Wau×2 ですよねー
迷子の子供達だったのだろう、目の前の公園から泣きながら「お母さん」と泣きながら出てきた子供がいた。信号は赤だ……
偶々都合悪く其処に走ってきたスポーツカー、道幅の狭いこんな場所で時速60km以上の速度で突っ込んでくる車の運転手は携帯で通話をしていやがった。何も考えず飛び込んだのは反射神経の賜物だろうな。
いや無鉄砲と云ってもらっていい、自分が助かる算段まで立てずに反射的に動いたのだから。
そして自分が救えるのが一人だけだと思ったらリックの奴、俺と同じように飛び込んできやがった。兄弟のように暮らしてきた相棒はこんな所まで似てしまったらしい。
何もここまで似なくてもいいんじゃねえ?
「リック」
「ワフ」
多分道路脇の植木に突き飛ばした子達は生きてるみたいだがな。泣き声が聞こえるんだから間違いないだろう。それにしても不思議だな、俺は確かに避けれなかった車に轢かれた筈なんだけど。なんかリックお前透けてないか?
あれ? あそこで倒れてるのって俺……
あーこれは確実に死んだのか。幽霊ってやつだな。
さて、皆に迷惑かけそうだなあ。泣かれそうだ。ここで神様登場ババーンとかないかね、生き返るには善行を積むべしとか、悪霊を倒すべしとか。そういうストーリー展開は無いですか?
なにせ幽霊になったなら神様も居そうだよな。なにこのラノベ展開とか期待したい。でもまあ仕方ないよね、車に轢かれたら死ぬ。それで幽霊になる。これは定番としてもだ、幾らなんでも蘇生は無理だわ。
『それがその、流石に生き返らせるのは難しいわ』
『ですよねー』
『ってことでサービス、サービスゥ』
『サービスを連呼するな、しかも男声で! ていうか誰なの!』
『神様!』
おいノリが軽いな!
チクセウ、せめて声が女声だったらサービス発言も許したけどな。