美月が選ぶ「未来」(第十五話)
天城研究所。
薄暗い室内。
モニターに映るのは、
玲(上級ジドバ)
藤原
両者の戦闘データ。
天城は静かに言う。
「感情が揃った」
助手が尋ねる。
「どちらを?」
天城は小さなケースを取り出す。
銀色のアダプタ。
中央に二つの接続端子。
「プサイ/カイ強化アダプタ」
説明する。
「どちらのシステムにも接続可能」
「だが、同時使用は不可」
助手が息を呑む。
「選択式……」
天城は笑う。
「観測だよ」
翌日。
公園。
美月は呼び出される。
目の前に天城。
「君に渡したいものがある」
差し出されるケース。
「これは?」
「彼らを強化する鍵だ」
開く。
銀のアダプタが光る。
「どちらか一方に接続すれば、出力は倍以上」
「……どちらか?」
「同時は不可能」
天城の目が細くなる。
「君が選べ」
静寂。
「なぜ私に?」
「彼らの中心にいるのは君だからだ」
残酷な事実。
「選んだ側が、守る力を得る」
美月の喉が渇く。
「選ばれなかった方は?」
「現状維持」
だが本当は違う。
精神的ダメージ。
選ばれなかった事実。
それが一番重い。
夜。
屋上。
美月はアダプタを握っている。
風が強い。
頭の中に声。
藤原の言葉。
「管理が必要だ」
玲の言葉。
「守る」
どちらも本気。
どちらも正しい部分がある。
だが。
二人は共存できない。
足音。
振り向く。
玲。
「それ、天城からか」
見抜く。
美月はうなずく。
「強化できるって」
玲は目を閉じる。
「藤原に渡せ」
即答。
美月が驚く。
「俺は上級だ。十分強い」
「でも!」
「強くなれば、あいつはもっと壊れる」
静かに言う。
本心。
自分より、藤原を心配している。
その優しさが、痛い。
その時。
別方向から声。
「迷っているのか?」
藤原。
ゆっくり近づく。
視線はアダプタに固定。
「それは必要だ」
迷いのない声。
「今のままでは制御できない」
黒いヒビが首元まで伸びている。
事実。
美月の手が震える。
藤原が一歩近づく。
「君が俺を選べば」
穏やかに言う。
「全て終わらせる」
玲が静かに言う。
「選ばなくていい」
藤原の目が鋭くなる。
「逃げるな」
空気が張り詰める。
美月の鼓動がうるさい。
選ばなければ、
二人は壊れる。
選べば、
どちらかが壊れる。
涙が溢れる。
「私は……」
手が上がる。
どちらへ――




