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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第415話 面子の詳細

「あそこが、紅鱗の地の最寄り街、アルバンカだな」


イシュド一行は、その日のうちに目的の街に到着。


「……思っていたより、大きいね」


「未開拓地が最寄りにあるとなりゃあ、それだけそこから手に入る素材やら薬草とかでそれなりに潤ってるってことだろ」


イシュドの言葉通り、何かのイレギュラーが起これば地獄と化しそうな場所ではあるが……もうここ数十年、五十年以上は地獄に見舞われていない。


それもあって、アルバンカは中堅都市の中でも上位に位置するほどの大きさ、賑わいがあった。


「とりあえず宿を取るか」


時間が時間ということもあり、良さげな宿をササっと探し、今度は酒場で夕食を食べ始めた。


「イシュド。予定としては、明日から直ぐに向かうのですわよね」


「おぅ。大して疲れてねぇんだし、行けるだろ」


ミシェラたちは走って王都からアルバンカに移動して来たわけではなく、イシュドが有する改造魔法の絨毯に乗って移動したため、体力は非常に有り余っている。


「今回もまずはギルドに行くのかな」


「? ギルドとは、冒険者ギルドのことか? 何故、わざわざ冒険者ギルドに行くのだ、アドレアス」


「私たちはまだ情報を持っていないからね。ジャレスさんやリベヌさん、イシュドに全てを任せる訳にはいかないけど、それでもどういったモンスターが確認されているかを知るだけでも、その時の対応力が変わってくるよ」


「……そういうものか」


ディムナが上級生に頼らず依頼を受けられるようになったのはここ最近のことなので、特に意地を張らず……冒険者ギルドという組織を見下すことなく、ひとまずアドレアスたちの言う通りに従うことにした。


「そういうもんだな。場所が場所だからな~~~……普段なら強いモンスターなんて超ウェルカムだが、他のものまで同時に来られたらクソ面倒だしな」


イシュドとしては、一か月以上も前の話だが、ギガンテス希少種との戦いで……若干の不満感、不完全燃焼感が残っていた。

その為、なんならAランクモンスターと戦うのもありだが……自身で口にした通り、場所が場所なので今回はご遠慮願いたい。


「紅鱗の地ですと、ケルベロスというモンスターの存在がそこまで珍しくないみたいですわね」


「ケルベロスねぇ~~~。まっ、余裕があんならそれぐらいはお前らでやってみてもいいかもな」


「…………本当に言ってますの?」


「おぅ。頭が二つあるモンスターとの戦闘はどっかで経験しといた方が良いからな~~~」


相手の視野が広い。

それだけで戦い易さが大幅に変わる。


イシュド的には「望むところじゃねぇか!!!!」と熱く燃え上がるところだが、その差を知ってると知らないとでは戦いに影響がある事を理解していた。


「……それでしたら、是非とも戦っておきたいですわね」


流石に止めとけと言われると思っていたが、予想外の判断に……ミシェラは珍しく調査前日から闘志をバチバチに燃やしていた。


「「「ぶはっはっは!!!!!」」」


すると、イシュドたちから少し離れた場所で大きな笑い声が零れた。


「おいおい聞いたかよ」


「はぁ~~~、若いって良いね~~~」


「ば~~~か。ただ青臭ぇだけだろ」


「はっ!! それも確かにそうだな」


会話から察する通り、三人の男たち……身に付けている装備などから冒険者と解かる者たちはイシュドたちが話してた内容を小バカにしていた。


当然、ミシェラたちは自分たちが笑われているのだと直ぐに把握。


苛立ちが湧きつつも……今、自分たちは学園に来た依頼を受け、アルバンカに来ている。

加えて、一応全員がイシュドをメンバーの中でリーダーだと認めている。

そのためミシェラやディムナも……苛立ちは零れるが、下手に動くことはなかった。


「……こう見ると、滑稽だよな」


「何がですの?」


「名乗ってねぇから解らねぇのは当たり前っちゃ当たり前だけどよ、どの面子に向かってバカな発言してんだって思わね?」


イシュドは……これでも、辺境伯家の令息。

ダスティンは伯爵家の令息であり、ディムナとミシェラは侯爵家の令息と令嬢で……フィリップは公爵家の令息。


そして、アドレアスに関しては貴族を越えて王の子……王子である。


普通に考えれば、全員が現時点で令息や令嬢とはいえ、正体を知れば喧嘩を売ろうという気が微塵も起きない面子である。


「…………確かに、そうですわね」


微かに苛立ちは残っているものの、彼らは自分たちの立場を知らないからこそ煽るような発言が出来ている。

そう思うと、先程まで零れていた怒りの殆どが霧散した。


「……そういう捉え方も、また一興というものか」


多少改善されたとはいえ「これだからまともな教育を受けていないゴミは」と言いそうなディムナも、イシュドの考えに納得出来るところがあったのか……あっさりと苛立ちを引っ込めた。


「イシュド君にしては、平和的な考え? だね」


「いや、ふと今回の件で集まった面子を振り返ってみたらな……なんか、それはそれで面白ぇと思えてな」


ミシェラほどなるべく揉め事は起こさないようにと考えている訳ではないが、そうならなければ越したことはないと思っている。


仮に……自分たちを狙う者がアルバンカに居れば、彼らが利用され……紅鱗の地で殺り合うことになりかねない。


酒場内、ギルドの訓練場内だけで戦り合うのであればまだしも、他の場所で襲撃の要因となる存在はあまりつくりたくない。


ただ、イシュドたちは決して小声で喋っていたわけではなく、「あいつらってただイキってるだけのおバカさんだよな」的な会話をしていることは既に三人の耳にも入っていた。


冒険者として、世の中を嘗め腐ってるガキ共に嘗められたままでいられるない。

ガキと大人の差を思い知らせてやろうと席から立ち上がり、イシュドたちの元に詰め寄ろうとした瞬間、一つのフィンガースナップが酒場に鳴り響いた。


「「「っ!!!!」」」


次の瞬間には、先程までテーブルで夕食を食べていた筈のジャレスとリベヌが一瞬で彼らに詰め寄っていた。

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