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3.少女との出会い

 銀髪少女の声を聞いて、俺はさっきまでの緊張の糸がプツンと切れて、緊張感が少し和らいだ。

 なんだろう、この感じ...不思議と安心できる。


 「あ、あの!助けてくれて、ありがとう!」

 

 「ううん、間に合って良かった!もう少し待っててね!」


 少女は金の盾に触れずに遠隔操作で宙に浮かせている。


 ま、まじか、、、これが魔法か?


 浮いている金の盾が形態変化して剣になり、そのままドラゴンの体に勢い良く飛んでいく。

 

 「ギュオオオォォォ!!!」


 ドラゴンの急所を突いたのか、すぐに力尽きた。

 つ...強い!あのドラゴンを一撃か....


 「よし、終わり!待たせてごめんね!キミはどこから来たの?」


 う、いきなりドストレートな質問だな。そもそも異世界転移だという証拠もないし、ひとまず様子見しないと。


「え、えっとー、さっきまでの記憶が飛んじゃってて、旅人ということは覚えているんだけど...」


「もしかしてさっきのドラゴンに攻撃されて頭打ってない?大丈夫?」


 ここまで心配してくれるなんて、本当優しいな、この子。

 嘘ついちゃってごめん...


「ううん、そんなんじゃないんだ。気遣ってくれてありがとう。」

「ところで、ここってどこなの?日本?」

「二ホン?そんな場所は聞いたことないよ?この洞窟はクリスタルケーブ、通称「迷いの洞窟」と言われる場所よ」


 はい、異世界転移確定。さっきの魔法、ドラゴンも現実世界じゃありえないもんな。


「そ、そうなんだ!ところで、ここからどうやって出たらいいのかな」

「えーとね、、実は私も迷っちゃって.....ハハハ.....」


 まじですか?これはまずい。

 でもこんなに可愛いくて命の恩人でもある子を責める気も無いし、その資格もない。


「ここの洞窟は、一日に数回、道が減ったり増えたりするの。そのせいで、元の道がわからなくなっちゃって」


 そんなややこしい洞窟だったんだ...

 なんとかして、地上へ出られるところを見つけなければ。


「キャーーーー、可愛いーーーー!」

「この子どうしたの!?精霊?」


 精霊ってこの謎の小動物のことか?

 というより、さっきまでここに居なかったぞ。どこにいたんだ?


「えっと、旅の途中で出会ったんだけど....」


「すっごい可愛い~、いいな~」

「キュピピ~、キュピピ~!」

「か、かわいい....!!なんてかわいい声なの!!」


「名前は何ていうの?」

「いや、まだ決まってないけど」


「そうなの!?ちゃんと名前つけてあげなきゃ!」


 ん~、名前か。「キュピピ」って声を出すから、後ろの部分を取って「ピピ」だとどうだろう。適当すぎか...


「ピピはどうかな?」


「え!可愛い!すっごく可愛い!よろしくね!ピピちゃん。」


「キュピキュピ~」


どうやら彼女は心底ピピの可愛さに魅了されているようだ。


「そういえば、私の名前まだ言っていなかったね。私はミア。キミは?」


「俺はイツキだよ。よろしく!」


 この子、ミアっていうんだ。可愛い名前だなぁ。


 はっ!そろそろこの洞窟から脱出するために動き出さないと。

 その時だった。ピピが勝手に進みだした。


「あっ、ピピちゃん!待って!」


 直感だけど、ピピは道案内が得意な気がする。ドラゴンの時はミスしたけど。

 

「ミ、ミアさん。ピピは一度、真っ暗な空間から脱出させてくれたんだ。今はピピを信じて進んでみないか?」


「すごいね、ピピ!そうしましょう!あ、あとミアでいいよ?」


 ズキュン!

 こんな可愛い子をミアと名前で呼んでいいなんて...

 少しは異世界の良いところを味わえたな。


 俺たちは洞窟の地面をよちよちと歩いていくピピに着いて行った。

 ちなみに、宙に浮かびながら進むことも出来るのに、今歩いているのは何故かわからない。相当な気分屋らしい。


「そういえば、ミアは何で洞窟に来たの?」


「え...ちょ、ちょっと探し物があってね...」


 聞いちゃダメな事だったのだろうか?だが、こんなややこしい洞窟に、わざわざ来るなんて、相当な理由があるはずだ。まあ、今はこれ以上深く追及しない方がよさそうだな。


「そういえば、キミたちクリスタルドラゴンに遭遇するなんて、すっごいラッキーだよ!1000年に1度しか遭遇しないって言われてるくらいよ?」


「あ、さっきのドラゴン?そんなに珍しいドラゴンだったんだ...!死にかけたしラッキーな実感あんまりないけど....何より生きてて良かった!ミアほんと強かったよ!魔法って誰でも使えるものなの?」


「キミ、もしかして異世界人かな?あまり見慣れない服装だし、魔法も知らなさそうだし」


 ギクっ!バレてるな。この子鋭い。いや、俺の振る舞いが甘すぎるのかな。これ以上嘘もつきたくないし、正直に言うか。


「えーと、実はそうなんだ....元々は地球っていう星の日本っていう国にいたんだけど、ある日突然こっちに転移しちゃって....」


「あーやっぱりね!この世界に異世界人が来ることは、たまにあるって聞いたことあるし。でも直接見るのは初めて!今私たちがいる国は、シェトレス王国という国よ。あ、あと地上に出たら異世界人ってことはバレないようにした方がいいかな。色んな人が警戒しちゃうから。」


 まあ異世界から来た奴なんて、素性が全然わからなくて信頼できないもんな。


「異世界人なのに、何でここまで助けたり、気にかけたりしてくれるの?」


「だってキミが悪さをするような人にはとても見えないもの。さっきだってドラゴンからピピちゃんを助けてたでしょ?それにキミはすごく温かい目をしているから。」


 胸が熱くなっている。きっとこの出会いもピピのおかげなんだろうな。ピピが何者か地上に出たらゆっくりと調べたいな。


 こうして、俺たちはピピの進む道だけを頼りにして、ひたすら歩み続けた。薄暗い洞窟だったけど、ミアとの会話も楽しかったから、不安はあまりなかった。


 感覚だが1時間くらい経った頃、進む道の先に光だ差している場所を見つけた。


「外だ!!!」


 俺とミアは大きな声を出して、はしゃいだ。ピピもどうやら喜んでいるらしい。


 

 

 全員が外に出た。屋台らしきものが多数並んでいる。


「ここは.....シェトレスマーケット通りね!私よくここに来るんだよ!」


 どうやらミアは知っている場所らしい。


 それよりも、すごくいい匂いがするじゃないか!肉にスパイスの効いた香ばしい香り...!


 ぐぅ〜〜〜と俺とミアのお腹が鳴る。


「わ、私は鳴ってないからね?」


 ミアは少し顔を赤くして言っている。ほんと可愛いな....


「ねえ、あそこの屋台行ってみようよ!」


 ミアが食べたがっているのは、日本で言うと焼き鳥に似ている。


 一体何の肉が使われているかわからないが、もう空腹の限界だ。何も気にせず、まずはお腹いっぱいご飯を食べたい!


 だが、肝心のお金がない!洞窟から出れたものの、お金がなければこの世界で餓死するだけだ。


「ミ、ミア、ごめん。その、今お金持ってなくて」


「あ、そうだよね。こっちの世界のお金は持ってないよね。ここは私が出すから安心して?ピピちゃんのおかげで洞窟から出られたから!ピピちゃんありがとね〜」


「キュピピ〜」


「ありがとう。命まで助けてもらってご飯まで...いつか必ず恩返しさせてもらうよ」


「そうだね、ならピピちゃん欲しい!」


「そ、それはやめてくれ!!頼む!」


「ふふ、冗談だって〜、ピピちゃんと、契約しているのはキミなんだから」


 契約?俺ピピと何か書面で契約を交わした記憶はないが。まあ今はそんなことは置いといて、ご飯が先だ!


 ミアに焼き鳥らしきものご馳走してもらって、これでもかというくらいに食べた。


「う、うますぎる!なにこれ!!!」


「でしょー!かなりの有名店なのよ?」


他にも魚のフライやデザートも堪能した。お酒も沢山あって、俺とミアは浴びるように飲んだ。


ピピも豪快に酒を飲んで、おなかをまん丸にしている。

ってピピ!お酒飲めるんだ...


異世界と銀髪の美少女と愛くるしい精霊、そして美味しい食べ物、気分は最高潮だ。


会ったばかりの少女とこんなに会話したことなんて、今まで一度もなかったな。案外楽しめることに気づいた。


ずっとこんな時間を過ごしたいーーー

だか、次の日から平穏とは言い難い日々が始まるのであった。

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