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作者: 紫葵

二作目です。きゅんきゅんしてください。

とある日の放課後。空はもう赤く、教室で彼が起きるのを私は待っている。

「あぁ・・・寝てた。」

彼は突っ伏していた顔を上げて眠そうな目で私を見た。

「おはよ、A美。」

「うん、おはよ。今日もよく寝てたね。」

彼はよく寝る。運動が大好きで外でいつも走り回ってる彼は教室に戻るとすぐ寝てしまう。そんな子供みたいな彼が私は好きだ。

「A美・・・。」

彼が私の名前を呼んで見つめてくる。

「髪、跳ねてる。」

そう言って、笑いなが私の跳ねた髪を撫でて

くれた。

「あはは・・・ありがと。」

恥ずかしいやら嬉しいやらで顔が赤くなってないだろうか?

私の心は単純でこんな事で跳ね上がってしまう。

「帰ろっか?」

「うん、そうだね。」


帰り道、空では戦闘機が飛び回っている。

「戦争、終わらないね。」

「昨年からだもんな。A美大丈夫?」

彼は心配そうな顔で私の顔を覗き込んできた。

「大丈夫だよ!そんな心配しないで、ね?」

「・・・うん。」

20XX年、私達の国は同盟国と一緒に隣国へ攻め込んだ。

隣国は核兵器を所持、更に独自開発した薬品兵器を脅しに私達の国を初め他国を従えようとした。

つまりは中学生的に言うと世界征服しようとしているのだ。

そのせいで私の両親は死んだ。戦争に殺された。彼の母親もそう、空襲で足を悪くしてしまったのだ。彼が外で走り回るのは母親の代わりになれない償いからなのかもしれない。

こんな戦争、虚しいだけだ。

「何で人同士で争うんだろうね。」

ふと呟いてしまった。

「・・・多分、人の気持ちが分からないからだよ。」

彼は悲しそうに、答えてくれた。

私達はそこから無言で歩いてお互いの自宅に向かった。

そして歩いて数分後。


ウィィィィィィィンウィィィィィィィン。


警報?!

「A美!空襲だ!」

彼が私の腕を引っ張る。


え?空襲?どうするの・・・私達、死ぬ・・・?

「A美!落ち着いて。高校にシェルターがある、僕達の避難場所はそこだ。今からそこに向かう。僕は母さんを迎えに行くから、1人で大丈夫?」

私は小さく頷いて、それから彼に抱き着いた。

「私、貴方の事が好き。」

「・・・うん、俺も。」

彼は抱き締め返してから走って彼の母親の元へ向かった。

大丈夫、彼はすぐ来る。私も避難場所へ向かおう。

『避難警告です。先程の空襲は爆撃ではなくウイルス散布です。もう一度報告します。先程の空襲は爆撃ではなくウイルス散布です。このウイルスの感染力は弱いですが感染者には気を付けてください。』

ウイルス散布?もしかして薬品兵器なの?一体どんな・・・。

走りながら思考を巡らせていると鼻に違和感を憶えた。

「何、この・・・。」

その異臭の正体は目の前に広がる光景で説明がついた。

目の前に広がる、血、肉、血、肉、血、肉・・・。

吐き気がする・・・、怖い、気持ち悪い・・・頭が痛い。

「ハァ・・・ハァ・・・。」

薬品兵器でここまでの事になるなんて・・・。危ない、早く避難場所に向かわないと。


高校に着いた。

早く、シェルターに向かわないと、早く・・・。

「着いた・・・ハァハァ・・・。」

まだ気持ち悪いけど、疲れと空腹からかシェルターの中からいい匂いがする。

そうしてシェルターを開いた。

そこには、


人間はいなかった。


見渡す限りの怪物。異様で奇妙で汚らしい。

「うわぁぁぁぁぁぁあ!!!」

こいつらが!こいつらが先程の血塗れの道の原因だ!

私は発狂しながらシェルターの怪物達を殴った。気持ち悪いし、触りたくもない。けれど私が襲われるならとっとと殺さないと・・・殺さないと。

「お腹、空いた・・・。」

殴ってる途中の怪物に噛み付いた。

美味しい。

何これ、凄い・・・美味しい、美味しいの。

私は他の怪物達も殴り噛み付き、殺していった。

「美味しい・・・凄い美味しいわぁ。」

いい匂いの正体はこれだったのね。

そろそろ彼が来るのではないだろうか?怪物達を殴り殺すのに時間がかかってしまったようだ。

シェルターの扉が開くと彼の姿が目に入った。

「お帰り!」

そう言って笑顔で迎えた。彼は怯えている。

何で?私だよ?

話しかけても彼は怯えるばかりだ。

バンッ!

彼が構えた銃に撃ち抜かれた。

「え・・・?」

私は怖くなって、泣きそうになって、彼に抱き着こうと彼の元に痛みに耐えながら歩を進める。

ねぇ、私、貴方のこと・・・。


「死ね、この怪物。」


泣きながら彼は私にそう言った。


【新型ウイルスレポート】

我国のウイルスは改良を重ね、感染力を極限に弱め対象による感染効果しか見込めないようになった。

このウイルスは感染者に筋力の向上を促し、それによる運動エネルギーの消費を高め感染者の空腹感を煽るようにする。幻覚作用により感染者は他人を怪物のように見え、タンパク質の匂いに敏感に反応するようになる。

つまり、感染者は運動能力が上がる食人の悪魔の化す。

このウイルスを隣国に撒く事によって感染者が隣国民を捕食し、機能を停止するだろう。

実験はこれを以て終了し、次は実践投入を試みる。

きゅんきゅんしましたか?ごめんなさい。逆に前作から予想してたボケって方、捻くれててごめんなさい。

こんな甘酸っぱい青春いいですよね、そんな描写ありませんでした。

個人的には戦争は反対です。怖いです。

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