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第4話

   

 それから二ヶ月後。

 すっかり忘れた頃になって、警察から連絡が入った。一人のスリが逮捕されて、たくさんの余罪を白状する中に、例のショッピングモールの一件も含まれていたという。

 何度か前科もあるような名うてのスリであり、逮捕された話は、新聞の片隅にも載っていた。写真を見ると、私とは似ても似つかない、猿顔の男だった。

「『猿丸』って渾名のスリでしてね。モールの件については『上手にすった財布なのに、落としてしまったのが悔やまれる』って言ってましたよ。それよりも、捕まった方を悔やむべきでしょうに」

 連絡をくれた刑事さんの軽い口調が、今でも私の耳に残っている。


 あの事件を思い出すたびに、ふと考えてしまう。

 ことわざに「猿も木から落ちる」とあるように、自分の得意分野で失敗するのは、誰にでも起こり得る話だ。

 猿顔のスリがせっかくの獲物を落としてしまったのは、ちょうど落とした場所が場所だから、「猿も木から落ちる」ならぬ「猿も財布を木に落とす」であり……。

 なんだか可笑(おか)しく思えるのだった。




(「猿も財布を木に落とす」完)

   

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