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喋ったら、死ぬかも知れない。だから俺は、喋りまくる。  作者: 中田翔子
政治と保護

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大人の対応

「あ、あの……、僕と結婚してください!」


関守の決死のプロポーズは、一帯に響き渡る……ということもなく、あっさり木々のさざめきに飲み込まれた。


生まれてこの方、人との関わりを避けてきた関守には、正常なコミュニケーションの方法がわからない。だからこんなストーキング紛いの(ストーキングそのものだが)愛情表現をするしかなかった。彼は人間関係の希薄な社会が生み出した哀しきモンスターなのである。


タオは口をあけたままポカンとしている。暴漢に襲われた(と思っている)恐怖で、まだ状況が飲み込めていない。村では一言も言葉を発しなかった関守の声など知る由もなかった。故に暴漢と勘違いするのも無理もないことであった。


しばらく間があって、タオの目の焦点が合ってくる。関守はその間タオをじっと待った。正確には何をしていいかわからず、かと言って出てきた手前帰るわけにもいかず、立ち尽くしていただけである。


「あれ、……関守さん?」


ようやくタオの頭の中が状況に追いついてきた。


目の前にいるのは関守さんで、

私は暴漢に襲われていなくて、

私はノーパンで……。


「きゃっ」


小さく悲鳴に近い声をあげたタオは「ちょっと待っててください」といい、離れた茂みで下着を着用する。たかが布一枚、されど布一枚。心の安寧を取り戻した。


と同時にその後の記憶も蘇る。


(……私、プロポーズされた? ……なぜ?)


最新まで状況は追いついたが、今度は頭の理解が追いつかない。そもそも関守とは直接会話したことすらない。つまり自分のことを好きになる理由はない。


(人のことを揶揄うような人にも見えないし、きっと勘違いか人違いね)


童貞の思考は、経験の浅い少女の想像力では到底理解し得ない(ほど拗らせた)境地なのである。


タオは、勘違いならわざわざ傷口を広げることもないと、聞こえなかったことにした。大人の対応である。

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