ゴブリンハザード止めてみた2
俺はたくさんの人魂をこの辺一帯に張り巡らせ、自身の周りにスクリーンを大量に出す。
ざっと見た感じイスタはまだバレてないみたいだ。
「ユウヤ、お前えぐいな。そんな見てて頭おかしくならん?」
「まぁな」
投資やってみたを撮る時に形から入るためにモニターをたくさん買ってそれを見ながらやってたからな。
結果は散々だったし再生数も上がらなかったけど。
イスタはエンペラーを襲える位置に着く。
「ミュール、ここからエンペラーまでってどれぐらいかかる?」
「一瞬。ビューっていける」
「分かった。もしもの時は頼む」
「ん」
まぁ、大丈夫だとは思うけど。
俺も念の為に魔導書のスクリーンを出そう。
イスタは剣を構えるとエンペラーの肩に静かに飛び乗り目に剣を突き刺そうとする。
だが、エンペラーがまぶたを閉るとその刃は通じず、イスタのいる肩に向かってこん棒を振る。
イスタはすぐさま地面に降り立つもたくさんのゴブリンに目を向けられる。
最悪な予想通りって感じ。
ミュールはそれを見てすぐに飛び出す。
ドォン!
ミュールが蹴った地面は小さなクレーターができものすごい強風が起こる。
エンペラーの方にまで飛んでいったミュールはエンペラーがイスタに向かってこん棒を振ろうとした所をケンケンで受け止める。
クイーンはそこらのゴブリンの腕を掴みミュールに投げつける。
「神よ、大地の力を我に与え、目の前の神敵を立ち塞がらせよ」
俺は地面に手を着きミュールの横に土の壁を生やす。
土壁は投げつけられたゴブリンからミュールを守る。
イスタは体勢を整え直しミュールと共に剣を構える。
ゴブリンは統制の取れた動きでイスタ達に向かって最短距離で向かう。
俺は地面に手を着きさらに土壁を生やす。
土壁でゴブリンの進行を防いでミュールとイスタがエンペラーとの戦いに集中できるようにしないと。
俺はさらに土壁を生やす。
少しすると、一見すると迷路のように土壁が生えていた。
俺もあっちに行かないとな。
俺は魔力で体を強化し早めに走る。
ミュールはエンペラーがこん棒を振り下ろしても片手で受け止めてケンケンで切りかかる。
「イスタ、どうだった?」
「固い。魔力で強化された鉄みたいにとにかく固い」
なんとなくめちゃくちゃ硬そう。
「ミュール、あんまり強く振るとケンケン壊れるよ」
「え?」
ミュールは言ったそばからケンケンをポキッと折る。
「「ケンケーン!」」
お前のことは絶対に忘れない。
「アーメン」
「勝手に殺すなや」
俺がお祈りをしてたらケンケンは普通に喋り出す。
そして、ケンケンの剣先がニョキっと生えてくる。
ほんと、コイツらって俺の脳みそ情報過多にしてくるよな。
「ワイには核があるから平気や」
ミュールはまたエンペラーに思いっきり切りかかりケンケンを折るが剣先がニョキっと生える。
「何回も折っていいって訳とちゃうけどな!」
「なぁんだ、そういう感じか。焦ったぁ」
「ほんとにな、ちゃんとそういうのは言えよ」
報連相は社会人の基本だぞ。
フリーターの俺でも知ってる。
なんで核があると大丈夫なのかは後でイスタに聞こう。
「ケンケンが大丈夫ならミュールとユウヤはエンペラーをお願い。私、クイーンと戦う」
イスタはエンペラーの攻撃を捌き続けながら言う。
「いや、2人はエンペラーと戦ってくれ」
俺は大量のスクリーンを見る。
さっき、土の壁で隔てたクイーンが他のゴブリン達のところに行って軍団の指揮をとってやがる。
こいつら、意外と知能があるのか。
「足止めするから少しの間だけ2人でそいつの相手をしてくれ」
「分かった」
「ユウヤ、無理しないでね」
俺は2人を後にし土の壁の上に登る。
俺はスクリーンに書かれているものを見て口を開く。
「神よ、大海のこどき波の全てを凍らせたまえ」
俺の体の中が冷たくなるのを感じる。
俺は魔力をゴブリン達に向かって一生懸命放出する。
水がシャワーのように俺の体から出たと思ったら地面に氷を貼り、ゴブリン達の足を奪う。
魔力めちゃくちゃ持っていかれたな。
完全に初心者冒険者にやらせる敵じゃない。
まぁ、一旦はこれでいい。
すぐにイスタ達の援護だ。
俺が振り返るとイスタ達はエンペラーと互角の勝負をしていたが攻撃が効かない。
「ちょっ、ミュール、もう少し狙う場所考えーや。ほんま、無限に再生できる訳とちゃうんやぞ」
「難しい」
「難しくてもやらんかい」
ドゴーンドゴーン。
エンペラーのこん棒が地面に当たる度に地面が少しへこむ。
ミシミシミシドカーン。
エンペラーがこん棒を振る度に周りの木々が倒れ落ちる。
「神化……いや、魔剣化でも出来たらな」
イスタそうボソッと呟く。
弱音に近しいその言葉に俺も共感する。
でも、出来ないものは出来ない。
今あるものでなんとかするしかない。
「お肉ー!」
ミュールは目をキラキラ輝かせて切りかかる。
エンペラーはミュールのその攻撃をこん棒で受止める。
こんな時でも食べ物のこと考えやがって。
……待てよ?
外の攻撃には強くても内側の攻撃には弱いんじゃね?
食べ物とかでも外カリ中フワってのが元の世界ではあったし。
めちゃくちゃ憶測だし、相手はまだ調理されてないモンスターだけど。
「ヴぉおぉぉぉぉ!」
エンペラーは突如として雄叫びを上げるとこん棒に緑色のオーラーがまとう。
なんだあれ。
緑色のオーラは辺り一体の光を食らい不気味に光り輝く。
魔法とは違う何かとしか分からないけど、体の芯からこれは危険だと頭にぶち込まれる。
「下がって!」
イスタが叫ぶとエンペラーのこん棒にまとったオーラはこん棒が巨大になったかのような形になり、エンペラーはそれを思いっきり振り下ろす。
こん棒が地面と接触すると皆一瞬息を飲む。
ドゴォォーン!
体に響く重低音が森の中で鳴り響く。
すると、地面がグラグラと揺れ始める。
こいつ、地震まで起こせるのかよ。
地面は割れ地中からトゲがビシンビシンと出てくる。
俺達はすぐさま木の上に飛び乗る。
近くの木々からは木の葉が舞い散り辺り一体を覆い尽くす。
「この上に入れば安心」
ミュールはそう言ってフゥと一息つく。
なんか、フラグくさい。
ミキミキミキ。
俺達が登った木がグラグラと揺れボキッと折れる。
「あ」
俺は涙目になりながら地面に向かって落ちる木にしがみつく。
「ちょっと、ユウヤ。そうしてちゃ危ないよ」
ミュールはそう言って俺を持って同じく地震で折れていく木を足場にしてまだ立っている木へ向かう。
イスタもついてくる。
「死んだかと思った」
俺はブルブル震えながら少し離れた位置で辺りを見回す。
氷が粉々になり足が取られなくなったからか素早く前進するゴブリン達の姿があった。
「なんやアイツ、バケモンやんけ」
エンペラーの汗ばんだ体から発せられる獣臭が気にならなくなるぐらい、俺は心臓はバクバクと鳴り呼吸が乱れる。
しかも、せっかく足止めしてたゴブリン達があわあわあわあわあわ……
俺は涙目になりながら慌てふためく。
「落ち着いてユウヤ。死んだふりを思い出して」
イスタはまっすぐと真剣な目で俺を見る。
俺はその声で呼吸がもとに戻る。
心拍数が下がる。
「イスタ、トゲ切った方がいい?」
「ミュールの足場に出来ると思うし切らなくていいんじゃない?」
「分かった。とりあえず、アイツ切る」
ミュールは先の地震攻撃を見てももろともせずに立ち向かう。
イスタもミュールが作った隙にすかさず切り込む。
皆、頑張ってるんだ。
俺も頑張らないと。
とりあえず、もう1回氷を貼りなおそう。
壁も大きいのを何個か作って。
俺はさっさと氷貼りや壁作り終わらせ、もう一度現状を把握する。
エンペラー有利のこの状況なら中身フワフワかも作戦で弱点を探るしかないな。
ミュールでもダメージ入れれてないようだし。
だが、中に攻撃すると言ったものの実際どうするか。
中に攻撃するとは、具体的にどこから攻撃する事なんだ?
その肝心の攻撃方法は?
それに至るまでの過程は……
俺はニヤッと微笑みエンペラーを見る。
……いい事思いついた。




