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異世界でも動画配信者  作者: ワクルス
レッツゴー異世界
3/13

仲間になってみた

太陽が沈み始め空がオレンジ色に染まる。

冷たい風が吹き花びらが頬をかすめる。

俺達の影が目の前の街の方へ伸びる。


ちょっと寒いな。


俺は手を擦り暖を取る。


俺達は門の前に立つ。


「身分証を」


門番の人はそう言って手を差し出す。

イスタはサッと冒険者証を出す。


身分証なんてないが?

元の世界の方でもなかったのに。


「あ、そうか。ユウヤ持ってないよね」

「イスタァ、助けてぇ」


俺はイスタに涙目で頼む。


「流石に仕方ないもんね。ちょいまちち」


イスタはそう言ってモンスターの死骸を入れるのとは別の巾着袋を取りだしそこからお金を出す。


「こういう時って何ビットでしたっけ?」

「1000ビットだ。お釣りはなしで頼む」

「はいはーい」


イスタはそう言って銀貨10枚を出す。


「はい、通ってよし」


門番の人がそう言うと門をドコドコと開ける。


町中は中世ヨーロッパといういかにもな町並みだ。

けど、街灯が火ではなく光で明かりが作られている。


文明レベルは高いんだな。


農作業を手伝ってるのか麦を運ぶのを手伝っている子供。

その子と楽しそうに会話をする父親。


そして、様々な格好をした冒険者達。

魔法使いはローブとデカイ帽子。

剣士は動きやすい服。

騎士は鎧を着ている。


魔力は体を固くしたりもできるらしいから鎧とか基本いらないんだろな。


少し進むとカチンカチンと武器を作ってるであろう音を出す鍛冶屋。

ベルを鳴らす教会もある。

町人の笑い声などで熱気があり先程までの寒さがなくなる。


ほんと、異世界だな。


「おい、獣人。お前順番抜かしたろ」

「抜かしてねぇよ。耳生えてるからって疑うな」

「言い訳だけは達者だなビビり野郎」


うわぁ、なんか喧嘩してる。

ほんと、異世界だなぁ。


辺りを見渡すと獣のような耳が生えた子供。

小柄で筋肉質な武器屋のおっちゃん。

賢そうな分厚い本を何冊も運んでる耳が長いお姉さんなどなど色々な人がいる。


獣人、ドワーフ、エルフって言ったところか。


そして、俺達は他よりも大きめの建物に向かう。

そこでは換金所らしき所と食堂が合体していた。


肉が焼けるいい匂いがしたと思ったらここだったのか。


食堂ではイカついお兄ちゃんや際どい格好したお姉さんがいて、ザ異世界って感じがする。


新しい世界に足を踏み入れるワクワク感があるな。

俺が動画撮影し始めた時も感じたようなワクワクだ。


「換金所はこっち」


イスタの言う方に行きイスタが換金する様子を見る。


丁寧な解体や状態よく殺せたことが報酬に加算されてるのか。


「銀貨23枚になります」

「やった。今日はご馳走だね」


イスタがお金を受け取り晩御飯のことについて考えていると俺もお腹が空いてくる。


「ごめん、イスタ。お金返すから晩御飯代くれないか?」

「最初にユウヤを襲ったイノシシが結構高く売れたし別に奢るよ」


女の子に奢ってもらったら現実世界では文句言われるけど異世界だし甘えるとするか。


俺はイスタにご飯を奢ってもらいパクパクと食べる。


「これください」

「あ、はい。以上っすねー」


猫耳の生えた子が注文をすると店員は明らか怪訝な目を向け注文を適当にとって厨房に戻る。


以上で、は確認に使う言葉だぞ。

フリーターだった俺にはわかる、どちゃクソ叱られる接客の仕方だ。


だが、誰もそれを気にする者はいなかった。


イスタも気にしてなさそうだ。

猫耳の子の表情もあまり変わってない。

ただどこか、寂しげだった。


うわ、なんか剣に向かって話し始めてるし。


「なぁ、イスタ。あの子なんか悪いことしたのか?」

「ん? あぁ言ってなかったね。勇者教がある話はしたよね?」

「うん」


イスタは少し話しづらそうにしながらも話し始める。


「昔、魔王を倒した勇者がいたんだよ。でも、その勇者パーティーに獣人がいなかったんだよね。勇者教的にビビり扱いされて差別されてる」


差別か。

異世界にもあるんだな。


差別なんてない方がいいに決まってるのに。


俺は深く考えずに目を逸らした。


てか、魔王倒されてるんだ。

そういうの倒すのって俺の役目だろ?


俺達が料理を頼むとすぐに運ばれてくる。


この、ハンバーグみたいなやつ上手いな。

もぐもぐもぐ。


「ねぇ、ユウヤ。ユウヤは明日からどうするの?」


イスタは少しソワソワしながら聞いてくる。


明日からか。


俺はうーんとうなりながら考える。


とりあえず、冒険者にでもなるか?

あ、でも旅ができたらいいんだし商人とかになって撮った動画とかを上手く使うのもありだな。


俺が考えているとイスタはマジマジと期待を込めた目で俺を見る。


「どしたんイスタ、話聞こか?」

「いやぁ、冒険者になるって言うなら誘っとこうかなって」


誘うって……あぁ、パーティーメンバー的なやつか。


そういえば、イスタってぼっちだよな。

なんでなんだろう。


「まぁ、仲間がいるに越したことはないし一緒にやろう」

「じゃあ、改めて」


イスタは立ち上がり俺を見る。


「私はイスタ。共に魔王を倒そう」


イスタはまっすぐと熱意のある目で俺を見る。


俺はその目に親近感のような物を感じる。


……え? 魔王?


俺がしばらく返事をしないでいるとイスタは恥ずかしいのか段々と顔が赤くなる。


さっき魔王は……いや待て。


魔王倒してみた……か。

バズるな。


「おっけー、殺ろう」

「え? いいの?」


撮れ高あるなら死んでも撮るのが動画配信者だ。


「まぁそんなことよりさ」

「そんなこと!? ユウヤってもしかして頭おかしい?」


失敬な、普通だ。

動画投稿が趣味な一般ピーポーだ。


イスタは驚きを残しつつ座る。


「そんなことより、魔王って倒されたんじゃなかったのか? さっきの発言と矛盾しまくってるぞ」

「魔王って言っても魔族の王って意味だからね。一応アイツら知性あるし、統治者いるでしょ」


なるほど。


魔王に関して聞きたいことは山ほどあるが今はいったんいいか。


とりあえず、これからしないといけないのは冒険者登録だな。

あとはこの世界の文字だ。

イスタいわく、文字が読めなくても大事にはならないらしいが読めないと色々不便だろう。


「そういえば、魔法とかってあるのか?」

「え? あるよ? あ、もしかしてそっちの世界にはなかった感じ?」


やっぱり、魔法があるのか。

なら、魔法について書かれた魔導書らしきものがあるはずだ。

さっき掲示板で普通に紙っぽいの使ってたし。

この場合、文字が読めないと話にならない。


「あ、冒険者になるなら冒険者試験を受ける必要があるね」


試験かぁ。いきなり詰みかも。


「試験内容は簡単だよ。特徴的な薬草の必要最低限の暗記、死んだふりの練習、魔力のある程度の使い方の確認」


死んだふりとかいんの?


「てか、鬼教官との戦闘試験は?」

「なにそれ? 冒険者一生経っても増えなくなるじゃん」


でも、大半のラノベにはあったぞ。


「あと1週間だから頑張ればいけるよ」


やるしかないんだからやるしかないか。

動画投稿を素早くし始めるためにも。


俺は冒険者になるために死ぬ気で努力をする決意をする。





夜がふけて俺達は宿に行く。

イスタは宿主に話しかける。


「すいません。ツインベッドの部屋を借りるか2個部屋を借りるならどっちが安いですか?」

「ツインベッドだね」

「じゃあそっちで」

「850ビットだよ」


イスタは巾着袋から銀貨8枚と50と書かれた紙幣を1枚だす。


「はい、丁度。ごゆっくり」


鍵を渡され、俺達はその鍵に書かれてある部屋に向かう。


紙幣あるのか。

街灯の時もそうだが魔法の影響か文明レベル自体は高いな。


「お、ここだね」


イスタはドアを開ける。


中は汚いと言えば嘘になるが綺麗と言えばこれまた嘘になるような部屋だ。

例えるなら、ボロボロの家を掃除しただけだから虫とか普通に入れる感じ。


イスタは部屋の中に入って荷物を置く。


……って同じ部屋で寝るのか。


俺の胸はドキドキと高鳴る。

俺は床がきしむのを気にならなくなるほど考えをめぐらせる。


女の子と同室か。

ベッドが違うとは言え女の子と一緒の部屋で寝るんだ、緊張する。


「あ、ユウヤ着替えないでしょ? 下で売ってるから買ってきて。その間、私は寝巻きに着替えとくから」

「あ、うん」


俺はイスタにお金を渡される。


……熱愛報道とかの危険性がないとはいえ色々緊張するなぁ。

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