た彼女は
「確かに ありがとね」
と言うと俺の元を立ち去る
2〜3歩進むと何かを思い出したように彼女は振り返り言った
「お父さんとお母さんやり直すみたいよ 何か聞いた?」
「全く 家族に大事なことを話さないから母さんに怒られたのに凝りねーオヤジだな」
俺はあきれて言った
「今年の夏休みは引っ越しと片付けで終わりそうね」
「陽菜の部屋はまだしもオヤジと母さんの寝室ってどうしてるんだ?オヤジ」
俺古川翔太と今井陽菜は東城高校の1年生で兄妹だ
俺が4月生まれで陽菜は3月生まれの同級生
オヤジと母さんは3年半前に離婚して俺はオヤジと元の家で住み陽菜は母さんとアパートを゙借りて住んでいる
因みに家賃や生活費はオヤジが出しているが母さんは全部頼るのは許せなかったのか慣れないパートを゙している
離婚の原因はオヤジが何でも誰にも相談せずに色々勝手に決めること
俺と陽菜の高校進学を゙前にマンションを゙買おうとしたり新車やゴルフクラブ一式や投資と大金を勝手に使おうとしたから
結局マンションは抽選に外れ新車とゴルフクラブは母さんがキャンセルし投資は証券会社を゙決めきれずに終わったがいくらオヤジメインで貯めた金だと言っても勝手に大金を使おうとしたら離婚されても仕方がない
それでもオヤジは別居中の母さんや陽菜の生活費にアパート代に学費にその他諸々支援した
俺もオヤジも料理はからっきしなので昼の弁当だけは母さんが作ってくれ弁当代を払っている
小さい頃に陽菜のためにフレンチトーストは作れるようになったがお弁当にはならないし
しかし陽菜は母さんに似て美少女なのに俺はオヤジに似てしまって・・・
いわゆるクラスのモブだ
てかなんで母さんはオヤジと結婚したんだろ?
聞いたことなかったな
陽菜は母さんに理由を聞いたことあるんだろうか?
それとオヤジと母さんがやり直してくれるから良かったけど母さんが陽菜だけを連れて行くと言った時はショックだった
オヤジは離婚してもいくらでも支援するからやり直すことも考えてくれと言ってたそうだだから俺も母さんに着いて行けると思ってたのに
それは 何度か母さんに会ったけど怖くて聞けなかった
「翔太」
「うん? てかお兄さんじゃないのか?」
「同学年なら双子みたいなもんだし てかお父さんとお母さんが再婚したら私達が同じクラスになることないのかな?」
「次のクラス換えだと兄妹が同じクラスにはならないだろうな でも家で一緒じゃん」
「またお父さんが何かやらかしたら・・・ そしたらお弁当渡すの面倒くさくないように同じクラスが良いな」
「その前にオヤジがやらかさないように俺達で気をつけるとかやることあるだろ」
「まーねー てかお父さんに聞いてないの?」
「何を? あの何も話さないオヤジから聞いてることの方が少ない気がするんだが」
「確かにね なら良いや」
「何だよ 気になるじゃねーか」
「どこまで話して良くてどこからがだめなのか分からないからまた一緒に暮らしだしたらお父さんとお母さんが言うと思うよ」
「くー 今日も陽菜ちゃんはキレイだね 陽菜ちゃんを近くで見れるのがお前の友達やってる唯一のメリットだな」
俺に馴れ馴れしく話しかけてくるのは古屋一朗太
たまたま出席番号が続きだったから話し始めただけの冴えない友人だ
調子は良いのだが空回り感がハンパない
「それ褒めてねーしてか俺がお前の唯一の友達なのにえらそーに」
朝礼始まりのチャイム頑張りますなりみんな席につく
放課後陽菜が話しかけてくる
「私の部屋 もし掃除するにしてもホコリ落として掃除機かけてくれるだけで良いからね 机や押し入れは見ないで まぁ大した物は残してないんだけど」
「風は通してるからホコリは大丈夫だろう 掃除機は時々かけてるし」
「そっか ありがとう 愛し妹の残り香を楽しでたんだ」
「残り香楽しむなら風通さないだろ てか愛しの妹の記憶は小学生時代の走り回ってた陽菜だがな」
「そうだったね 離婚して別々に暮らし出したの小学生の時か あの頃はまだ一緒にお・・ とにかく余計な散策はしないように」
と言うと陽菜はクラスの陽キャメンバーと帰って行った
あれ?今日の掃除当番は俺と陽菜じゃなかったっけか?
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