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私の旅立ち
ここはかつて彼が愛した街、エテルノハウラ。
今も彼はこの街での楽しかった思い出を覚えているのだろうか。
三年前の忌々しい運命の日、私たちは街を守ろうとしていた彼を見捨ててしまった。
私の幼馴染でおせっかいで正義感に溢れていた優しい青年、クリスのことを…。
瞳を閉じれば、彼との思い出が溢れてきて、胸がぎゅっと締め付けられる。
この三年間、彼を忘れたことなんて一度たりともなかった。
彼への罪悪感と彼を救いたいという気持ちのおかげで、師匠たちの修行がどんなにきつくても耐えることができたし、魔法学校の成績もずっとトップを取りつづけることができた。
今では私の魔法は、彼が目指していた魔装師の領域まで達することができた。
彼がこの街を去ってちょうど三年目。私は街の入口に立っている。
門の向こうには、広大な大地がどこまでも続いていた。
優しく吹き抜ける風を肌に感じながら、私はもう一度ゆっくりと瞳を閉じた。
旅立つ前にもう一度思い出そうではないか。
私の最愛の人の旅立ちまでの物語を――。