あの日見た猫。
空を見上げた。
そして地を見る。
「あぁぁ...退屈だなぁ...。」
平成233年夏。
彼。葛井荘司はこの炎天下に照らされていた。
夏の公園。
蝉の声、太陽の光、はしゃぐ子供、民家からなる風鈴の音。
全てが夏を感じさせてくれる...。
「金ももうなくなったしなぁぁぁ...」
そんな夏の中。
彼だけは、一年に一度という季節を楽しむことはなかった。
十七歳でありながら、親に捨てられ友達もいない。
彼は一人だ。
そう、孤独なのだ。
蝉の鳴き声が大きくなる。
「蝉はいいよなぁ、大勢で鳴いてやがる...。」
彼は生きた人間ではない様な目をして言った。
「なんで...俺なんだろ?俺は悪いことなんもしてねーよ...」
すると、目の前に灰色の物体が現れた。
そう、猫だ。
毛は灰色、目は水色、ところどころ特殊な模様が入っている。
「お前も...一人か...??」
「ニャァァン」
「かわいいなぁぁ...」
猫を見つめて惨めな自分に浸っていると目の前で...
___猫の首を何者かに斬られた。
一瞬のことだった。
黒い影が一瞬だけ飛んできて襲い掛かってきた。
「...って、おい......何だ?これ...はよ〜...????」
信じられないことが目の前で起きた為、混乱に陥った。
自然となぜか笑いが込み上げてくる。
「ははっ...!!ははははははッ!!!!」
すると突然心の中で火がつく。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!あの野郎ぉぉ!!警察に通報して刑務所にぶち込んでやる!!」
「ニャァァン...」
突然、猫の鳴き声が聞こえた。
さっきの猫の死体を確認すると、何事もなかったかの様に猫が血を流しながらこっちを見ている。
「は...??なんだよ...これ!!」
猫はこっちを見つめている。
何もなかったかの様に。
平然と。