第九話:ヴォイドと科学の目覚め
「転生したら時間を持て余せるようになった件」
第9話:ヴォイドと科学の目覚め
ギルドの朝はいつもと変わらなかった。
剣を研ぐ音や魔法の詠唱が食堂の隅々まで響いている。
朝食のパンとスープの香りが鼻をくすぐる。
「修也、今日はどうする?」
セレスティアが隣に腰を下ろす。
レオンは剣を磨いている。
ノアは隅の席で無言でスープをすすっている。
「まあ……訓練でもするか。」
「余裕ね。」
「……あまり無茶はするなよ。」
ノアが目を細める。
その時だった――
「おい! ヴォイドが捕まったぞ!!」
ギルド内がざわめきに包まれた。
「ヴォイド?」
セレスティアが無表情でつぶやく。
「"魔法が使えない"者よ。」
「それが……罪になるのか?」
「当然だ。魔法が使えない人間は"無価値"だから。」
「……ふざけるな。」
俺は立ち上がった。
「おい!!」
街の広場に出ると――
そこには10歳くらいの少年が鎖に繋がれていた。
ボロボロの服を着た少年は怯えた表情で震えていた。
「これは……やりすぎだろ。」
「黙れ!」
処刑人が炎の魔法を構える。
「やめろ!!」
「修也!!」
俺は反射的に走った。
「――時空操作!!」
時空が加速する。
炎の弾丸がスローモーションになった――
その間に少年の前に立つ。
「……あぶねぇ!!」
「邪魔をするな!!」
処刑人が再び魔法を放とうとしたその時――
「時空停止!!」
時間が止まり、処刑人が動きを止める。
俺は少年を抱きかかえる。
「大丈夫か?」
「……助けてくれて……ありがとう……」
◆ クロノスとの対話
「この世界は"魔法"に依存しすぎている。」
クロノスの声が響いた。
「……どういうことだ?」
「この世界の力の根源は"魔素"。しかし、それが"全て"ではない。」
「じゃあ……他に何がある?」
「……わからない。」
「わからない?」
「私の知識は"時空"に関するものだけ。
"別世界"のことは私には理解できない。」
「……でも、俺は知っている。」
「……どういう意味だ?」
「俺がいた"地球"には"魔法"じゃなくて"科学"があった。」
「"科学"?」
「火を起こす。電気を作る。機械を動かす。
それは"魔法"ではなく"法則"に基づいていた。」
「それを……再現できるのか?」
「わからない。でも……試してみる。」
◆ 修也の科学実験
「……火薬を作るには……」
俺はギルド裏の倉庫にこもって、材料を集めた。
木炭
硫黄
硝石
「これを混ぜて……」
(うまくいくか?)
「……火打石で……」
パチッ――
ドン!!
「うわっ!!」
煙が舞い上がり、俺は尻餅をついた。
「うまくいかない……」
「……大丈夫?」
フィオナが駆け寄ってきた。
「いや、全然ダメだ。」
「でも、少しだけ成功してたよ!」
「……そうか?」
「魔法じゃないのに火がついたんだから、すごいよ!」
「……確かに。」
◆ ヴォイドの少年の言葉
「ありがとう……助けてくれて……」
「魔法が使えなくても……生きていける。」
「でも……どうやって?」
「"科学"だ。」
「科学?」
「俺がその方法を探す。
だから、お前も絶望するな。」
「……うん!」
少年が笑った。
(……俺が、世界を変える)
◆ ギルドマスターからの特別依頼
「王都で"魔素異常"が発生している。」
「異常?」
「詳しくは現地で調査しろ。」
「……やってやる。」
セレスティアが微笑んだ。
「ついに"本番"ね。」
【続く】
TEPEN作
引用は許可取らなくてもタイトルと著者名を出してくれたら大丈夫です。
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