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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第400話 どう思う

「「「「「…………」」」」」


特別訓練室でイシュドから依頼の内容を聞かされた一同は……完全に固まってしまっていた。


「い、イシュド……そいつはぁ……マジ、なのか?」


「マジだったよ。まっ、提案程度だから、絶対じゃねぇ。別に断ることも出来るとは思うが、ってところだな」


紅鱗の地……それは、この世界の子供たちにとっては、イシュドの前世で言うところの鬼ヶ島に似ている。


まだフィリップやミシェラほど知識がないガルフであっても……異国の地から来たイブキであっても、その地の恐ろしさは耳にしていた。


「俺をぶっ殺したいのか、ガルフに恨みでもあるのか……それとも、真面目に俺ぐらいの実力者がいれば、学生たちでも探索出来るのか知りてぇのか。依頼して来た理由はそこら辺だろうな」


「前者二つが濃厚な気が済んな。第一、後者の理由で依頼したとしても、それって意味あるのか?」


「あるんじゃねぇの。早めに本物の……レベルが明らかに違う空気の戦場を知っていれば、いざ本番と向き合わなければならない時に、イレギュラーと遭遇したりしても冷静さを保てるようになる……かもしれねぇじゃん」


完全に憶測でしかないものの、一応それらしい理由と思えなくはない。


「……普通に考えれば、私たちだけではなく、ディムナやダスティンさんも参加するとなれば、事故に見せかけてと考えるのは難しいと解かる筈ですが」


「直接人は動かせなくても、何かしらのマジックアイテムを使って超強ぇモンスターをけしかけてくるかもしれねぇじゃん」


「そうなれば、イシュドやガルフ以外の者も死ぬ可能性があるでしょう。もし、紐解かれた場合、困るのはそれを計画した者ですわ」


ミシェラの言う事も、一理ある。

だが……以前、本当にガルフたちの……ガルフの実力は正しく評価されているのかという名目でミノタウロスを討伐しなければならない状況と比べても、裏で誰かが

動こうと……狙おうとしているとしか言われても、致し方なさ過ぎる。


「……んで、イシュドはどうするんだ」


「保留にしてる。つーか、さすがに場所が場所だから、お前らにどうするかって聞こうと思ってな」


イシュドは……今のところ、ガルフたちのリーダーといったポジションではある。

ただ、異常な狂戦士である彼は、決して独裁者になろうとはしない。


なので、フィリップたちが反対したとしても、自分の意見を振りかざすことはない。


「俺は反対だぜ」


「だろうな。つか、それが普通の判断だ」


フィリップは、なんだかんだ友人であるイシュドとガルフが危ない地に行くのであれば、やれやれと言いながら付いて行くタイプではあるが、今回は色々と訳が違う。


レグラ家が治める領地にも驚かされたが、あそこには脅威となる存在がモンスターしかいない。

だが、紅鱗の地に関しては自分たちに襲い掛かる敵はモンスターだけではない。


「……………………私は、その依頼を受けても構いませんわ」


「……………ミシェラ、やっぱりここ最近栄養が全部胸にいってんのか?」


「ぶった斬りますわよ、フィリップ」


普段通り、ふざけたことをぬかすフィリップにぶった斬るぞと伝えるも、ミシェラの表情はいたって冷静さを保っていた。


「いやいや、じゃあ本当に依頼の内容を解ってんのか? 紅鱗の地だぞ、紅鱗の地。俺はまだ、どっかのダンジョンの……ニ十階層ぐらいまで探索して来いって方が、まだ甘く感じるぞ」


狙われるリスクというものを考えるなら、決してあるダンジョンのニ十階層まで探索するというのは、決して温い依頼ではない。


だが、多くの者がその考えに賛同するのも違ない。


「ですが、今すぐにでもクリスティールお姉様に追い付くのであれば、紅鱗の地と言えど、調査ぐらいは出来ない無理な話ですわ」


「いや、お前なぁ……それは…………」


「フィリップ。依頼の内容は紅鱗の地に生息するBランクモンスター、もしくはAランクモンスターを討伐してこいといった内容のものではなく、調査なのですのよ」


討伐ではなく調査なのだから……という理屈も解らなくはない。

ただ、「けど、結局モンスターと戦うことにはなるだろ!!!」とツッコミたいフィリップの気持ちも間違ってはいない。


「つってもな~~~~。そもそもよ、クリスティールパイセンは俺らの二つ上なんだし、隣に立つことを目指すにしても、焦ってバカする必要はねぇだろ」


「バカな行動……ではないと証明してこそ、一種の成長したという証明になりますわ」


「はぁ~~~~~~~、たく……イブキはどうだ」


「ふむ、そうですね………………………………フィリップさん以外の方々が、その

依頼を受けたいと仰るのであれば、私は構いません」


賛成派が多ければ、その意見に従う。

とはいえ、イブキはイブキで今回提案された依頼に思うところはあった。


「ですが、いささか今回の依頼に関しては、理不尽さを感じます。断ったとしても、全くもって逃げではなく、臆した訳でもない……ただただ、冷静な判断を下しただけだと、私は思います」


イブキの考えに、今回の依頼を受けることに賛成派であるミシェラは、特に反論したり苦言を呈することはなかった。


クリスティールの横に並び立つためとはいえ、それがどれほど危険なのか理解していない訳ではない。


「……そういえば、さっきから黙りこくってるけど、王子様はどう思ってんだ?」


どう思っているのかと、イシュドから尋ねられたアドレアスは……直ぐには口を開かなかった。


正確には、直ぐに考えを纏めて口を開けるほど、簡単な内容ではないからこそ、口が開けずに悩み続けていた。


だが、話を進めるために自分の考えを纏めなければならない。


たった十数秒ではあれど、アドレアスは胸の内で何度も自問自答を繰り返した。

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