天からの刺客:デルタ(第二十二話)
街は燃えている。
下級ジドバはまだ残っている。
遠くでサイレン。
空には黒煙。
アルファが嗤う。
「やっと面白くなってきた」
ベータが静かに解析。
「デルタ参戦により戦況は拮抗」
玲は膝をつく。
共鳴が止まらない。
頭の中に無数の声。
恐怖。
怒り。
絶望。
自分もジドバ。
守る側か、滅ぼす側か。
境界が崩れる。
こういちの声が聞こえる。
「玲!」
美月の声。
「お願い……戻って!」
守りたい。
全部。
人も。
友も。
街も。
――なら。
理性で抑えるんじゃない。
感情ごと抱えろ。
玲が立ち上がる。
装甲が軋む。
赤い紋様が爆発的に拡大。
だが黒くは染まらない。
赤が白へ変わる。
装甲再構築。
背部に巨大なエネルギー翼。
瞳が蒼炎に変わる。
空気が震える。
アルファが一歩下がる。
「……は?」
ベータ。
「出力急上昇。四天王基準値を超過」
デルタが静かに言う。
「New phase detected.」
玲の声が低く響く。
「俺は……守る」
激情態。
怒りを否定しない。
絶望を拒まない。
全感情を力へ昇華した姿。
アルファが叫ぶ。
「いいねぇ!」
全身を異形化。
戦闘狂の本性解放。
速度が跳ね上がる。
ベータも演算強化。
複数のエネルギー障壁展開。
デルタ、上空へ。
「Air superiority .」
一斉射撃。
ベータの障壁を削る。
アルファが玲へ突撃。
音速級。
だが。
玲、消える。
次の瞬間。
アルファの背後。
拳。
衝撃波がビルを貫く。
アルファが吹き飛ぶ。
「速っ……!」
ベータが解析不能。
「追跡不能速度」
玲の激情態は、
理性で制限しない分、
瞬間出力が桁違い。
アルファが立ち上がる。
笑う。
「最高だ!」
再突撃。
空中戦。
拳と刃が衝突。
衝撃が空を割る。
デルタが冷静に援護。
「Vector correction.」
デルタカリバー投擲。
玲が空中でキャッチ。
合体するように共鳴。
赤白の刃に変化。
ベータが焦る。
「想定外の共振現象」
アルファが咆哮。
「来い!」
玲。
「終わらせる」
デルタ。
「Synchronize.」
二人同時。
デルタの全砲門展開。
玲の激情エネルギー最大化。
光が街を包む。
アルファとベータを飲み込む。
轟音。
爆風。
静寂。
煙の中。
アルファ、膝をつく。
ベータ、装甲破損。
だが――
完全撃破ではない。
ベータが呟く。
「撤退優先」
アルファが悔しげに笑う。
「次は殺す」
二人、消える。
戦場に残るのは。
玲(激情態)とデルタ。
そして壊れた街。
玲の激情態が不安定に揺れる。
感情の暴流。
デルタが近づく。
「You exceeded limit.」
玲の呼吸が荒い。
「まだ……終わってない」
遠く。
ガンマがそれを見ている。
「面白い」
最終局面が近づいている。




