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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第414話 覆る恐れ

「んじゃ、行くぞ~~~」


ジャレスとリベヌが王都に到着した翌日、イシュドたちは早速王都から旅立ち、紅鱗の地の最寄り街へと向かう。


例のごとく、移動手段は改造を施した魔法の絨毯である。


「いやぁ~~~、超速いっすね~~~」


「頑張って改造してもらったからな」


「本当に……見事な逸品ですね」


全速力で走れば二人の方が早いが、イシュドが所有する魔法の絨毯に乗って移動するのが初めてということもあり、二人はそれなりに盛り上がっていた。


「そういえばイシュド様。今回受けてる依頼って、討伐依頼じゃなくて調査なんですよね」


「あぁ。紅鱗の地に生息してるこういうモンスターを討伐してくれって依頼じゃねえ」


「それじゃあ、具体的には何を調査するんですか?」


当然のことながら、ジャレスはこれまで調査という仕事を行ったことが一度もない。

それはもう一人の護衛者、リベヌも同じだった。


「そこら辺は俺らに任せられてるから、普通に遭遇して戦ったモンスターの強さとか、どこら辺にどういった薬草が生えてたり、果実が生ってるとかだな」


「へぇ~~~。そうなると、俺らが戦うモンスターの強さとかも、後で感想で伝えたりした方が良いんですかね」


「あぁ~~~……そう、だな。そういうのもあった方が良いとは思うが…………」


悪くない提案である。

ガルフたちやイシュドだけではなく、他の者の意見を聞けるのも貴重ではあるが、彼らはまだレグラ家の領地から出たことがない。


その為、世間一般的な常識と彼らの常識はことなるため、あまり参考になる感想が出てくるとは思えなかった。


「大丈夫です、イシュド様。先日、校内を歩いてる際に、学生の平均値はある程度把握しました」


「そうか。んじゃ、大丈夫そうだな」


リベヌは適当にその場凌ぎをしようとしたわけではなく、特別訓練室に就くまですれ違った生徒たちを全員視ていた。


だからこそ、ガルフたちが学生の中では特別な存在であることも理解している。


「にしてもあれっすよね~~~。イシュド様たちにこんな依頼を出してきた人間て、よっぽど頭の中がお花畑な人間なんですかね」


「それに関しては、私も同じ意見ですね」


「どうだろうなぁ~~~……曾爺ちゃんが現役? だった頃は随分前だから……それを知ってる世代が正確な情報を伝えてなけりゃあ、噂だけの家だって今の世代が勘違いし続けててもおかしくねぇんじゃねぇの」


「その理屈は解ります。しかし、イシュド様が学園に入学し、フラベルト学園内だけではなく、大勢の前でその実力を見せつけたと聞いています。であれば、その勘違いも薄れると思いますが」


リベヌの考えは間違ってはいない。

イシュドはまだ高等部の一年でありながら、各学年のトップを三人纏めて相手にした状態であっても、圧倒してみせた。


だが、レグラ家の血筋を引く者たちがそうではないということもあり、彼女たちは権力に酔った者たちの思考を理解出来ていない。


「おそらく、一部の者たちはレグラ家の中でもイシュドが特に特筆した存在だと思っているんだろうね」


「……それは、間違ってはませんね」


アドレアスの回答に、リベヌは確かにその通りだと思った。

レグラ家の中でもイシュドは非常に特筆した存在であり、跳び抜けた実力を有している。


ただ……それを肯定するのがリベヌということもあり、フィリップたちは「あんたがそれを認めるのかよ」と、心の中でツッコんだ。


「だからこそ、今回の様な依頼をけしかけた……のかもしれないないね」


単純にイシュドたちの実力を見込んでという可能性もゼロではないが、アドレアスから見てもその可能性は低いと判断している。


(とはいえ、二十歳以下の戦闘職の中でもジャレスさんやリベヌさんといった紛れもない強者がいる。そして……イシュド君から聞いた話が正しければ、今回の依頼に護衛者と参加する為に激闘を繰り広げた前衛職や後衛職が多数存在する…………なんと言うか、あまりにも見通しが甘過ぎるとしか言えないかな)


自身が実態を知っているからこそ、そう思えることは解っているアドレアス。


それでも、ジャレスやリベヌといった二十歳以下でも間違いなく猛者認定される者が多く存在し……トップに君臨するのはあのイシュドが文字通り子ども扱いされてしまう亜神がいる。


とはいえ、彼らは侵略や征服に興味はない。


ただ狩っても狩っても減らない強大な戦闘力を持つモンスターたちと戦い続けることが生き甲斐。


「仮によ、明確にどっかの家か組織が喧嘩を売れば、ぶっちゃけ潰れるのは確定だよな~~~」


「だろうな。曲がりなりにもうちの実家に喧嘩を売るってんなら、それなりの戦力は揃ってそうだし、うちの騎士や魔術師たちは喜んで殺りにいくだろうな」


モンスターとの戦闘も血肉湧き踊るが、同じ人間との戦闘もアドレナリンドバドバもの。


とはいえ、レグラ家の狂戦士たちも常識まで筋肉ではないため、本気で殺るにしても死の三歩手前までぐらいしか戦えないことは理解している。


なので、身内同士で本気で殺し合うことは出来ない。

そんな彼らにとって、レグラ家とは全く関係無い組織との戦いは……その欲を満たしてくれる戦い。

ある意味、彼らにとって聖戦? とも言える。


「つっても、俺からすれば何を恐れてんだかって話だけどな。うちの親たちは権力なんざ興味ないっつーのに」


「…………一番恐れているのは、常識が覆ることかもしれないね」


「常識が覆る?」


「権力ではなく、純粋な戦闘力に多くの者が引き寄せられる…………うん、三人がそういう顔になるのも解るよ。ただ、こう……レグラ家以外だと、どうしても立場とか出生とかが色々と絡むからね」


そんなの当たり前だろ? といった顔を浮かべる三人。


アドレアスは三人が持つ常識を理解しているからこそ、否定することはなかったが、そっちはそっちのルールがあって、こっちにはこっちのルールがあるのだと説明。


「確かに困る連中はいるのかもしれねぇけど、それは単にそいつらが上手く政治? を出来てなかったツケを払うだけなんじゃねぇの」


核心突くイシュドの言葉に、アドレアスやミシェラたちは苦い顔をしながら頷くしかなかった。

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