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「あっははははは、!それでなに?逃げて帰ってきたわけ?」
「わーらーいーごーとーじゃーなーいーっ!」
昨日の事を話したら春香は大笑いした。
酷くない!?はつほっぺチューが奪われて悲しんでる親友に対して!
この仕打ちはひどいんじゃありません!?
「いーじゃん別に。その人美形だったんでしょ?儲けもんだと思っておけばさあ。」
「そんなふうに思えないよ、!始めては好きな人がいいと思ってたのに…!」
およよよ、と泣き真似をする。そんな私の頭を春香はべしっと叩く。
相変わらずの暴力女だ。こんなこと本人に言ったらふるぼっこ……、なんでこっち見て笑ってんの見透かされてそうで怖いんですけど!
「まあとりあえず、そんな不審者とはもう会う事は無いと思うから、安心なんだけどね?」
そう、もうあの河原への近付かないし。
あんな人と会うのはこれが最後だろう。
「どうかねぇ。人の縁って妙なところがあるからねぇ、どうなるかは誰にもわからないよ?」
「不吉なこと言わないでよ、!もうあったら次はぼこぼこにしてやるんだから…!」
全く、!あんな変態にはもう二度と会いたくない。
「はいはい。じゃあ私はホームルームさぼるから行くね。」
「あー、りょーかい。いってら。」
教室から出ていくその背をひらひらと手を振りながら見送った。
あー、今日の一時間目ってなんだっけ…。
そんな事を考えてきたらばーん!と扉が開かれた。
うおう!ビビった、あ…!なんだなんだ、…春香?
バタバタと駆け寄ってくる彼女の表情はなんていうかこう、ぽわーんとしていて、乙女っぽい、っていうの?
「ねえ聞いて聞いて!」
「な、なになになに、どうしたの、!?」
ずずいと近寄ってくる春香の勢いに押されつつそう言った。
「この前外国語の先生が来るって言ったでしょう?」
「え?ああ、そんな話したようなしてなかったような…。」
あんま覚えてないや。
「もう、ばかね!でね、さっき廊下で見かけたんだけど、すっごく格好良かったの!」
………ああ、春香、君、面食いだったな。
「それは良かったね、」
「金髪碧眼でさあ。あれは外国人だよきっと、!」
そりゃ外国語担当なら外国人だろうな。
「あ、ほら、来た!」
振り返った先には、昨日の彼。
神様、私なんか悪いことしましたっけ?