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苦手なこと、剣を振る。【前編】

私は主人公の夢女寸前の人間なので、万が一「主人公が現実じみてない」とか言われても知りません。

かっこよければ良いんですよ男の子なんて。

 アールゴーン・ラドヴィルク。男、身長結構高い。体重もわりかし。スリーサイズはやや細身だがマッチョ。職業、英雄。

 転生者なのに何故英雄なのか、僕はしばらく考え続けていた。イマドキ流行るのは悪役令嬢とかパーティ追放モノじゃないの…………? 何でそこら辺の村で生まれて英雄なんだ?


 でも僕が他の転生者より駄目なところっていうのは、何となくほっとけないで色んな人を救ったりする弱さ。

 良いと思うよ、全力逃亡。人間なんて誰でも英雄になったり、不撓不屈の復讐系主人公になったり、悪役令嬢なのに何故か男をオトしたりとか、みんなみーんなが出来やしない。出来ないこともある。

 受け入れることも重要だ。出来ないことは出来ないし、出来ることは出来る。それでいいよ、ホント。


 王様の感謝状が届いてる。


「お膳立てでしょうね、英雄サマを放っておくと民衆は怒るもの」


 白い頭がぱっと感謝状を没収してきた。


 何だいヴァール、僕が褒めそやされてるのはご不満かね。


「別に其れは良いわよ。貴方は頑張ったんだから、女の子にだってちやほやされたら良いんじゃないかしら」


 何と投げやりな、君は僕が取られてもいいってのか。


「所有物じゃないもの。恋人じゃあるまいに」


 同棲してるのに恋人ではないのか。いや無いね僕もウンザリだ。

 まあ実際お家の事情だし。


 ヴァール。端的にいうと幼馴染枠の美少女、嫉妬してくれて構わないが超かわいい。

 エミリアル家という何だか位の高いらしいお家の一人娘だったんだけど、見て分かる赤目に白髪。これって言うのは何だか教会的に「良くないもの」らしくて、まだ宗教国家のご時世では肩身が狭い。

 だから匿って遠方で暮らしている。とはいえ僕が此処に居る日は少ないし、大抵彼女もついてくる。この家、時々ボロ屋と勘違いされて食器がなかったりするし。


 というかね、ヴァール。僕はもう仲間の女性だけで手一杯だ。からかいが酷いよ彼女達、バハクは嫉妬してるのか止めてくれないし。


「満更でもないからでしょ」


 えー、其れはない。

 どう見ても本気じゃないし。全力でハーレムなら、そりゃ僕だって浮つくけど。違うよね。確かにこれまで僕が英雄だのと祭り上げられる前から支えてくれたメンバーなんだけど、何だか僕を年下と勘違いしてるやつばっかりだ。


 僕の返事にどうだか、と顔を逸らして朝食を作るヴァール。

 後ろ姿がとても好きだ。彼女が家の中で、料理をしている。それはこんな世界に生まれてきてから、僕が何年も追い求めてきたただの「日常」だから。

 愛しているとか高尚に宣わないけど、そういう姿を見るために頑張ってたのは嘘じゃない。


「またつまらない事考えてるでしょ」


 つまらないこととはなんだい、僕は幸せってやつを噛み締めてるんだよ。








 また魔物が増えてきた。この家も捨てていくことになりそうだね。


「良いじゃない、どうせ貴方についていったら家なんて無いみたいなものだし」


 君ねえ、僕は家に居てって言ってるじゃないか。さも僕が居てもらわないと死んでしまう、みたいな事を言い出して君を連れ出しているような雰囲気で喋らないでくれよ。


「守るものは近くにあった方が楽でしょ?」


 調子のいいやつ。

 家はいつも転々としていた。彼女は体質上、魔物と教会の二側面からよく狙われる。僕が知る限り、魔物も怖いぐらい人だって怖いんだ。


 魔物が寄ってくれば周辺の皆に気遣ってすぐ家を捨てるし、教会の人間が彼女を嗅ぎつけてもすぐ家を捨てた。王様から直々に感謝状来てる時点で警戒するべきだった、所詮まだ宗教国家だから。アッチも怪しいね。

 お金はある。だから後は安住の地だけ。


「別に私、奇蹟でちょっとした人除けくらい出来るんだけどね」


 それは駄目だ、とても良くない。


「何で?」


 君は普通に生きて良い人間だから。僕みたいにわざわざ魔物と戦おうとか思ったこともないし、要らない人の事情に首も突っ込まない。

 わざわざ面倒なことに取り組まなかった。


 なのに、どうして君がそんなおかしなものに頼らなくちゃいけない?

 偶々持って生まれただけじゃないか。そんな忌々しいもの、君は使わなくていい。


「そういうのってー、私の勝手だと思いますがー」


 返す言葉もないけど、僕はそういう理不尽が嫌いだからね。


 こんな世界に生まれる前から理不尽はいっぱいだった。

 多数派じゃないから阻害される。

 弱いから食い物にされる。

 強すぎるから粗末にされる。

 優しいから喰い潰される。


 もう沢山じゃないか。せっかくチートで無双してやろうって時に、そんな事をされている身の回りの人間が居たら気が散るってものだ。

 そんな事ばっかり考えてたら、気づいたら王様から感謝状とか来てるんだけど。ああ、これは自慢だよ。だって僕は駄目なりに頑張ってるからさ。


 中途半端は良くない。偽善で誰かの困りごとに首を突っ込むなら、もうやり通さなきゃいけない。それぐらいしか僕にはポリシーらしきものはないから、そこだけはしっかりしてる。


「アル、まーた嫁さんが狙われてんだって? もう俺ァお前らの結婚生活のサポートに飽きてきたんだが」


 結婚生活じゃないよ、バハク。彼女と結婚とか冗談でも辞めて欲しい、僕はあまりの苦痛で死に絶えるよ。


 言った瞬間に頬をつねられた。「苦痛って何」とのこと、言葉通りでございます。

 バハクは重装備のさまようよろいみたいなやつで、ヴァールを連れ出す時に僕とグルになったせいで旅することになった男。気がいいけど未だに彼女の一人も出来たことがないのがコンプレックスで、笑い話にしながら僕に謎のヘイトを向けてくる。

 別に良いと思うって言ってるんだけど、時代柄上手く理解してもらえない。本当に良いと思うんだけどな、独身でも。

 実際今も立派に英雄の一味なんだし。世間体的には。


「というかまた俺が一番乗りかよ、感謝しろよ? お前が泣き言言うたびにすぐ来てやってんだから」


 ギルドだっけ、アレで手紙を送ってもらえるのはホント助かるよ。


 じゃあ行こうか。いつもどおり安住の地探し、時々世界とか村とかを救っていこう。


「お前のその取り敢えず首突っ込む癖、どーにかならんのかい。いや良いことなんだがな…………」


 偽善者は馬鹿と一緒で、治らないらしいんだ。悪いね。








「私、正直馬車で揺られてるほうが安心するわ」


 何と身も蓋もない…………徒労感が増すじゃないか。


 とはいえ馬車はとても良い。鎧を着て歩くのは一苦労だ、鎖帷子は僕の性分に合わないし、だけど魔物なり野盗なりは何時でも追い払えなくちゃならないわけで。

 バハクが前の方からぼやく。


「お前らさあ、俺ヨセフカに馬車預けられてるの知ってるか? つまり俺はお前らの惚気のお付き合い担当ってわけだ、なんか一言」

「知りませんよ、そんな事」


 僕も知ったこっちゃない。

 むしろ此処まで必死に追ってくる教会だとか、魔物に非があると言っていい。


 正直なところ、彼女がこの世界で言うところのヒロイン枠だとしても数があんまりにも多すぎる。仮にも結構ボス枠らしき敵は倒してきたつもりだけど、教会と自動ウェーブ管理みたいな魔物の群れの方が辛い。

 強大な力だ何だと言われたけれど、結局数に付き合わされるよりは良い。僕はこれで明らかなチート持ちだ、集中力を削がれたり不意を突かれる方が辛い。


「知ったこっちゃないってなあ…………ん。でも襲われてるだけだもんな、そういうのも無理はないか」


 僕は自分のわがままでヴァールを連れ出したからね、やったからには責任を取らないと。


「え? ヤったからには? ようやくか、遅えぞアル」


 最近この剣切れ味が逆に良くなってきたんだけど、どう? 肩から真っ二つにされてみたいとかそういう遠回しなご要望と見て良いのかな。


「お前が言うと怖いんだよ! 本当に一撃だぜ、俺なんぞさぁ!?」


 いやでも横のヴァール嬢も奇蹟の準備してるよ?


「辞めろ辞めろ!? 俺が固まったらお馬さんもチビって事故るからな!」


 だってさ。


「じゃあ辞めとく」

「じゃあとは何だじゃあとは! 助けてヨセフカ!」








「だとしても、私を呼んでもどうにもならないと思いますが」

「味方は多くて損がない」


 味方とは何だ味方とは、僕はバハクの敵になったことはないよ。

 いつもどおりにヨセフカが合流。彼女はさっき言ったギルドの長で、本当はこんな引っ張り出していいご身分でも無い妙齢の女性。


 バハクと僕が前衛で頑張るなら、彼女はもっぱら錬金術師みたいな立ち位置。それこそ◯スカ&ロ◯ーのアトリエみたいに後ろからアイテム投げたりしてる。

 元々魔術師らしいけど、何だか才能がないみたいで。アイテムに特化したそうだ、家の特徴らしい。


「ラドウイルクさん」


 ラドヴィルクだよヨセフカ、いい加減間違えないでくれないかな。そっち、結構酷い名家なんだから。


 何だかとても圧政を敷いてる悪い名家で、ちょうどそこのドラ息子も旅をしてるんだとか。名乗るたびに間違えられる。勘弁してよ、僕がそんな人を虐げる悪人の顔をしているとでも?


 失礼、と咳払い。ブロンドのシニヨンヘアーがゆらゆら揺れる、表情よりも髪束の方が感情表現が得意なようで。いつもクールな顔だから勘違いされるけど、今のは割と本気で謝ってる。


「ラドヴィルクさん」


 はい。何ですか。


「妊娠したのですか?」


 飲んでた水を全部吹き出した。僕は今だけシンガポールのマーライオン。

 ヴァールは食べてたサンドウィッチを必死で呑み込みながら自分の胸をダンダンと叩き続ける。バハクも顔は真っ青、ヨセフカはキョロキョロしている。


 え、えーと。何故そういう話に?


「冗談です」

「冗談が分かりにくいですよ、ヴェーリオさん!? こんなダメダメな人と私が婚姻だって厳しいですよ!」


 そうだそうだ! 僕だってこんなすぐ僕を扱き下ろす女なんかヤダ! もっと甘やかされたい!


「言わせておけば貴方も中々言ってくれるわね!? 散々甘やかしてるわよ、料理だって一生懸命覚えて」


 え、アレは元々出来るから作ってるって。


 話がズレてる。ヴァールは黙りこくってしまったので他に援助を求めよう。

 ヨセフカを見ると下手な口笛を吹きながら顔を逸らしてしまう。バハクを見るとひどく深いため息をついて、何回か意味不明のアイサインを送り、とうとう「呆れた」とでも言わんばかりに口を開く。


「…………お前さ。一時期、ヴァールちゃんの指が切り傷だらけなの。アレは何だと思ってたの」


 いやだって草むしりで切ったって言うからさ、僕は真に受けたんだけど。


「真に受けたの? 本当に?」

「もう辞めてバハク! 死ぬわ、今すぐ死ぬわよ私!? 苦労を水の泡にしちゃうんだから!?」


 何でヴァールはそんなに焦るの。というか死なないで、何で今まで家を転々としてきたと思ってるんだ。


 特に意味もなく何気なく聞いた台詞だったのだけど、ヴァールは珍しく陶磁の肌に真っ赤にしながら凄い剣幕で僕の方に迫ってくる。

 ねえ助けてよヨセフカ、という僕の顔色窺いには”どうあがいても無理です”と言わんばかりの横に振られた鎮痛な表情が返事だった。何故、女性の扱いは女性こそ得意なはずじゃないか。


「だって貴方、家にいる時の楽しみは温かい食事しかなかったって昔言ってたじゃない!」


 あ、アレか。律儀だなあ。


「軽いのよ、もっと感謝して!」


 えー、なんか理不尽な物言い。


 思わず出た本音にますます目を潤ませてくるヴァール。何なんだ、僕は一体何の拷問を受けている?

 バハクが大声で


「何でこんな糞馬鹿阿呆間抜けが愛されて俺は愛されねーんだ!!!!!!!! 神様は俺に見向きもしてねえのかよ!!!!!!!!!」


 と叫ぶ。何だお前は、何を言っている。


「ラドヴィルクさん、率直なご感想をどうぞ」


 ご、ご感想?

 そりゃ嬉しいけど、まあ君が健康なら何でもいいし…………別に無理しなくてもいいかな。うん。


 生きていてくれるなら、正直後はどうでも良いよ。食事なんてパンの耳でも良い。


「だそうですよ、ヴァールさん」

「――――――――バハク、馬車を止めて! このダメ男を今すぐ引きずり下ろして!」


 酷すぎる!?








「なるほどな、それで君は本当に野宿と。愉快なことじゃないか、ははは」


 笑い事じゃないよ、ヴィンストラム。僕は彼女の手作りの食事以外食べてはいけないという謎の罰則を受けてるんだ、正直お腹空いたからね僕。


 辛うじて起こした火に小枝を突っ込みながら、馬車越しの豪勢に火を起こしながら何だかパーティーみたいな声を上げてるお三方を見つめる。酒の入ったバハクが変な一発芸でもしてるんだろう。

 ヴィンストラムはとんがり帽子をクルクル指の上で回すと、マリンブルーの瞳を細める。


「そうは言うがアル、君はとても寛大な処置を受けている。なにせ女性の私と二人きりで暖を取るのが許可されているんだ、これはかなりの事だと思うぞ」


 食事も彼女の気分次第じゃ当然だ!


 ヴィンストラム。名前も本名とは思えない変な魔法使いで、ヴァールとはまた毛色の違う色の抜けたような銀髪が特徴の自称魔術師の女性。

 僕の家探し及び慈善行為に手を貸すのも気まぐれで、曰く「偶々会った時」らしい。会う頻度、多すぎるけどね。多分RPGで言うととても強いゲストキャラ。実際魔術もそこらの行きずりの魔術師より桁違いに強力だ。


「でも君は何というか…………そうだな。もっと彼女の心配を素直に受けると良い」


 心配?


「そう、心配だ。君は大して強くないと本当の意味でわかってくれているのは彼女だけだ、その気遣いを粗末にしてはいけない。何せ彼女は――――――おっと、これは踏み込み過ぎか」


 何思わせぶりなこと言ってるんだい、変なやつだな。


 率直に問いかけると、ヴィンストラムの表情が疑問に曇る。


「ところで、その…………本当に分かってないのか?」


 何が?


「いや、ヴァールの。というより君自身の態度だって、何というかだな。うん、やっぱり辞めておこう。君が続きは考えてくれ」


 思わせぶりを極め過ぎだぞヴィンストラム! 答え合わせをしてもらえるか!


 そう言われても困るな、と妙に笑いながらとんがり帽子を被り直すと、コートの袖からおもむろにビスケットを取り出す。

 彼女は何というか、とても魔法使いらしい魔法使いだ。行動理由もはっきりしないし、魔術もヨセフカいわく「原理が意味不明」だという。間違いないのは敵じゃないこと、いや一回敵だったこともあった。

 今回だってそう。彼女は何か僕らとは決定的に違う行動原理とパラメータを持っているようなふわふわした女性だ。


「えらく前のめりに聞くんだな…………ふむ。答え合わせは駄目だ、私がするのは君自身の意志の手助け。君自体に干渉することとは違うから」


 難しいことを仰る。貴女は何者なんだ?


 まさか…………とは思うが、神様なんて信じてないから口にはしない。


「ならこうしよう。君は昔語りが嫌いだと前に言ったな?」


 ああ、嫌いだね。同情だとか、憐れみだとか、そういう言葉が取ってつけられる。ヴァールはそういうものじゃないし、僕がしたことは英雄的でもないし、過去に関しては立派な間違いだらけだ。

 その癖みんな、正しいことをした人間を見たような顔で頷く。あの感覚が気持ち悪いんだ。


「私は君に同意しない。偶には整理というものをしてみるといいさ、今までを」

「答えは何時だって君の中にある。君が何を思い、どう考え、どう予想して今まで歩いてきたか。それが君に必要なものに繋がってる」


 相変わらず小難しいことを言うのが得意だね。まあそうかもしれないけど。










「あなた、どんくさいのね」


 親父の打ち損じた歪な剣を振り回していた小さな頃、彼女はそう言って腰に手を当てながらやってきた。

 いわゆるチート転生をした僕はその時、簡単に言うと結構調子に乗っていた。だって大抵の運動は結構出来たし、頭も何故か割と回る。後者は時によるけど。


 何よりこの歳にしては成熟した価値観が大人に持て囃された。気分が良いよね、「賢い子だ」とか「将来が楽しみだ」なんて上から目線の褒め言葉でも浮つく。


 でも。剣は振れない。不思議な話だと思う、でも振れなかった。下手くそ、前世と何ら変わらずというのが正しいのかな。とにかく駄目。

 驕った僕はそれが許せなくて、毎日家の裏で振っていた。そんな九つの時。


 うだる暑さに草だらけの森の手前、道でもない場所から蜃気楼のように彼女がやってくる。木陰の僕には何だか現実味のない光景に見えた。


”どんくさいとは失礼な。君は誰だい、アールゴーンを知らないとは言わないはずだけど”

「知らないわよ。あなたがアールゴーン?」

”えっ、知らないの。それは、何だ。君は外に出ないの?”


 うるさい、と怒られた。

 白くて長い髪に、宝石みたいに太陽の光を吸い込んだ赤い瞳。そして洋服は高そうだ、フリルが可愛らしくて何だかお人形さんのよう。

 剣から目を離して彼女を見た時、僕は見とれてしまったのが悔しい。見たことがない子で、綺麗。


 見たことのない姿にびっくりした僕の次の行動は言うと、その随分な態度に喧嘩腰になったのである。浅はかだ。


”僕は大したものじゃないけど”


 謙遜。いや、次の言葉でびっくりさせるためのくだらない嘘。本当は自分がたいした奴だと思ってた。

 びっくりは続くもので、その言葉をせききって


「あなた、つまらないウソつくのね」


 彼女はこう言って目を伏せた。思わず目を見開いてかんかんになる。


”嘘? 今の言葉だけで嘘って言い切るなんて、君は自信過剰だよ。僕の何が分かるんだい”

「分かるわよ。ウソをついてる大人はね、イヤな色になるの。あなたも今はイヤな色をしてるわ」


 何いってんだコイツ、と率直に思った。

 それが彼女との、ヴァール・エミリアルとの出会いの話。


 その「色」とやらが全くもって真実で、彼女がとんでもない人間だということについては後にしよう。

絶対ウケないけどカッコいい展開だけは保証します。

保証するためにすぐ後編も投稿します。しました(まだやってないのに過去形)。

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