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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第393話 負けたくない

「苦労をかけたようだね」


「別に良いっすよ。つか、それ相応の依頼を受けたんで、苦労しない方がおかしいって感じじゃないっすか」


聖都に戻って来てかあ、イシュドはその日の夜にアンジェーロ学園の学園長であるロブストに呼び出され、美味な夕食をご馳走されていた。


「しかし、本当に要望はさきほど話内容で良いのかい」


「俺からの要望はあれで良いっすよ」


結果として、イシュドたちは邪剣をロブスト経由でカラティール神聖国に渡すことにした。

だが、その対価としてイシュドからの要望と、フラベルト学園からの要望を受け入れてもらう形となった。


ロブストとしては、学生だけでは手に負えないイレギュラーをイシュドに対処してもらい、エリヴェラたちも今回の戦いで確実に成長したため、何が何でもイシュドとフラベルト学園側からの要求を受け入れるつもりだった。


ただ……イシュドからの要求が、ロブストとしてはあまりにも拍子抜けな内容だった。


「そんなに信じられないなら、もし………俺との約束を守れなかったら、俺がアンジェーロ学園に殴り込みでもしましょうか」


当然ながら、イシュドがその様な事を行うとなれば……付いて行こう、自分も一緒に暴れようとする者が現れ、アンジェーロ学園は大量のバーサーカーを相手しなければならなくなる。


「………………肝に銘じておこう」


イシュドとしては半分は本気だが、もう半分は冗談で言ったつもりだったが……ロブストは本気でそうしてもらって構わないと受け入れた。


「そうっすか……まっ、期待させてもらうっすよ」


こうして楽しい? 食事会は終了。

帰り道で襲撃される様なことはなく、イシュドは無事宿に帰還。

ロブストも良からぬ輩に襲われることはなく自宅に戻った。


「ふぅーーーーーーーーー…………言わぬが、正解だったのだろうな」


見るからに高級な椅子に腰を下ろし、ロブストはイシュドとの夕食の際……あることを言わなかった自分を少し褒めた。


(是非ともまた合同訓練にと誘いたかったが……それだけでマイナスの印象を与えてしまっては敵わん……だが)


イシュドという学生の枠を越えた存在と出会ったことで、間違いなくエリヴェラたちは成長した。


既にクルトから諸々の報告は受けており、エリヴェラやステラたちの成長も嬉しいが、ロブストとしてはヨセフたちの変化が非常に好ましかった。

劇的な成長こそしていないものの、それでも意識の変化……視野の拡張。

ヨセフとローザ、パオロたちは良い意味で殻を破ることが出来た。


殻を破るというのは、優れた指導者であるからといって必ず出来ることではない。


ロブストは長年の教師経験から、世間一般的な意味で優れた教師よりも、イシュドの様な回転が早い頭や柔軟な思考を持ちながら、不遜や傲慢とも取れる態度と確かな実力を持っている者の方が、上手くその方向に導く傾向にあると考えている。


だからこそ、イシュドに対して留学を勧めるとまではいかずとも、また交流会を行ってほしい。

学園同士の交流というだけではなく、裏でイシュドに依頼料として大金や高品質のマジックアイテムを渡しても良かった。


「……いや、そうだな……しかし………………むぅ……」


とはいえ、ロブストは教師経験を経て学園長に至った男。

自身の考えの落とし穴に気付かない程、愚かな男ではない。


(そうだな……ヨセフ君たちは、見事耐えて己の力にすることが出来た。しかし、他の子たちは………………眼を、背けてしまうか)


ヨセフはイシュドやミシェラに敗れ、ローザも遠距離合戦で近距離タイプのフィリップにしてやられた。

パオロもレブトとの勝負は引き分けという形に終わってしまったが……それでも、彼らは各学年の中でもトップクラスで優秀な生徒だからこそ、交流会に参加することが出来た。


実力的な強さだけが全てではないが、そもそもな話としてイシュドの理不尽なまでの強さや思考を受け止められる者は多くない。


「……ふふ。まさに劇薬、か………………だが、これからも良き関係でい続けられれば、幸いだ」


自身や学園は関係無く、エリヴェラたちにとって……イシュドたちは良き友人たちであり続けてほしい。


それが教師としての……ロブストの願いだった。







「イシュド、君と出会えて本当に良かったよ」


聖都に戻った翌日、イシュド達は直ぐバトレア王国に戻るため、エリヴェラたちは疲れた体に鞭を打って朝早くに起きていた。


「君はあまり恩とか気にしないと思うけど、私はいつか返させてもらうよ」


「律儀だね~~~~。マジで気にしなくて良いってのに」


「ふふ……君が満足出来るぐらい強くなって、再度挑ませてもらう」


「……はっはっは!!!!!! なるほどな~~~~、良いじゃねぇかぁ……そういう恩なら、是非とも返してもらおうか」


イシュドの性格を良く解っているエリヴェラは、既に彼が望む恩返しの方法を考えていた。


そしてイシュドと別れの握手を済ませると、今度はガルフの方に顔を向けた。


「ガルフ君……負けないよ」


「っ、はい!!!!! 僕も、負けません!!!!!!」


現時点で、職業の質であればエリヴェラの方が勝っている。

だが、エリヴェラはそんなものを無視するほど……ガルフはメンタルも、向上心も強い。


彼は、ライバルだと……エリヴェラの本能が答えた。


ガルフも同じく、エリヴェラの実力は認めており、人間として敬意を持つ人物でもある。

だが……同時に、負けたくない存在でもあった。


そんな二人熱い握手を交わし、今から向上心を燃え滾らせるのだった。








「到着っと」


「………………」


「おいデカパイ、何ボーっとしてんだ?」


「こうも到着が早いと、懐かしさすら感じないと言いますか」


国から国への移動が超早い。

そこに関してケチを付けることはない。


寧ろ非常に有難いことだが……どこが「なんだかな~」と思ってしまうミシェラ。

それはミシェラ以外の者たちも同じことを思っていた。


しかし、何はともあれ、無事王都に戻ってきたイシュドたち一行。


アリンダやシドウはまだ仕事があるものの、学生であるイシュド達は休み……なのだが、寮に戻るとイシュドは管理人から一通の手紙を渡された。



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