第一章 1-1
ねぇ、
もしも、運命っていうものがあって、
赤い糸なんてものがあったら、
ぐちゃぐちゃに絡まっていても、その糸がどんなに細くても構わないから、
どうか私と貴方が、その糸で繋がっていますように。
赤い糸 アカイイト ―第一章―
これは、ちょっと天然で、でも優しい先生と、
ごくごく普通な私の織りなす、
甘くて切ない、恋の物語。
「ねえ、新任来るんだってさー、」
新作のポッキー、抹茶ってなかなかおいしいなぁ。
そんな事を考えていたら、春香がそんな事を言い出した。
「新任?」
「そうそう、外国語の。吉井先生居なくなっちゃったから。」
「げっ、外国語、?」
思わず嫌な声が出る。だって、英語から始まって外国語は全滅だもん。
私の平均点を著しく下げている憎き教科。いや、授業中寝ちゃってる私も悪いんだけどさ…。
ともかく、そんな教科の新任の先生が来るとなっては、私もあまりいい気はしない。
「うあー、嫌すぎる―。」
「ははっ、まあ確かに悠は外国語苦手だからね、」
「春香は良いなぁ、まんべんなく適当に出来て、。」
「努力のたまものよ、馬鹿。」
おでこをこつんとったかれる。全く、すぐ手が出る女の子はモテないぞ!
まあ、仕返しに一発たたき返してやって私も色気がないっちゃないんだけども。
その後すぐにお菓子の話になっちゃって、結局どんな先生が来るのかって話にはならなかったけど。
あー。どんな先生が来るんだろう…。
「じゃあね、春香」
「またあしたー。」
そう言って分かれ道で手を振って春香に挨拶をすれば、私は自分の家に帰宅するべく足を進めた。
私は今絶賛一人暮らし実行中だ。マンションに住んでいる。学校のある街の方は結構賑やかだけど、私の住んでいるマンションの近くは自然豊かで河とか流れていて、結構綺麗でいい感じ。
今日は何となく気が向いた方から川の方へ行ってみた。
ごつごつとした歩きにくい岩場を越えると、私のお気に入りの川に着いた。
でも、今日はそこに先客がいて。
振りかえった、彼は―――
天使みたいに、きらきらと輝く金髪を持った外国人。