プロローグ
もう終わりだ、と思った。何故なら、今は地上に向かって自由落下しているところだからである。
高度一万メートルを飛んでいた飛行船から、落下したのだから。そりゃ死んだと思って当然である。
そして、頭の中をよぎる。
ミスったぁぁぁぁぁっ!とか。何故、窓から身を乗り出してまで初めて間近で見る雲を触ろうとか考えたんだよ俺っ!とか。
人生初めての命綱無しバンジージャンプを堪能しつつ、そう考える俺は、地上の森の中へと消えていった。
それは、寒い冬の時期であった。
――――2519年5月――――
「ふぅん、ルナ森で広域大爆発ねぇ」
「なんか物騒ね。今回も依頼あるの、ミドリ?」
「そんなの、わからないけど。まあ、あると考えた方がいいんじゃない?」
と、電光掲示板を見ているのは、ミドリと呼ばれた少女だ。
エメラルドグリーンの髪と瞳を持つ。少し長めの髪型であり、身長はやや女性にしても小さめの方か。まだ少し子供っぽさが抜けきっていない感じが印象的だ。
そしてその隣にいる、文庫本サイズの妖精も同じような色の髪と瞳をしている。そしてどこか、和を感じさせる。
その名前はカエデ。ミドリの従精として行動している。
この国では、15年前のある事件から妖精や幻獣、果てには呪術や魔法も使えるようになってしまった。
それから5年。今度は、妖精や幻獣を従わせてみたり、パートナーとなっているのもいる。
それが国の現状。そして、その2年後にはギルドなんてのもできてしまった。年代進むにつれて発展してきた国も、今じゃ500年ほど前にあったらしい娯楽の一つ・げーむとやらと同じ感じになってきているらしい。
そのため、最低限の電子機器を省いては、なんか古くさくなってしまっている。
……とまぁ、説明が少々長くなってしまったか。
ミドリの予想通り、ギルドに呼び出される。
そういう訳で、ギルドへと向かうわけだった。