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神さまの言う通り  作者: 一粒 野麦
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前編

「あんたたち、もう何時だと思ってんの?太郎、小学校に遅れるわよ。いつまでも寝てないで、弟たちを起こしなさい!」


 母さんの朝の大声…自分で『目覚まし怒声』って言っている(笑)…が始まった。

なんで、いつも同じ時間…朝7時…に、言うのかなと思っているんだけど、それは、自分たちが起きないからなので、文句は言えない。

 次郎が目をこすりながら、『起きようかな、もう少し寝ようかな』って感じを出している。

 三郎は調子よく『一番年下なんで、まだ寝てていいよね』って感じを出している。

 

 母さんの大声は、僕たち三人が起きない限りは、なぜかきっかり3分おきにいつまでも続くので、どこかで起きるしかない。

 経験的には3回までに起きれば、その日の機嫌は悪くないので、まだ少し寝ていられる。

 次郎もそれに気づいているので、三郎だけどうにかすれば大丈夫。

 三郎の足の裏を少しずつ、くすぐり出した。毎日のことだけど、最後は寝てられなくなって笑い出しちゃうので大丈夫。

 なんとか今日も大声3回目で全員が起きることが出来たので、歯を磨いて、顔を洗った。


 そして、我が家の最も大事な時間になる。

 家族四人勢揃いで、母さんが音頭を取って神棚…先祖伝来とかで、とても由緒があるらしい…に向かって、パンパンと響く柏手を打ちながら、お参りするのが日課になっている。

 ある時…小さかったのであんまり覚えてないけど…父さんが急に居なくなってから何か悩んでいたような母さんが、吹っ切れたようにお化粧を始め、会社に就職した頃から続いているような気がする。


 そんな母さんは、近所では『理知的で女優さんのように綺麗』と言われている。

 都心への通勤途中に、最寄り駅近くの保育園まで、次郎と三郎を電動自転車に乗せて、スーツ姿でボブカットの髪を靡かせる姿は、子供の目から見てもカッコいい。

 それにしても、普段は理詰めの母さんが、率先してお参りするのが不思議。神さま頼みで全てのことが上手くいくとは思えないけど。


 



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