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不釣り合い

作者: 川里隼生

 これは1966年のある日から分離した、少し違う歴史を歩む世界の話。

「こちらガラダマ。まもなくアンドロメダを離脱する」

「こちら東京。了解」

 ゴロー・B・ピーターただ1人を乗せた宇宙船Lilly-206、通称ガラダマ号は、東京の時刻で西暦2020年1月2日午後7時時点の太陽から同時刻の地球に伸びていた半直線の軌道を、地球や太陽から離れる方向に進み続けている。


 この宇宙はドーナツ状で、まっすぐ進んでいけばいずれ元の地点に戻る、という説がある。それを証明するために打ち上げられたのが、この真っ赤な機体のガラダマ号だ。ガラダマ号はものすごいスピードで移動できるが、そのぶん地球を離脱する際、とても強い力が乗組員にかかる。宇宙飛行士の中で唯一、それに耐えられるのがゴロー隊員だったというわけだ。


 現在、ゴロー隊員とガラダマ号はアンドロメダ銀河を横切り、Q-28という名の惑星に接近している。直径が地球の1/8ほどの小さな星だ。外気計はマイナス60度を指している。

「久しぶりに大地を見るなあ。ん? あれは小さな都市じゃないか?」

 ゴロー隊員の目には、Q-28惑星の表面に、小さなビル群が見えた。

「こちらガラダマ! Q-28に都市を発見!」


「こちら東京。それはありえない。Q-28は地球や火星と同じ岩石惑星だから、大きい岩を見間違えたんだろう。アンドロメダ銀河に文明が存在しないことは、もう君もわかっているはずだ」

「地球ではそう聞いたが、しかし実際に……あっ!」

 交信に気を取られ、目の前を飛ぶ小さな飛行機の接近を見落としていた。飛行機からは、SOS信号のような電波は送信されていなかった。


 飛行機と衝突し、墜落する。ガラダマ号にしては低空で飛行していたため、ゴロー隊員は無事だった。しかし相手の飛行機から見られた生体反応は、ほぼ消失してしまっていた。ゴロー隊員は罪悪感を持ち、最新鋭の医療技術を使って瀕死の小さな生命体と自分の命を一体化させた。また、ジュランというそのQ-28星人にゴロー隊員へ変身できるカプセルを持たせた。ジュランはQ-28に飛来した宇宙怪獣を駆除する組織の一員だった。


 そう、ここは何もかもがアンバランスな状態になり、不気味な身動きを始めている世界。これから、あなたの目はあなたの身体を離れ、この不思議な世界の中へと入っていくのである。

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