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第3話

   

「では、ご確認ください」

「うむ」

 改めて私の方をジロリと睨んでから、男は財布の中身を確かめる。これで現金だけ消えていれば、また「お前が盗ったのだろう!」と私を非難するに違いない。

 それが濡れ衣であることを、どうやって証明できるのだろうか?

 激しく憂鬱になる私の横で……。

「ん?」

 男は、困惑の表情を浮かべていた。

「どうしましたか?」

「……何も盗られてはおらん。確かに私の財布であり、金額も間違いない」


 無事に財布は戻ってきたものの、一度は盗まれたのも確実だった。なにしろ彼は、三階で財布を使った後、一階まで戻る途中で紛失に気づいたのだ。この状況では、彼自身がエントランスホールで財布を落とすのは、明らかに不可能だった。

 したがって「警察を呼んでくれ!」は撤回されず、私も警察沙汰に巻き込まれる形になった。


 しかし、本格的に警察が関わってくれたのは、むしろ私には好都合だったのかもしれない。

 おかげで、店内の防犯カメラも全てチェックすることが出来て、私が一階でうろうろしている様子も確認してもらえた。灰色の背広の男が三階で買い物をしたり、エスカレーターに乗ったりという映像もあり、それらの時刻との比較により、私が財布を盗むのは不可能と証明されたのだ。

   

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