真実(第十九話)
夜。
人気のない屋上。
呼び出したのはガンマ。
玲、こういち、美月が揃う。
ガンマは感情のない目で言う。
「あなたの妹について、誤解がある」
こういちが睨む。
「何の話だ」
ガンマは空間に映像を映す。
妹の笑顔。
普通の高校生。
「彼女は元から因子保持者」
「ジドバ適合体」
こういちが固まる。
「……は?」
「本人は自覚なし」
次の映像。
藤原と妹。
距離が近い。
手を繋ぐ。
笑い合う。
美月の呼吸が止まる。
「交際関係」
ガンマが淡々と言う。
こういちの声が掠れる。
「嘘だ……」
「あなたは知らなかった」
残酷な一言。
映像が切り替わる。
スマホ画面。
藤原と別の女性のメッセージ。
浮気。
妹の顔が崩れる。
泣きながら問い詰める姿。
ガンマの声。
「強い精神的衝撃」
赤い紋様。
覚醒。
暴走。
街を破壊するジドバ。
こういちの呼吸が荒くなる。
「やめろ……」
だが映像は止まらない。
戦闘ログ。
討伐担当:玲。
美月がゆっくり振り向く。
「……玲?」
玲は目を逸らさない。
「俺だ」
短く。
それだけ。
こういちの世界が崩れる。
「お前が……?」
玲の声は低い。
「暴走していた」
「止められなかった」
「……倒した」
沈黙。
こういちの拳が震える。
だが殴らない。
代わりに聞く。
「藤原は?」
ガンマが答える。
「覚醒の直接原因」
「浮気」
「彼は知らなかった」
玲が目を細める。
「知らなかった?」
「彼女が因子保持者であることを」
つまり。
藤原はただ裏切った。
だがその裏切りが覚醒を引き起こした。
結果として、妹は怪物になった。
そして玲が倒した。
こういちの声が震える。
「俺は……兄なのに」
美月が涙をこぼす。
藤原の言葉が蘇る。
人間は裏切る
裏切ったのは、彼だった。
ガンマが最後に言う。
「事実は以上」
「壊れるかどうかは自由」
消える。
残された三人。
こういちは静かに言う。
「……玲」
玲が顔を上げる。
「俺は怒ってる」
正直。
「でも」
拳を握る。
「一番許せねぇのは藤原だ」
美月も震える声で言う。
「私も、聞かなきゃいけない」
逃げない。
玲は静かに言う。
「次は、俺も逃げない」
夜風が吹く。
次は――
藤原との真実対決。




