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現実逃避してたら異世界に連行されたようです  作者: wine
第四章 異世界で逃走します
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白夢

内容暗いです。

読まなくても次話以降にそこまで影響しません。

お好きな方だけどうぞ。

 夢を見た。


 何度も空を見上げる夢。


 息をのむほど綺麗だった青い空が、どんどん色褪せて行って、白くなる。

 視線を足元に移すと、無数の屍体。そして、目の前を見ると色とりどりの瞳を持った沢山のヒトたち。私を四方から取り囲んで、とても綺麗……そう思ってたのに、また色褪せて行く。白くなる。


――嫌だ


 私はそれ(・・)を千切っていく。


――嫌だ嫌だ嫌だ


 まるで紙を破くみたいに。豆腐を潰すみたいに。


――嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


 右から攻撃してきたヒトの手は焦がした。左から術をかけてきたヒトには心臓へ手を刺し込んだ。そして正面から来たヒトをーー噛み千切った。次に来たヒトの腹に穴を開ける。目に映った目の前の人間の顔を蒸発させる。

 でも不思議と色が無い。白と黒の世界。


 そんな世界で殺して、殺して、殺しまくる。


――殺したく無い、殺したく無い、殺したく無い


 頭に響く自分の悲鳴。


 でも分かる、周囲の殺気が伝わってくる。

 殺さないと殺される。殺さなかったら殺される。殺していかないと。

 殺す。殺さないと。

 殺して、殺して、殺して、殺して、殺しして、殺しシしして、コロシしししして、……コロシしししたくて、コロシシシシたくて、コロシシタクテ、コロシたくてタクテたまらなイ。


「あははは、あははは、あは、あははははは」


 遠くから近くから、笑い声が響く。私の声。

 色褪せて真っ白で、何も見えない此処で、狂い続ける。


――もう、やめて。誰か


「カ……」


 不意に降ってくる声。


「……ヨ、つ……い……な」


 ノイズの掛かったように言葉が入ってきにくい。でも声で分かる。掠れた声。


 ふと目の前の群勢が割れた。そして1人が歩いてくる。白黒の混ざった道着に、黒い瞳。目が合って……困った様に微笑む。

 躊躇う様子もなく同じ速度で近づいてくる。


――ああ、来ないで。来ないで。来ないで。来ないで!


 笑った表情のまま、吐血する。彼の腹には私の手。焚き火と血の香り。

 私が……殺した。

 そこでやっと狂気が終わる。急に色づき始める世界。手に広がる真っ赤な血が、白い世界に終わりを告げる。


「ああああぁぁあぁああぁああああ」


 空を見上げて、青い空に泣く。

 見上げる空は暫くするとまた色褪せて行く……。


 この繰り返しだ、何度も。


 何度も。


 何度も何度も。


 何度も何度も何度も。


 何度も何度も何度も何度も何度も何度も。


 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。


 何度目かわからない止めを刺した時、崩れていく相手が私の肩を掴んで起き上がる。相手の口が耳元に寄せられた。


「カヨ」


 ハッと目を覚ました。飛び起きる。


「カヨ?」

「は、は、はーはー」


 乱れた呼吸と耳にまで響く鼓動。割れるような頭痛のせいで頭を抱えた。ぎゅっと力を込めて目を閉じる。瞼の裏にはさっきの光景がチカチカと移っていく。


「大丈夫か?」


 背中の方から聞こえる掠れた声。

 ここは?まだ夢の中だろうか?


「どうした?頭痛いのか?」


 心配そうな言葉と優しい声。さっきとは違うノイズの無い声。

 背中をさする手の温もりが、やっと夢から覚めたんだとゆっくり教えてくれる。


 徐々に呼吸が整って、頭痛も治っていく。ゆっくり閉じていた目を開くと……アオツキが正面にいた。少し離れた壁にダラシなくもたれた状態で、私の事を興味無さそうな目で見つめると、ついと視線を逸らした。


「なんや変な夢でも見たんか」

「ア……ツキ」


 私の枯れた小さな声でも一応相手に届いたらしい。視線が元に戻される。


「なんや?」

「…………」


 何も言葉が出てこなかった。

 そもそも何で私はアオツキを呼んだんだろう。

 その沈黙をどう受け取ったのか、アオツキは視線を逸らしながら無表情で口を開く。


「俺のせいとちゃうで」


 ヒヤッとした響きの声で、少し身震いした。

 確かにアオツキのせいじゃない。アオツキは特に何もしてない。てか、責めるつもりで呼んだつもりはない。


「…………うん」


 私の肯定にアオツキは凄く嫌そうな顔してそっぽを向く。


「カヨ?大丈夫か?」


 カホが背中をさすってくれながら覗き込んでくる。私は大きく深呼吸を1つして笑ってみせた。


「うん、大丈夫」

「そっか。ずっとうなされてるみたいだったけどよ……て、お、ん?カヨ?」


 夢だったことにホッとした。

 人間は心が緩むといけないみたいだ。私はどうしようもない衝動のままにカホに抱きついた。

 悪夢の全部がなかったことになる様に、忘れ去れるように、カホを抱きしめる。


「く、苦し……」


 カホが潰されそうな声で抗議する。

 でも私は身体の震えが止まるまでずっと抱きしめ続けた。


 悟ってしまった。

 この世界でいつか、私は人を殺すんだ。

カホ視点入れたいんですけど、まだ早い感があるのでもうちょい主人公が続きます。

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