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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第88話 豊作?

「飯の時間だ。行くぞ」


イシュドの実家に到着してから二時間後、あれこれ感想を交わしている間にあっという間に時間が過ぎ、夕食の時間となった。


(……し、視線が突き刺さってきますわね)


(ん~~~……何を考えての視線なのかなんとなく解りますけど……)


(…………真剣に考えてみるべきでしょうか)


レグラ家の者たちが集まる食堂に到着するまでの間、すれ違う者たちは皆……ミシェラ、クリスティール、イブキに期待するような視線を向けていた。


「おい、お前ら。その三人は一応お客さんだ。あんま変な視線向けんでくれ」


「「「「「は、はい!!!」」」」」


怒ってはいない。

ただ呆れているだけではあるが、従者たちは彼女たちが公爵家や侯爵家の令嬢だという事を思い出し、早足で仕事へと戻って行く。


「ったく、何を期待してんだが」


照れ隠し、などではない。

イシュドは本当にそういった考えを持っておらず、意識すらしていない。


なので……従者たちがそういった事に期待するなとは言わない。

それは個人の自由ではあるが、そんな視線を向けられれば、三人が不快に感じると思っていた。


「っし、ここが食堂が。これから基本的に毎日飯はここで食うから、覚えてくれよ」


 中に入ると……既に大量の料理がテーブルに乗せられていた。


「やぁ、来てくれたか。イシュドの友人たち。さぁさぁ座って食べようじゃないか」


「し、失礼します!」


イシュドは友人……ガルフにとって、それは間違いない。


ただ、友人の父親が辺境伯の当主という、ガルフにとって天の上的存在であることに変わりはなく、再び緊張感が湧いてきた。


「ガルフ、変に緊張しなくて良いぜ。ほら、冷めないうちに食おうぜ」


「う、うん」


テーブルの上には大量の料理が乗っており……更に続々と追加の料理が運ばれてくる。


「噂で聞いたぞ、イシュド。激闘祭に参加するのではなく、特別試合と称して各学年の優勝者三人と戦ったそうだな」


「普通に参加したところでって思ったんで、そっちの方が良いかなって。俺が学園に入学した目的? みたいなのを考えれば、それが一番かと。それに、加減ありとはいえそれなりに楽しかったからですからね」


「はっはっは!!!! そうかそうか。加減ありとはいえお前が楽しめたのであれば、他の地域の未来も明るいと言えるな。そういえば……金髪を束ねた君は、確かアルバレシアの娘だったね」


「はい。クリスティール・アルバレシアと申します、レグラ辺境伯様」


「ふふ、そんな仰々しく呼ばないでくれ。ところで、あいつは元気か?」


「今でも訓練場で体を動かしていますか」


「そうかそうか……あいつにまだその気があるなら、勝負を受けてやるのもありか」


言葉、態度から滲み出る……上から目線。


クリスティールはそれに対し、何も思うところはなかった。


(イシュド君は、曾お爺さんは殺しても殺せない人だと言っていた。それは……この方も、同じなのでは?)


ある程度の視る眼は有しているクリスティール。

実際に手合わせなどせずとも、レグラの現当主であるアルバが自身の父親を見下ろすほどの実力を持っている事は直ぐに解っていた。


「それにしても、イシュドが友人を連れてくるとはなぁ」


「父さん、俺をなんだと思ってるんですか?」


「子供たちの方でも、社交性がある方だとは思っている。口が上手くて、問題事を問題事にしないように運べる。だからこそ、より自分に理不尽に絡んで来た者たちのプライドを粉々に砕くと。だから、学園で友人なんかできないと思ってた」


「ひっどいな……つっても、大半が面倒な連中だから、父さんがそう思うのも間違ってはないか」


「私としては、お前が女の友人を連れてきたことに一番驚いたよ」


当主アルバの妻であるヴァレリアの言葉に、イシュドは露骨に顔を歪める。


「母さん、それはもう良いって。もう騎士や従者たちから、視線で同じ様な事を言われ続けたから」


「はは、そうだったか。それはすまないね。けど、あんたはデリカシーってもんがないだろ。だから、学園に入学してもそういう出会いが一切ないと思ってたんだよ」


これまでに何人もの子供産んできた女傑、ヴァレリア。

既にアルバと共に歳は五十を越えているが……見た目的には三十代にしか見えない美貌と今尚……イシュド以上の実力を持つ女戦士。


並みの男であれば思わず後退る眼光を持っているが、子供たち……全員に幸せになって欲しいという思いがある。


人によって幸せの基準は様々ではあるが、家族を持つというのは一つの幸せだと、自分の体験から自身を持って語れる。


「うぐっ…………はぁ~~~。そうですか。つっても、友人? になった切っ掛けは、別に俺がどうこうしたわけじゃないですよ。そっちのデカパイ……ミシェラ・マクセランが俺に喧嘩を売ってきたことが始まりです」


「ちょ、ちょっと待ちなさい!!!!」


レグラ家のシェフたちが作った料理にこれまた衝撃を覚えていると、いきなり自分の話題になり……イシュドの言葉に引っ掛かかり、思わず食事の手を止めた。


「あれはあなたが原因ですわ!!!!」


「ば~~~~~か。ありゃお前が勝手に暴走しただけだろ。俺が会長パイセンと一緒に飯を食ったのは、あの…………忘れた。とりあえずあの輩二人が原因だ。二人の内、一人がガルフに対してバカなことしてなきゃ、そもそも俺が入学初日から戦うことはなかったんだよ」


「そ、それは……」


「んで、会長パイセンはあの輩二人が支払えない代償を支払っただけ。その後、お前が勝手に嫉妬して勝手に暴走して、んであっさり負けたんじゃねぇか」


「………………も、申し訳ありませんでしたわ」


フラベルト学園では、ある意味アンタッチャブルな存在であるクリスティール。


一般生徒が声を掛けてはならない……そんなどこぞのワ〇ソンの様な独自のルールなどはない。

しかし、共に食事を食べる……デートに誘うという行為を行った者は、彼女のファンたちから眼を付けられてもおかしくない。


「はっはっは!!!!! イシュドにそこまで噛みつく子がいるとはな。どうやら、爺さんの代と比べてイシュドの代は活きの良い子が多いみたいだな」


「……そうですね」


この場にいるイシュドが釣れてきたガルフたち……その他に、イシュドの頭にはとある学生が浮かんでいた。

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