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第一小話 : リーダーのダイオさんの背中は 大きいんですよ♪

行ってみよー!!



冬。雪で真っ白。

当たり前だけど、寒い。

明け方まで降っていた雪は積もりに積もって、私の頭の上。

うん。雪かき頑張った。

全属性な魔法が使えるファイターは、暖を取るのに最適だった。文句タラタラだったけど。


少年カインのいる場所は、お世話になってる村から3キロ離れた山の入口にある管理小屋。の、囲炉裏の前。

冬の間だけ、拠点として借りている山小屋。

男女合わせて6人のパーティー

山から獣やモンスターが村に行かないように、罠を仕掛け。結界を張り、仕留めた食材を村に売りに行っている。


主にリーダーのファイターとオレンジのシーフが。

重いしデカいからね。


「んじゃ、始めるぞ」

「あ、はい!準備OKです!」


そのリーダーのファイターを一言で言うなら、暇さえあれば筋肉を育てる鍛錬バカ。冬用模擬剣がバカでかい。カインには振れない。


「1、2」


カインを背に乗せ、腕立てを始める。

・・・


「3、4」


背に載せられてる少年カインの特徴は、美少女。

美少年ではない。美少女。歳は15歳。


「5、6」


初めて会った時13だった。そんな少年は絶賛ナンパされちゅうだったけど。ヤローに。


「7、8」


出会った頃から見事な可愛さだった。

服装は近所の男の子の、簡素なお下がりズボンと上着だったけど。


「9、10」


なのに何故?理由は簡単、顔が可愛かったからだよ。

髪はキラッキラな、ゴールド。


「11、12」


キラキラ輝いて肩より下に伸びてきたのを、バイト先のパン屋の看板娘から貰ったピンクの小さな石が3つ付いた髪留めで


「13、14」


右耳のところを止めている。小さいピンクの石が3つくっ付いているので、小さい花の飾りに見える。


「15、16」


確信犯だね、パン屋の看板娘。


「シーネ、カインに木箱持たせてくれ」

「はいはーい♪」


筋肉育成中は、根野菜入れで使っている木箱に視線を向ける。

暖炉を挟んで反対側に座っていたオレンジのシーフに、木箱を取ってもらった。


「ん。いい感じだ。17、18」


片手でヒョイっと渡された木箱は、少年には重かった。

頑張れ。


「19,20」


オレンジのシーフは背の高いスラッとした美人な、お姉さんだ。

いつも楽しそうに歌うように話す。


「21、22」


少年は緑の瞳で自分の膝の上に置かれ、落ちないように紐で支えている木箱を見つめ中を思い出す。

ジャガイモと人参と玉ねぎとカボチャが入っている、パンパンに。


「23、24」


上下に揺れる身体を、木箱と一緒に下に落とさないように。


「25、26」


・・・


「27、28」


・・・木箱デカくね?


「29、30」


さっきもやってて、これで3セット目。重りの増え方変じゃね?


「31、32」


よく八百屋で見かけるレタス箱、2つ分より大きいよ?


「33、34」


しかも速度上がってね?


「35、36」


・・・気にせず続けよう。


「37、38」


カイン少年の身長はまだ高くない。


「39、40」


15歳の平均身長より低い。私より小さい。


「41・・・


集中集中。一気に行こう。


天涯孤独の身の上で、父・母・姉・妹の5人家族だった。姉の結婚が決まり嫁入り道具を王都に買いに行った帰り、盗賊に襲われ亡くなってしまった。

村の大人達、特にじじばば達が世話を焼いてくれてまだ11だった少年はスクスクと可愛く育った。

夏も終わろうとした時。クエストで少年の村にやってきたパーティーは、森でキノコを採って帰宅中のカインに出会う。

「困ります、離してください!」と嫌がっていたカインを助け、宿代の無かった彼らはカインの家に泊まらせてもらった。

部屋はいっぱい空いてたから。


その日の夕食は久々に平均年齢が若かった。

じじばばとのご飯も美味しいが、楽しくてよく笑った。いつもよりぐっすり眠れた気がして、朝が楽しかった。

クエストに向かう前の3日間を少年の家で過ごし、クエストが終わった後の5日間も同じように過ごした。


よくある話だと他の冒険者は言うだろう。

王都の騎士も、領主の兵もよくある事だと言うだろう。

カインの家での8日間もいつもと変わらず筋肉育成に鍛錬を励み。少年に懐かれたパーティーのリーダーは、自分のような冒険者になりたいと言われ。嬉しさのあまり少年に「15歳になったらな!」と帰る時に約束してしまった。

パーティーのみんなに、特に幼馴染の魔法剣士に迂闊だ、考え無し、脳筋と言われ落ち込んだ。

雪が降る日が多くなり冬の拠点に戻った時、村の村長に2通の少年からの手紙を渡された。

少年からの手紙は、冒険者になる為に村のジジ達に相手をしてもらってるということが楽しそうに書いてあった。

翌年の冬も手紙が届いていて最後に届いた手紙には春になったら冒険者試験を受けに行く、と書いてあった。

「15になったら冒険者になります!どこかで会うことがあれば嬉しいです」と締めくくられていた。

少年の手紙には「会いに行きます、パーティーに入れてください」とは書いてなかった。

今まで貰った手紙全ての、どこにも書いてなかった。


「どーすんだ?」


幼馴染の魔法剣士は答えはわかってるようにニヤニヤしてリーダーを見る。同じような顔をしてオレンジのシーフはリーダーをどつく。

他のパーティーメンバーに手紙とペンと速達料金の割り勘4人分を渡され、ニヤニヤされる。


「さっさと書いちゃって♪今ならまだ今日のに間に合うよん♪」


外に出る準備をしながらシーフが笑う。


「良いのか?」


一人ひとり目を見ていくと、しっかりと頷いてくれる。

リーダーのダイオはあまり上手くない字で返事を書いた。


「どうせ受けるなら、俺達の拠点の村の近くの街にある冒険者ギルドで試験を受けよう。

春になる少し前に迎えに行くから、それまで家で待ってるように」


オレンジのシーフに手紙とお金を渡し、ダイオは笑う。


「で。誰が迎えに行く?」

「は?一緒に行くけど?」


自分が行くつもりのダイオが笑顔のままいちお言うと、幼馴染はジト目で答えダイオをコツく。


「そうですね。ダイオ一人で迎えに行くと、大事にしている村の方々に心配されるでしょうし(ニッコリ)」


綺麗に微笑む。黒髪ロングの精霊使いのにそう言われ、もう1人の無口な仲間は強く頷いた。


「191、192、193」


はい!まだ続いてました、腕立て伏せ。


「194、195、196・・・


受験料が勿体ないので一発で合格するように、みっちりみんなからしごかれた少年カインは。無事に冒険者試験に合格し。今日も嬉しそうにダイオの背中の上に座っています。


「200!」

「お疲れー♪カイン♪箱貰うね♪」

「あ、ありがとうございます・・・」

「? 。どうした?カイン」


自分の背中の上から動かないカインを見て、ダイオは背中を少し揺する。

カインはヘラっと笑いながら小さく伝える。


「痺れて・・・痛いです・・・揺すらないでー」




ダイオの紹介になりそうだった。ヤバかった。

うん。

カイン・ラウム。15歳。

金髪サラサラキラキラのグリーンアイの男の子。

パン屋の看板娘はミルちゃん。カインの可愛さに家族一同即決採用。

今では可愛い看板娘が2人いると評判のパン屋に!


次は、ナンパされるカインを毎回助ける男。

ファイターでリーダーのダイオ・テーリル。

行ってみよー♪

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