4.ギルド訪問
ん....朝か.....
気持ちいい日差しと、ふかふかのベッド、最高だ。
「ふわぁ、良く寝たーーー」
ってあれ?ここどこだよ!俺は慌てて辺りを見渡した。
1人用の小さな部屋にベッド、テーブル、クローゼット...おそらく宿だろう。ミアの家の可能性もあったりして。
お酒を飲みすぎて、ここに来るまでの記憶がない...
ふとテーブルにある手紙が目に映った。
<昨日はありがとう。ピピちゃんのために、2週間分の宿は私が出しておきました。食事もちゃんと付いてます。ピピちゃんのためにも早く仕事を見つけてあげてね。>
おそらく俺は酔っぱらったまま、ミアにこの宿に連れてきてもらったのだろう。
まったく、情けない。反省だな....ハハハ
それにしても、本当にミアには感謝している。またどこかで会えたらお礼をしないとな。 くだらないことだが、「ピピちゃんのため」を強調していて、俺はほんの少し悔しがった。
さてと、これからどうするかな。
ようやく落ち着いた場所で、じっくりと一人で考える時間が出来たし、一旦今までのことを整理するとしよう。
全体をざっくりまとめると、テレビ画面を経由して異世界転移。転移先が真っ暗な空間で精霊(仮)のピピに出会って脱出。脱出先が洞窟でクリスタルドラゴンに遭遇して間一髪で魔法を使うミアに助けてもらう。その後は飲み食いして意識を飛ばして、この宿に到着したと。
現状分かっていないことは数え切れないほどあるが、特に気になるのは次の3つ。
まず1つ目は、異世界から現実世界に帰る方法だ。正直、現実世界に帰りたいのか今は答えが出ない。現実世界にいたところで、俺はどうしようもない奴だからだ。それなら、いっそのこと、この世界で第二の人生を謳歌するのも良い。だが、念のため帰る方法は調べた方がいいだろう。
2つ目は、精霊ピピの正体だ。そもそもピピが精霊かどうかも不明だ。さらに昨日、シェトレスマーケット通りで、ミアが俺とピピが「契約」していると言っていた。契約って何だ?あの真っ暗な空間でピピと出会った時に噛まれた時に契約が成立したのだろうか?左手の甲に紋章が刻まれたし。これについても調べるべきだな。
3つ目は、今後の生活だ。2週間は無一文でも暮らせるが、問題はその先だ。2週間以内に生きていくためのお金と宿が必須だ。それに異世界人は警戒されるとミアが言っていたから、この世界に馴染んだ服も必要だな。
最優先事項はやはりお金だな。これがないと本当にこの世界で飢え死にしてしまう。
この宿の管理人にまずは働き先を聞いてみるか。
俺は部屋の扉をゆっくり開けてチラッと覗いてみた。目の前は廊下で、左右にも部屋はあるようだ。部屋の外に出てみると近くに階段があったので、降りてみる。受付のカウンターらしきところに、おばさんが立っている。
「あの、すみません。このあたりのこと知らないので教えて欲しいのですが、働けるような場所はありますか?」
「あ!昨日酔っぱらって可愛らしい女の子に運ばれた子だね?お盛んなこと!フフフっ。」
そんなんじゃないですが....
でも言い返したところで、弁明は難しいだろう...
「まあそれは置いといて、働くところは沢山あるわよ。どこも人手不足でねぇ。近くの場所だと、武器屋、酒場、魔法薬のショップとかね。ってあれ?もしかして、あんた精霊使えるのかい!?そりゃぁすごい!!精霊と契約出来るのは魔術師の中でも上級クラスさ!!」
「えっと...どうしてそう思うんですか?」
「何言ってるんだい!その左手の甲にちゃんと紋章が入ってるじゃない。手の甲の紋章は精霊との契約の証さ。あんた大丈夫かい?」
「ハハハ、すみません。ちょっと色々あって....」
「あんまり無理すんじゃないよ?精霊も使えるほどの魔術師なら、ギルドに行ってみるといい。ギルドには色んな依頼が来ているから、その依頼を受けてミッションを達成すれば、報酬がもらえるのさ。簡単な依頼は雑用もあるし安心だよ。もちろん、報酬が高い依頼ほど、命が危険にさらされやすいから気を付けるんだよ」
「わかりました!ありがとうございます!ちょっと行ってみます!」
「待ちな!ほら、ギルドまでの地図だよ。夕方にはご飯もあるから帰ってくるんだよ!」
俺はペコリとお辞儀をして、宿の外へと出た。
本当に精霊と契約してたんだ....俺。しかも上級クラスの魔術師しか精霊は使えない!!なんだか凄いことになってるな!少しテンション上がるじゃないか。精霊を使えるってことは、俺は魔法を使えるってことだよな?使い方はよくわからないが.....とにかくギルドへ行ってみよう。精霊使いに会えるかもしれないし、魔法について知ることが出来そうだ。
うまく力が使えたら、依頼を受けて当面の生活資金も得られるはず....!力が使えなかったとしても、簡単な依頼で雑用のみを引き受けよう。
「キュピピ~」
あ!またどこかに行ってたのか、ピピ。急にいなくなったり、出てきたり、まったく気分屋だな。
「ピピ!今からギルドってとこに行くぞ~!!」
「キュピ!キュピ!ピピピ!」
なんかテンション高めだな、ピピ.....
宿のおばちゃんの地図を頼りに歩いて、すぐにギルドへ着いた。
「でっけぇーーーーー!!これがギルドか!!」
ドキドキしながら、重い扉を開けると、そこには想像を遥かに超える広さ、そしてレトロな雰囲気に高級感が組み合わさっていて、ゆったり癒される。
受付らしきカウンターが正面にあるので、そこに向かう。
「あ、あのイツキという者です。ギルドが初めてなんですが、、、」
「ようこそ、ギルド「CRYSTAL」へ。承知しました。では、本日はギルド登録をされに来れられたのですか?」
「えっと、はい、さっそく依頼を受けてみたいと思いまして」
「キュピピ~」
ピピが出てきた。受付のお姉さんはピピに関心を向けずに無表情だ。口元も緩んでいない。可愛い~というお決まりの言葉が出てくると思ったのに....
「かしこまりました。それではまず健康診断、スキル診断、最後にギルドの利用方法や注意点についてご説明させていただきます。その後、同意いただけましたら、ギルドへの登録をお願いいたします。」
結構手間かかるんだなぁ。もっとサクッと依頼を受けられるかと思っていたが、甘かった。まぁ2週間以内にお金が入れば問題ないか。
「わかりました。さっそくお願いします!」
「では、今から別室へご案内させていただきます。あっ、申し遅れました。私はこのギルドで受付をしております、カリンです。よろしくお願いします。どうぞ、こちらへ。」
20代後半くらいで整った顔立ちをしていて、知的な雰囲気がある。スタイルも抜群で、間違いなくモテるタイプだ。ちょっと不愛想なところ除けば完璧だろう。
別室へ着いて、不思議な2つの球体が目に入った。大人1人はすっぽり入りそうな大きさだ。無色の球体と紫の球体がある。どちらも液体っぽいのに、球体を維持しているのは不思議だ。これもやはり魔法だろうか。
「それでは、今ここで全裸になってください。」
え.....?どういうこと......?
カリンさん、いやらしいこと考えてませんか?




